- 監修のことば
- はじめに
- Part1 授業が激変する! 「言葉かけ」の極意
- ―学校体育ではぐくむ課題解決力―
- 1 「言葉かけ」を効果的に活用するために
- 1.「言葉かけ」の分類を知ろう!
- 2.「言葉かけ」による児童の内面の様子
- 3.効果的な「言葉かけ」をするために
- 4.「言葉かけ」による【技能】に関する学習効果
- @「わかる」と「できる」をつなげる「言葉かけ」
- A児童の技能レベルに応じた「言葉かけ」
- B「言葉かけ」の極意 五つのウルトラC
- 2 新しい時代に求められる,課題解決的な子どもを育てる「言葉かけ」
- 1.児童の体力向上のために小学校体育科が担うものは
- 2.焦点を見極めて「言葉かけ」しよう
- 3.ダイレクトに伝える「直接的言葉かけ」と思考を促す「間接的言葉かけ」
- Part2 体育授業がもっと楽しくなる! つまずきを徹底サポートする魔法の「言葉かけ」
- 体つくり運動編
- 【体ほぐしの運動】
- 1 体と心をつないでスッキリ!
- 【体力を高める運動 体の柔らかさ及び巧みな動きを高めるための運動】
- 2 Let’s 体力アップ!―自分の体力を知ろう,高めよう―
- 3 リズムと気持ちを合わせよう!―ダブルダッチ―
- 4 いろいろなステップでリズミカルに走ろう―ラダー―
- 【体力を高める運動 力強い動きを高めるための運動】
- 5 心と体を鍛えよう
- 【体力を高める運動 動きを持続する能力を高めるための運動】
- 6 ペース走で体力アップ!
- 7 長なわを使って体力アップ!
- これだけは押さえておこう! 体つくり運動の指導POINT
- 器械運動編
- 【マット運動】
- 1 ピーンと伸ばして夢中で回ろう!@―大きな前転―
- 2 ピーンと伸ばして夢中で回ろう!A―開脚後転―
- 3 ピーンと伸ばして夢中で回ろう!B―補助倒立―
- 4 ピーンと伸ばして夢中で回ろう!C―技の組み合わせ方―
- 【鉄棒運動】
- 5 チャレンジ!鉄棒運動@―逆上がり(上がり技)―
- 6 チャレンジ!鉄棒運動A―前方支持回転(支持回転技)―
- 7 チャレンジ!鉄棒運動B―後方片膝掛け回転(支持回転技)―
- 8 チャレンジ!鉄棒運動C―両膝掛け振動下り(下り技)―
- 【跳び箱運動】
- 9 チャレンジ!跳び箱運動@―大きな開脚跳び―
- 10 チャレンジ!跳び箱運動A―かかえ込み跳び―
- 11 チャレンジ!跳び箱運動B―大きな台上前転―
- 12 チャレンジ!跳び箱運動C―首はね跳び―
- これだけは押さえておこう! 器械運動の指導POINT
- 陸上運動編
- 【短距離走・リレー】
- 1 一瞬で風になろう!―短距離走―
- 2 心をつないでゴールまで!―リレー―
- 【ハードル走】
- 3 見る見る・ノリノリが上達のコツ!―ハードル走―
- 【走り幅跳び】
- 4 リズミカルな助走から力強く踏み切ろう!―走り幅跳び@―
- 5 両足を振り出して,ふわっと着地しよう!―走り幅跳びA―
- 【走り高跳び】
- 6 リズミカルな助走から力強く踏み切ろう!―走り高跳び@―
- 7 大きな動作でバーを越えよう!―走り高跳びA―
- これだけは押さえておこう! 陸上運動の指導POINT
- 水泳編
- 【クロール】
- 1 チャレンジ・クロール@―ゆっくり!スイー!け伸び!―
- 2 チャレンジ・クロールA―まっすぐ伸ばして!プル!―
- 3 チャレンジ・クロールB―まっすぐ伸ばして!キック!―
- 4 チャレンジ・クロールC―コロリン泳ぎで呼吸!―
- 【平泳ぎ】
- 5 チャレンジ・平泳ぎ@―小さくかいて安定した呼吸!―
- 6 チャレンジ・平泳ぎA―あおり足からの脱却―
- これだけは押さえておこう! 水泳の指導POINT
