- まえがき
- T 「情報・コンピュータ」の授業
- 一 コンピュータの操作のしかた 全学年
- 二 コンピュータに入力しよう 全学年
- 三 インターネットの利用 全学年
- U 「国際理解」でのコンピュータ機器の活用
- 四 外国の様子をCD-ROMで調べよう 高学年
- 五 外国の様子をインターネットで調べよう 全学年
- 六 外国にメールを送ってみよう 高学年
- 七 外国の友達に学習したことをホームページで紹介しよう 高学年
- V 「環境・エネルギー」でのコンピュータ機器の活用
- 八 環境問題をインターネットで調べよう 高学年
- 九 EMって何? 四学年以上
- 一〇 水生生物で川の水質を調べよう 高学年
- 一一 田んぼにいる水生生物の名前を調べよう 高学年
- 一二 発電所を調べよう 四年生以上
- 一三 原子力発電のことを調べよう 六年生
- 一四 インターネットでエネルギーのことを知ろう 四年生以上
- W 「福祉・ボランティア」でのコンピュータ機器の活用
- 一五 ボランティアについて関心を持とう 高学年
- 一六 障害者にやさしい町の様子を調べよう 三年生以上
- 一七 高齢者との交流にコンピュータを利用しよう 六年生
- X 「地域や学校の特色に応じた課題」でのコンピュータ機器の活用
- 一八 地域を調べホームページとして発信しよう 全学年
- 一九 インターネットで自分の県を調べよう 四年生
- 二〇 世界文化遺産を見てみよう 六年生
- あとがき
まえがき
アイマスクをする。手には白杖を持つ。隣には、介助の友だちがいる。
二人で組になって、廊下の歩行に挑戦するのである。ただし、廊下はいつもと違い、椅子や机の障害物が置いてある。曲がり角もちゃんと曲がってみる。目の不自由な人がどのような状態で歩行しているのかを体験するのである。
ところが、子ども達は、怖くていつものようには歩くことができない。
「怖くてあるけないよね」
と口々に言う。すると、「だからさ、歩道に点字状ブロックがあるんだよね」
このあと、実際に町にでかけて、点字状ブロックがどうなっているのかを調べた。ところが、その様子を見て、子ども達はびっくりした。点字状ブロックの上に自転車が止まっていたり、お店の看板が飛び出していたりしているのである。子ども達は、町のいろんなところにでかけては、福祉にやさしい町になっているかを調査する。
調査を進めるにしたがって、知りたいことがどんどん出てくる。
こんなときに役立つのがコンピュータである。インターネットである。
そこに、こんな情報があった。
皆さんは、毎日どのようにして食事の献立を決めたり、食材を選んだりしていますか。(略・筆者)目の不自由な人は、食材や食品を手に取ることはできますが、食品に表示してある詳しい説明や調理方法などを読むことができません。(略・筆者)視覚障害者食生活改善協会では、こうした目の不自由な人たちに、食生活に関するさまざまな情報を提供するカセットテープを、貸し出しています。
http://www.wnn.or.jp/wnn-v/database/kouhou/foods.html
「えっ! そんなカセットテープもあるんだ」
このような情報は、インターネットだから入手しやすいのである。
「YAHOO!きっず」で「ボランティア」を検索する。すると、
http://kids.yahho.co.jp/School_Bell/Clubs and_Organizations/Volunteering/indes.html
「ハローねっと・ボランティア」が目に入ってくる。
http://www.wnn.or.jp/wnn-v/index.html
そこに、次のような項目が出てくる。
・障害者の在宅就労事例
・ボランティア情報
・ボランティア豆知識
・リンク集
さらに、次のような項目もある。▼目の不自由な方、▼耳の不自由な方、▼身体の不自由な方……。
子ども達は、自分の一番興味・関心のある項目をクリックする。自分の一番知りたいところが、クリック一つで画面に出てくる。教室にいて、知りたい情報を手に入れることができるのである。
先のカセットテープの情報は、「▼目の不自由な方」をクリックした。「・リンク集」をクリックすると、各県の視聴覚障害に関する情報が出てくる。 http://www.wnn.or.jp/wnn-v/link/audio-visual/index.html
自分のほしい情報を自分の手で入手する。そして、情報の取捨選択を行い。さらに、先に進む。子ども達はうれしくてたまらない。
審議のまとめの「V各学校段階・各教科等を通じる主な課題に関する基本的考え方」に次のようにある。
(情報化への対応)
今後、ますます高度情報通信社会が進展していく中で、児童生徒が、溢れる情報の中で情報を主体的に選択・活用できるようにしたり、情報の発信・受信の基本的ルールを身に付けるなど情報活用能力を培うとともに、情報化の影響などについての理解を深めることは、一層重要なのものになってくると考える。
これは、総合的な学習の時間の具体的な課題として示されている「例えば国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横断的・総合的な課題」の「情報」に関わるものである。
ところが、この課題について、「例えば」であるから、やる必要がないという人がいる。
果たして、そうだろうか。情報教育をやらなくてもいいと言えるのだろうか。それは、先の(情報化への対応)を見ても明らかである。「教育課程審議会審議のまとめ」の全文を読めば一層明らかになる。取り上げなければならない課題なのである。
子ども達は、あっという間に、パソコンを使って情報収集ができるようになる。いろんな情報に出会う中で、自分に必要な情報、そうでない情報を選択できるようになってくる。そして、調べ学習の発表に活用していくのである。
教師は、子ども達にこれらの力を身に付けさせなければならないのである。
ところが、その重要性を認識していない教師は、パソコンを扱おうともしない。二〇代でパソコンを扱えないのでは話にならない。パソコンを使った授業ができなければ話にならないのである。勿論、三〇代でも四〇代でも同様である。
本書は、コンピュータ機器を活用して総合的な学習に対応できるよう、次の五つの構成にした。
「情報・コンピュータ」
「国際理解」
「環境・エネルギー」
「福祉・ボランティア」
「地域や学校の特色に応じた課題」
コンピュータの操作方法については、最小限にとどめ、できるだけ多くの実践のプランを紹介することに努めた。
本書がこれからの「情報・コンピュータ教育」の授業実践及び子ども達の体験を通した試行錯誤に大いに役立ってくれることを願っている。
一九九九年 一月二一日 /竹川 訓由
-
- 明治図書