- 刊行のことば
- まえがき
- T 社会福祉の人間行動理論
- 1 ソーシャルワークの理論と実践
- 2 ソーシャルワーク理論史
- 3 人間発達と理論
- 4 無意識
- 5 精神分析的対象関係論
- 6 精神分析的自我理論
- 7 新フロイト派の対人関係論
- 8 自我防衛(防衛機制)
- 9 転移・逆転移
- 10 抵抗
- 11 ロジャーズの現象学的心理学
- 12 エンカウンター・グループ
- 13 ランクの意志療法
- 14 ゲシュタルト心理学
- 15 行動主義
- 16 応用行動分析学
- 17 社会的スキル論
- 18 社会的学習理論
- 19 学習のサイクルモデル
- 20 認知主義
- 21 知能検査
- 22 心理アセスメント論
- 23 帰属理論
- 24 自己決定理論
- 25 対人認知
- 26 ディスタンシング仮説
- 27 ストレス理論とコーピング
- 28 メンタルヘルス理論
- 29 心身医学
- 30 愛着
- 31 臨床コミュニティ心理学
- 32 生涯発達モデル
- 33 社会的構成主義理論
- 34 発達の最近接領域理論
- 35 活動理論
- 36 インタラクション理論
- 37 発達支援論
- 38 教育・障害における特別なニーズ論
- 39 フェミニスト理論
- 40 正義論
- 41 シンボリックインタラクション
- 42 シンボリックインタラクションの基本概念
- 43 シンボリックインタラクションの臨床的応用
- 44 役割理論
- 45 役割理論の中心的な概念
- 46 ソーシャルワークにおける役割理論
- 47 構造の概念
- 48 構造機能分析
- 49 ソーシャルワークと構造機能分析
- 50 力動的システムズ理論の基本的視点
- 51 オープンシステムとクローズドシステム
- 52 境界
- 53 変化と均衡
- 54 フィードバックとホメオスタシス
- 55 パンクチュエイション
- 56 システムとサブシステム
- 57 エコロジー
- 58 自己言及
- 59 アイソモフィズム
- 60 パラドックス(逆説的指示)
- 61 二重拘束
- 62 リフレイミング(枠組み変え)
- U 社会福祉の歴史・思想・哲学
- 1 生命倫理と社会福祉
- 2 QOLと社会福祉
- 3 生命倫理の倫理学理論
- 4 生と死の倫理
- 5 哲学と福祉思想
- 6 社会福祉と社会科学的方法論
- 7 社会福祉と社会主義
- 8 「愛」の概念史と社会福祉の概念
- 9 ノーマリゼーション
- 10 ソーシャルロールヴァロリゼーション
- 11 人権と社会福祉
- 12 アメリカの児童福祉の歴史
- 13 アメリカの社会保障法の歴史
- 14 トインビーホール
- 15 C.ブースとロンドン調査
- 16 ラウントリーとヨーク調査
- 17 横山源之助と『日本の下層社会』
- 18 C.O.S(慈善組織協会)
- 19 セツルメント運動
- 20 診断学派と機能学派
- 21 賀川豊彦と協同組合
- 22 留岡幸助と家庭学校
- 23 生江孝之の思想
- 24 博愛社
- 25 日本キリスト教婦人矯風会
- 26 恤救規則
- 27 救護法
- 28 感化救済事業
- 29 方面委員制度
- 30 社会連帯
- 31 厚生事業
- 32 石井十次と岡山孤児院
- 33 山室軍平と救世軍
- 34 ウィリアム・ブースと救世軍
- 35 ドロシー・デッソーと日本の福祉1
- 36 精神衛生運動
- 37 メアリー・リッチモンドとケースワーク
- 38 ジェーン・アダムズとハル・ハウス
- 39 ハンセン病と社会
- 40 臓器移植患者の地域支援
- V 社会福祉の分野
- 1 精神保健の意義と歴史
- 2 ライフステージと精神保健
- 3 生活の場と精神保健
- 4 児童福祉概説
- 5 児童福祉の制度
- 6 児童福祉の実践
- 7 母子福祉
- 8 母子世帯の所得保障
- 9 児童扶養手当
- 10 母子生活支援施設(母子寮)
- 11 母子生活支援施設でのケース処遇
- 12 ゲイ・レズビアン等の性的マイノリティの性的志向
- 13 GLBTと人権
- 14 性的マイノリティの人々へのサポートシステム
- 15 HIV
- 16 HIV/AIDS患者の人権について
- 17 HIVと共に生きる人たちへのサポートシステム
- 18 国際障害分類
- 19 障害者プラン
- 20 自立生活運動
- 21 共同作業所
- 22 老年学
- 23 老年医学
- 24 高齢者保健・福祉
- 25 介護と医療
- 26 ケアマネジメント
- 27 介護福祉士
- 28 児童虐待
- 29 児童虐待の援助システム
- 30 児童虐待と家族
- 31 非行少年処遇体系の概説
- 32 少年審判
- 33 更正保護
- 34 矯正教育
- 35 薬物依存
- 36 アルコール依存症
- 37 アルコール依存症者と家族への治療・援助
