- まえがき
- 1章 今,求められる学校安全
- 1 子どもを取り巻く安全の現状と,必要な学校安全
- 2 学校安全の推進に関する計画を含む今後の学校安全の方向性
- 3 学校安全を推進するための方策
- 2章 教育活動における事故・事件例と防止策
- 1 校内における教育活動中の事故・事件例と対応策
- (1) 授業時間
- CHECK1 理科の実験・観察中に起きる事故T(アルコールランプ,試験管の爆発)
- CHECK2 理科の実験・観察中に起きる事故U(薬品事故,目や皮膚への薬品付着)
- CHECK3 理科の実験・観察中に起きる事故V(レーザー光線の使用による事故)
- CHECK4 理科の実験・観察中に起きる事故W(化学反応による有毒の気体発生による事故)
- CHECK5 図工の作業中に起きる事故T(刃のある用具によるけが)
- CHECK6 図工の作業中に起きる事故U(木工用具によるけが)
- CHECK7 図工の作業中に起きる事故V(教室外での事故)
- CHECK8 家庭科の実習中に起きる事故T(調理実習で起こる事故)
- CHECK9 家庭科の実習中に起きる事故U(包丁によるけが)
- CHECK10 家庭科の実習中に起きる事故V(調理実習での食中毒)
- CHECK11 家庭科の実習中に起きる事故W(裁縫用具などの事故)
- CHECK12 体育の運動中に起きる事故T(鉄棒や跳び箱からの落下事故)
- CHECK13 体育の運動中に起きる事故U(マット運動の事故)
- CHECK14 体育の運動中に起きる事故V(球技での接触・衝突事故)
- CHECK15 体育の運動中に起きる事故W(走り高跳びで起こる事故)
- CHECK16 体育の運動中に起きる事故X(水泳の事故)
- CHECK17 体育の運動中に起きる事故Y(短距離走・リレー,ハードル走での事故)
- CHECK18 体育の運動中に起きる事故Z(防塵剤やライン引き用の粉による事故)
- CHECK19 授業中にいたずらがきっかけで起きる事故T(コンパスや彫刻刀などでのいたずらによる事故)
- CHECK20 授業中にいたずらがきっかけで起きる事故U(座席を使ったいたずらによる事故)
- (2) 給食時間・業間時間
- CHECK21 給食時間に起きる事故T(給食の異物混入,食中毒による事故)
- CHECK22 給食時間に起きる事故U(食物アレルギーの誤飲・誤食による事故)
- CHECK23 業間時間に起きる事故(雨・雪による廊下での転倒事故)
- (3) 授業後
- CHECK24 清掃活動中に起きる事故(清掃ルールの指導不足による事故)
- CHECK25 クラブ活動・部活動中に起きる事故T(サッカーやハンドボールのゴールの事故)
- CHECK26 クラブ活動・部活動中に起きる事故U(野球やソフトボールが直撃する事故)
- CHECK27 クラブ活動・部活動中に起きる事故V(道具や器具による事故)
- CHECK28 クラブ活動・部活動中に起きる事故W(給水・換気不足による熱中症)
- (4) その他
- CHECK29 運動会のテントの倒壊による事故
- CHECK30 運動会の綱引きなど集団競技による事故
- 2 校外における教育活動中の事故・事件例と対応策
- (1) 集団宿泊的行事
- CHECK31 野外教育活動中の事故T(飯ごう炊さんの活動中に起きる事故)
- CHECK32 野外教育活動中の事故U(ハイキング中の崩落事故や転倒・転落事故)
- CHECK33 野外教育活動中の事故V(天候急変による事故)
- CHECK34 野外教育活動中の事故W(キャンプファイヤーにおける事故)
- CHECK35 修学旅行での事故T(分散活動中の事故)
- CHECK36 修学旅行中の事故U(旅行先で,交通機関が止まってしまった時)
- CHECK37 修学旅行中の事故V(宿泊先で起きる事故)
