- 21C中学校新教育課程のコンセプト解説
- まえがき
- 1章 なぜ特色ある教育活動の展開なのか
- §1 21世紀の教育と学校パラダイムの転換
- 1 学校教育のスリム化とパラダイムの転換
- 2 近未来のビジョンを描く
- 3 教育課程審議会が描くこれからの学校像
- §2 特色ある教育の展開とは何か
- 1 特色ある教育の必要性
- 2 特色ある教育の実践的な内容とは何か
- 3 特色ある教育と体験を生かす学習活動
- §3 おらが学校の教育課程経営
- 1 教育課程経営の意味
- 2 特色ある教育と教育課程経営
- 2章 特色ある教育活動をどう展開するか
- §1 学力観・学校観の見直し
- 1 「生きる力」を育む学力観
- 2 これからの学校像と学校観の見直し
- §2 学校の教育目標の見直しと経営ビジョンの確立
- 1 学校の教育目標の見直し
- 2 経営ビジョンと経営における「協働」の意味
- 3 経営のビジョンと特色ある教育の展開
- §3 保護者の期待への対応
- 1 地域の特性を生かした教育をしてほしい
- 2 学びの基礎・基本を身に付けてほしい
- 3 子どもが夢と希望をもてるようにかかわってほしい
- §4 教職員の意識改革と研修32
- 1 「総合的な学習の時間」で試される教師の創造性
- 2 すべての教師に求められる教育内容の統合能力
- 3 どの教師にも求められる担当学級や担当教科を超えた教育課程経営の能力
- 4 教育をめぐる緊急課題にも対応した教育課程の編成
- 5 校内研修の重要性と教師自身に必要な豊かな生活経験
- §5 教育課程経営の方法
- 1 教育課程編成の原則
- 2 特色ある教育の展開と教育課程の編成
- 3 教育課程経営の方法
- 3章 特色ある教育活動にチャレンジする実践プラン
- §1 教科等の目標・内容の大綱化に対応する実践プラン
- 1 解説/目標・内容大綱化の考え方と実践化の方向
- 2 事例/異文化への窓となる英語学習
- §2 1単位時間・授業時数運用の弾力化に対応する実践プラン
- 1 解説/時間・時数運用弾力化の考え方と具体化の方向
- 2 事例/子どもの内に開かれた教育
- §3 選択履修,関連的扱いなどに対応する実践プラン
- 1 解説/選択学習,関連的扱いの考え方と実践化の方向
- 2 事例/「知の総合化」をめざして
- §4 「総合的な学習の時間」の創設を生かす実践プラン
- 1 解説/「総合的な学習の時間」創設の考え方と実践化の方向
- 2 事例/豊かな人間性を育む総合学習
- §5 家庭・地域の体験や活動を生かす実践プラン
- 1 解説/家庭・地域の体験や活動を生かす考え方と具体化の方向
- 2 事例/地域での直接体験を生かす
- §6 地域社会の人材・施設の活用を図る実践プラン
- 1 解説/地域社会の人材・施設の活用を図る考え方と具体化の方向
- 2 事例/子どもが創る総合学習〜「プランドゥ学習」の展開と可能性〜
- §7 開かれた学校づくりを推進する実践プラン
- 1 解説/開かれた学校づくりの考え方と具体化の方向
- 2 事例/地域と共に歩む教育活動
まえがき
平成10年12月,21世紀に向けた新学習指導要領が公示された。その後,個々の中学校に出向いたり,関係者との出会いが多くなっているが,従来とは違う教師たちの関心や意欲,熱気が伝わってきて,いよいよ中学校も動き始めたという印象が強くなっている。
確かに,新教育課程の導入に向けて,過度の受験対応は変わるのか,基礎・基本は徹底できる余裕は生まれるのか,総合的な学習は効果的か,などの危惧される問題点は多い。
それでいて,従来とは異なる新たな学校づくりに向けた教師たちの期待感は広がっていると考える。
その要因のひとつは,教育課程の基準の改善の「ねらい」にみられる,各学校の創意工夫による特色のある教育,特色のある学校づくりへの期待であろう。総合的な学習の導入を中心的な課題にしながら,学校の創意工夫による教育の営みを実現するということは,従来にはなかった全く新しい教育行為なのである。
これからの学校は個性化する。あれも・これも抱え込んだりするのではなく,またどこの中学校も同じ教育活動を実施して当たり前と考えるのではなく,「おらが学校ならでは」の教育価値を追究していくことが重要になる。
そのためにも,21世紀の教育のコンセプトとして,「特色ある教育の展開」についての認識を十分深める必要がある。そして,学校の未来に向けたビジョンを持つ。さらに,ビジョンの実現に向けた具体的な教育行動を明確にして取り組んでいく。そのような方略を持つことが大切になる。
その意味で本書は,特色ある教育の実現のために,学力観や学校教育目標などの見直し,保護者の期待への対応,教職員の意識改革や学校の教育課程経営など,当面する学校の課題について指針を示した。さらに実践プランを提示することによって,具体的に実現可能な方策を示した。本書を手掛かりに,21世紀に向けた学校教育の理念と実践の統合を目指してほしいと考える。
最後に,多くの執筆者の方々,また明治図書の安藤征宏氏に心から感謝の意を表したい。
平成11年5月 /高階 玲治
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- 明治図書