- 38 高齢者福祉
- 39 高齢者福祉の基礎的統計
- 40 高齢者福祉法制
- 41 高齢者の保健・医療法制
- 42 学習障害の概念
- 43 LDの症状
- 44 LDへの援助法
- 45 ジェンダー
- 46 セクシャリティ
- 47 女性の自己決定権
- 48 不登校の概念
- 49 不登校の統計的データ
- 50 不登校児への家族介入法
- 51 カウンセリング
- 52 スクールカウンセリング
- 53 病気の子どものQOL
- 54 成育医療
- 55 医療保育士
- 56 病弱教育
- 57 エスニシティ
- 58 エスノセントリズム
- 59 エスニックアイデンティティ
- 60 エスニックグループへの援助システム
- 61 家族システム
- 62 家族システムの三属性
- 63 アダルト・チルドレンの定義
- 64 アダルト・チルドレンの適応・不適応
- 65 PTSDの定義
- 66 PTSDの症状
- 67 PTSDへの治療,介入法
- 68 福祉教育
- 69 ターミナルケア
- 70 ターミナルケアとインフォームド・コンセント
- 71 ターミナルケアの場面での援助法
- W 社会福祉の援助方法論
- 1 直接援助と間接援助
- 2 エコシステムの視点
- 3 エコシステムの視点の実践への応用
- 4 エコシステムの視点:キャロル・マイヤーの業績
- 5 家族中心のソーシャルワークの理論的基礎
- 6 家族中心のソーシャルワークのアセスメントと介入
- 7 家族中心のソーシャルワーク:ハートマンとレアードの業績
- 8 ライフモデル
- 9 ライフモデル:ジャーメインとギッターマンの業績
- 10 心理社会療法の理論的基礎
- 11 心理社会療法の価値
- 12 心理社会療法の評定・介入技法
- 13 社会構成主義的アプローチの基礎的視点
- 14 非特権的治療者
- 15 循環的質問法
- 16 権力/知識
- 17 オルタナティブストーリー
- 18 危機介入モデルの視点
- 19 危機介入モデルの援助過程
- 20 行動療法の基礎的視点
- 21 レスポンデント行動療法
- 22 オペラント行動療法
- 23 認知行動療法
- 24 ソーシャルワークへの行動療法の応用1
- 25 家族療法とシステムズアプローチ
- 26 家族療法の技法
- 27 心理教育的アプローチ
- 28 ブリーフサイコセラピー
- 29 フェミニストソーシャルワーク
- 30 エンパワーメント
- 31 グループワークの視点
- 32 グループワークの基礎理論
- 33 グループワークの技法
- 34 コミュニティーワーク1
- 35 コミュニティーニーズアセスメント2
- 36 アドミニストレーション
- 37 ローカリティディベロプメント
- 38 ソーシャルプランニング
- 39 ソーシャルアクション
- 40 地域福祉調査の意義と方法
- 41 生活問題調査の意義と方法
- 42 面接とクライエント―ソーシャルワーカー関係
- 43 面接における援助過程
- 44 効果測定の目的
- 45 集団比較実験計画法
- 46 単一事例実験計画法
- 47 ケース記録の目的
- 48 ケース記録の方法
- 49 社会福祉調査法
- 50 統計的方法
- 51 事例的方法
- 52 資料収集技法
- 53 コンピューターネットワーク
- 54 ハードウエア
- 55 ソフトウエア
- 56 セルフヘルプ・グループの定義・種類・特徴
- 57 セルフヘルプ・グループの歴史と現状
- 58 セルフヘルプ・グループの専門職のサポート
- 59 生活場面面接
- 56 ソーシャルワーク教育法の理念
- 57 ソーシャルワークのカリキュラム
- 58 スーパービジョン
- 59 施設組織論
- 60 施設処遇の技術
- 61 施設利用者の生活と施設処遇
- X 社会福祉の制度・政策
- 1 福祉国家
- 2 福祉社会
- 3 ナショナル・ミニマム
- 4 社会政策(ソーシャルポリシー)
- 5 生存権
- 6 社会福祉法制
- 7 成年後見制度
- 8 行政不服申立て
- 9 社会福祉と裁判
- 10 障害者福祉法
- 11 福祉行政の広域化
- 12 官僚制とプロフェッショナリズム
- 13 分権化
- 14 民営化
- 15 福祉オンブズマン(オンブズパーソン)
- 16 パターナリズム
- 17 NPO(非営利組織)
- 18 社会福祉財政
- 19 社会保障
- 20 所得保障
- 21 医療保障
- 22 職域保険と地域保険
- 23 賦課方式と積立方式
- 24 所得再分配
- 25 社会保険
- 26 年金保険
- 27 医療保険
- 28 介護保険
- 29 労働保険
- 30 船員保険
- 31 公的扶助
- 32 生活保護制度
- 33 低所得対策
- 34 生活福祉資金
- 35 保護施設