- (2) 校外学習,遠足
- CHECK38 校外学習,遠足時の事故T(目的地への移動中に起きる事故)
- CHECK39 校外学習,遠足時の事故U(スズメバチ,毒蛇に襲われる事故)
- 3章 学校施設管理の瑕疵が問われる事故・事件例と対応策
- CHECK40 屋上や天窓からの転落・落下事故
- CHECK41 窓・外壁等の落下で起きる事故
- CHECK42 窓付近の設置物,置物落下による事故
- CHECK43 鉄扉の安全装置の不具合による事故
- CHECK44 学校フェンスの破損放置に伴う事故
- 4章 学校周辺での事故・事件例と対応策
- CHECK45 登下校中,通学路で子どもが交通事故に巻き込まれた時
- CHECK46 在校中に学区内で重大事件が発生した時
- CHECK47 在校中に地震や各種警報・指示の発令があった時
- 5章 不審者による事件と対応策
- CHECK48 校内への不審者の侵入
- CHECK49 不審者情報を共有する体制の整備
- CHECK50 学校の安全確保のための施設設備の整備
- 6章 学校安全計画の作成
- 1 危険回避能力の育成に向けた指導
- 2 危機管理マニュアルの作成
- 3 避難訓練,引き渡し訓練の見直し
- 4 総合的な視点で考えた学校安全計画
- 5 学校安全計画の教職員への周知のポイント
- 6 法的根拠
まえがき
平成23年3月11日に発生した東日本大震災では,670人を超える児童生徒が死亡,行方不明になり,学校管理下で多くの犠牲者を出した学校もあった。この悲惨な状況から学ぶ教訓を生かし,安心・安全な学校づくりをすることが,私たち教員の使命である。
平成24年3月に中央教育審議会の学校安全部会が「学校安全推進計画」を文部科学大臣に答申した。自然災害や事件・事故を想定し,学校管理下での子どもの死亡ゼロを目指したものである。その答申に示されたように,学校安全計画の立案と安全教育の充実が急務であると考える。
1 学校安全計画の充実
学校安全計画には,安全管理だけではなく,避難訓練を含めた安全教育の内容も盛り込み,充実させることが重要である。そして,計画が絵に描いた餅にならないように,定期的な点検活動を取り入れ,修正を図らなければならない。PDCAのサイクルの中で,より効果的な学校安全計画を充実させる必要がある。
2 安全教育の充実
安全教育では,まず第一に,事件・事故発生時に子ども自らが,危険を予測し,回避し迅速な行動をとることができる力(危険回避能力)を身に付けさせることが大切である。
このとき,安全を求めすぎると,子どもたちの行動が萎縮したり消極的になったりする。私たちは,かつて,学校から,けがの恐れのあるシーソーやブランコを撤去した。また,危険が伴う木登りや川泳ぎなどを禁止してきた。このことにより,子どもたちの安全は保たれたが,本来子どもが体験して身に付けるべき能力を育てる機会を奪ってきた。今一度,様々な体験をさせ,その中で危険回避能力を育てなければならない。
第二に大切なことは,実践的な避難訓練である。緊急地震速報の活用,情報収集や情報伝達方法など,従来の訓練の内容を見直したい。また,下校途中における子どもだけで行動する避難訓練など,新しい訓練を取り入れ,具体的で実践的な避難訓練を考えていきたい。「釜石の奇跡」の教訓では,日頃の避難訓練により,子どもたちが率先避難者となり,危険を予測し,自らの命を守った。
このように,安全管理の面と安全教育の面からの充実を図ることで,子どもたちが,自らの命を守ることができる基礎的な素養を,組織的に育成していくことが重要であると考え,本書を編集した。
本書が,学校安全計画の立案と安全教育における研修に参考になれば幸いである。
平成24年7月 編者 /坂野 重法
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- 明治図書