- 序
- T 中学校全体で取り組むボランティア活動
- 〜ボランティア活動からボランティア学習へ〜
- §1 はじめに
- §2 今,なぜボランティア学習か?
- §3 ボランティア活動とは
- §4 ボランティア学習の仕組み
- §5 教師のためのチェックポイント12
- §6 実践のポイント(第U章の事例から)
- U 実践事例にみるボランティア活動の展開と学び
- §1 六つのボランティアプロジェクト /文京区立第六中学校
- §2 学校内の活動から地域とかかわる活動へ /国分寺市立第五中学校
- §3 身近なボランティア活動から始めては? /函館市立湯川中学校
- §4 心を温かくしたボランティア活動 /市原市立有秋中学校
- §5 「共に生きる」ための実践を目指して /順天中学・高等学校
- §6 地域の人とふれあいながらボランティアを体験しよう! /福生市立福生第二中学校
- §7 ふれあいの中で育てる豊かな心 /半田市立乙川中学校
- §8 学校全体で取り組む「ふれあい学習」 /墨田区立墨田中学校
はじめに
本書は,これから学校教育でボランティア学習を展開しようとする(比較的若手の)教員に対して,ボランティア学習の基礎的な理論とノウハウを提供し,読者が効果的に実践できるよう支援する内容になっています。
近年,学校教育へのボランティア活動の導入とその重要性が叫ばれています。しかし,実際にはなかなか導入できないケースが多く,導入したとしても,地域の清掃活動や募金活動,施設訪問にとどまり,領域的な広がりをみせていません。しかも,いわゆる「やりっぱなしボランティア活動」になっていて,その後児童・生徒たちが何に気づき,何を感じ,どのような社会的課題にふれたかという検証がなされていません。また,子どもたちの気づきから出発していないため,なぜしなければならないのかという理由が分からないまま,やらされていると感じるのです。その結果,児童・生徒たちの側からは,「やらされた」「大変だ」「つまらない」「もういやだ」という声が聞かれるのです。
これでは,真の意味での「ボランティア活動」とはなっていません。ボランティア活動は,社会的な課題を自ら発見し,その解決策を模索したり,実行してみることで,自己や社会の変革の一端を担う公益的な社会活動です。その過程は社会を知り,自己を知り,他者を知る,いわば学びの場になっています。ですから,単なる奉仕(自己犠牲をともなうイメージがある)ではなく,また篤志(特別な人が行うというイメージがある)でもありません。それは,21世紀の相互扶助型福祉社会を担う市民としての素養のひとつです。このような社会的な課題の発見と解決の過程において,学校教育で行うボランティア活動は,学びの観点から「ボランティア学習」としてとらえられます。
第T章では,そのボランティア学習の基礎的な考え方,特に意義と内容,方法について分かりやすく解説します。
第U章では,全国の事例を挙げ,読者に具体的なイメージをもってもらうよう配慮しました。ここでは特異な事例,特色ある事例でなくても取り上げることにしました。むしろ,ありふれた内容であっても,そこに至るまでに,教師が何に苦労し,何を感じ,どのように壁を乗り越えたか,等について教師による「一人称の語り」を通して,読者にメッセージを送ってもらうことを主眼にしたのです。ボランティア学習には,教師も一緒に学んでいくというプロセスが存在するからです。ここには,身近なところからできる範囲のことをすすめていけば,ボランティア学習は実践できるということを示す意図と,そのことによってボランティア学習実践の導入にしりごみしている読者に勇気をもってもらいたいという願いがあります。
これらを参考にしていただき,総合的な学習の時間や学級活動・学校行事などの特別活動で,まずは実践してみてください。
本の全体を通して,教師が学校で主体的・自主的に子どもたちとボランティア学習を実践できるよう応援する内容とし,全国的によりよい実践が増えることを願い刊行します。
平成11年7月1日 編著者 /長沼 豊
















いま、ボランティア活動を導入しようと校内でがんばっています。
この本は、ボランティア活動をすすめる上で具体的な示唆が得られる本でした。8つの事例も身近なところからはじめられそうですし、1章の解説も大変わかりやすかったと思います。これからボランティア活動を学校で始めようとしている先生にぴったりという感じです。ありがとうございました。