- 36 ホームレスの定義
- 37 ホームレスへの社会的施策
- 38 ホームレス援助の課題
- 39 児童手当
- 40 社会扶助(手当)
- 41 公衆衛生
- 42 社会福祉制度
- 43 社会福祉政策
- 44 社会福祉計画
- 45 社会福祉情報
- 46 ひとり親家族政策
- 47 婦人保護事業
- 48 緊急一時保護
- 49 社会福祉実施機関
- 50 福祉事務所
- 51 婦人相談所
- 52 児童相談所
- 53 身体障害者・知的障害者更正相談所
- 54 施設福祉
- 55 在宅福祉
- 56 社会福祉協議会
- 57 社会福祉従事者
- 58 社会福祉主事
- 59 社会福祉士1
- 60 民生児童委員
- 61 精神保健福祉士
- 62 精神保健福祉士法
- 執筆者一覧表
まえがき
この数年の間に国内の社会福祉制度は,介護保険の導入の経過に見られるように,公的な福祉制度のなかに民間企業の原理が導入され,大きく変容しつつあります。社会福祉の諸法制度に定められた職務を確実に遂行していくのがこれまでの社会福祉の仕事であったとするならば,これからは効率が求められる時代に入ります。利用者の側から見るならば,法によって明確に定められた福祉上のサービスによって自らの生活を守ってもらう立場から,自己責任によってサービスを選択する立場へと,彼らの社会福祉の中での位置づけが変化してきたともいえるでしょう。
このような社会福祉システムの変革期において,時流に乗ることを主たる目的とした用語集を出版すると,それはすぐさま時代遅れになる危険性をはらむことになります。今回の出版計画は1998年度に開始し,今年度に入ってようやく出版の運びとなりました。この間の変化はこの書物がその内容を十分伝えるにはあまりにも急激なものでした。本書がこのような事態についての情報やその分析を十分提示したとは言えないかもしれません。この著書においてはこのような時代の変化を意識しつつも,あえてそれを後追いする志向性は採用しませんでした。焦って時代の流れを追いかけ,表層的な解説を試みるよりも,社会福祉の理論と体系性とを重視し,基礎理論,思想・哲学,分野,援助方法論と制度・政策を柱に全5章の構成をたてました。執筆にさいしてこのような時代の流れの影響を直接受けたのは第5章に限られています。言いかえるならば,従来の社会福祉の辞書や用語集の多くは,どちらかといえば制度や政策の説明を重点においてその内容が構成されていたのに対して,バランスを配慮して対人援助科学に対しても同等の比重をおき,比較的時代の影響を受けにくい援助方法論とその基礎理論にも多くの項目を設定したところにこの用語集の特徴があると考えます。本書は,社会福祉の諸制度を知ろうとする人に対してはもちろんのこと,問題を抱えている人たちへの援助方法論を学ぼうとする読者に対しても役立つことを意識して作り上げた書物とも言えるでしょう。本書のもう一つの特徴は,現代社会における特有の社会福祉の諸問題に対しての今日の援助法を述べた,介入論の目新しさにあると思います。諸問題とはどのようなものであるのかを略述し,それを評定し,そこへ介入するいくつかの手法について触れてみました。社会福祉の入門書がこのようなスタイルで論じられることは北米ではあたりまえのことなのですが,なぜか国内ではあまり例を見ません。読者諸氏は現代の社会福祉の諸課題に対しての新たな一連の援助方法論を目にすることができるでしょう。さらに,倫理や思想の強い影響力を受ける社会福祉の特性にも配慮して,この領域に詳しい専門家にも執筆を依頼しました。
辞書の場合には一般的に共通の理解を土台にして語の短い説明がなされることが多いように思われます.この用語集では1用語に1ページのスペイスが与えられています。そこでは,執筆者の用語解釈や表現方法の自由度がかなり許されているといえるでしょう。それゆえ,この用語集は,社会福祉用語の紋切り型の説明に満足していない読者の要求にも応えることができると思います。この著書が社会福祉の理解を深めようとしている読者諸君の学習活動にわずかでも貢献することを願うしだいです。説明が不十分なところがあるかもしれません。ご批判をいただけるならば幸いです。
それぞれの研究や実践領域から貴重な知識を提示してくださった執筆者諸氏の協力があって,この著作は出版の運びとなりました。すぐさま執筆に応じてもらった方々に対しては,編集者の不手際のためずいぶん長い間待っていただきました。心からお詫びの気持ちを述べたいと思います。また,原稿の修正にも快く応じてくださった方々にお礼を申し上げたいと思います。
最後に執筆の機会を与えてくださった明治図書編集部の樋口雅子さん,そして編集の過程で大変ご迷惑をおかけした編集部の笹岡敏紀さんに,心から感謝の気持ちを表したいと思います。
編者代表 /加茂 陽
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- 明治図書