- ボール運動編
- 【ゴール型】
- 1 みんなの力でボールをつなぎ,ゴールを決めよう!―サッカー―
- 2 パスをつないでゴールを目指そう!―ハンドボール―
- 3 しっかりねらってシュートを決めよう!―バスケットボール―
- 4 心をつないでタッチダウン―フラッグフットボール―
- 【ネット型】
- 5 ラリーをつないでアタック!―ソフトバレーボール―
- 【ベースボール型】
- 6 打って 走って ホームイン!―ティーベースボール―
- これだけは押さえておこう! ボール運動の指導POINT
- 表現運動編
- 【表現】
- 1 嵐の中の難破船
- 2 祭り―花火大会をしよう―
- 3 俳句の世界―街の風景―
- 4 私の思い出
- 【フォークダンス】
- 5 外国のフォークダンス
- 6 日本の民謡
- これだけは押さえておこう! 表現運動の指導POINT
- 執筆者一覧
監修のことば
体育の授業における運動は,そのほとんどが教師と児童,児童と児童相互の人間的関わりの中で展開される。その人間関係こそが,教師による学習指導や児童同士の学び合いの基盤である。そして,人と人との関わりの中ではコミュニケーションが,人間関係のあり方を大きく左右する重要な役割を担っている。
体育の授業におけるコミュニケーションは,単なる機械的な情報伝達のツールにとどまるものではない。個々の児童の願いや感動,仲間意識や共感など様々な内容が包含され,付加されるべきものである。そのような意味でのコミュニケーションが,運動における児童の体験を実感として定着させ,教師と児童,児童と児童の一体感や連携,さらには信頼感を増大させる。そこに,学習指導や学び合いの質の向上につながる人間関係が構築されていく。
望ましい人間関係の構築につながるコミュニケーションの保障は,体育の授業を進める上で大切な要点である。したがって,指導者が授業場面での「言語」について十分に配慮することは,運動場面での特徴の一つである非言語的コミュニケーションへの着目とともに重要な視点となってくる。
体育科の学習においては,やはり運動の学習が中心的存在となる。運動の学習には,運動を習得(まだできない運動をできるように)する学習,運動を習熟・修正(できる運動をよりよく動けるように)する学習などがある。
前者では,目標となる運動を示範や資料によって示すだけではなく,その運動ができるためのコツを伝えることが大切である。コツとは運動技術に裏付けされた身体の動かし方であるが,どんな感じで動いたらよいのかという動き方の感じとして,学習者の感覚の中に取り入れられるものでなくてはならない。そこで,その動きがもっている基本的な動きの力動感(力の入れ方やタイミング)が,「ギューン」とか「グーン」といった擬音で表されたり,「タンタターン」「トントントトーン」といったタクト的表現で示されたりすることがよくある。
後者では,学習者の運動中の意識がどこに向けられているのか,どのような運動像を目指すのかの確認に基づき,動きの修正活動が行われる。そこでは,指導者と学習者の間で,言語を用いたコミュニケーションを通して行われるのが一般である。どの言葉が学習者にとって最適であるのか,指導者は学習者の感覚世界に入り込んで探し出す必要に迫られることになる。
本書には,日々児童と向き合って運動学習の指導に携わっておられる経験豊かな先生方の,指導実践の積み重ねの中から選び出された有効な言葉が,つまずきの事例に対応した形で収められています。これからの運動学習の指導に,大いに役立つものと期待いたします。
監修者 /落合 優・神家 一成
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- 明治図書