- まえがき
- 「総合的な学習」をカリキュラムにどう位置づけるか
- 1 日本の教育はどこがどのくらい特異か
- 2 諸外国は入試などどうクリアーしているのか
- 3 カリキュラムへの「総合的な学習」の位置づけ
- どうつくる「総合的な学習」の体制
- 1 どうなっている?「総合的な学習」に取り組む体制
- 2 積極的にかかわる教育委員会の仕事ぶり
- 3 参考になる 地域・親とどうかかわっていくか
- 日本でも始まる? 見学して学校を選択するシステ
- 1 いい意味の競争と絶大な校長の権限
- 2 学校見学をして学校を選ぶシステムのよさ
- 3 日本では「総合的な学習の時間」が突破口になる?
- 「総合的な学習の時間」をどうとらえるか
- 1 揺れている「総合的な学習の時間」のとらえ方
- 2 縦割り分断の教科では実現しない「生きる力」
- 3 学習活動を三段階で考える
- まず、この三段階方式ではじめよう
- 1 いつごろから始めるか三段階モデル
- 2 地域に開くことで子どもが変わる
- 3 スリー・アールズからスリー・イーズへ
- 「総合的な学習」の評価はこうなる、こうする
- 1 混乱する? 時間割編成の問題
- 2 総合的な学習の外部評価もあるイギリス
- 3 シビアに学校が選ばれる時代が来る?
- 4 どこでする親の意識改革
- 5 イングリッシュティーチャーにパフォーマンスの場をつくれ
- 付録1 資料一覧(参考文献・図表・写真)
- 付録2 新中学校学習指導要領/ 総則
まえがき
平成14年(2002年)より始まる新教育課程は、各学校において、生徒に生きる力をはぐくむことを目指し、創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する中で、自ら学び自ら考える力の育成を図るとともに、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り、個性を生かす教育の充実を図ることをねらいとしている。
また、今回の改訂では、小学校から高等学校に至るまで、「総合的な学習の時間」が教育課程に位置づけられることになった。この「総合的な学習の時間」は、各学校が創意工夫を生かした特色ある活動を行なう時間を確保する(時間枠の確保)ものであり、そのねらいは、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、的確に判断する力(生きる力)を育てるとともに、学び方やものの考え方を身に付け、問題解決に当たる態度(方法知)を育成すること、更にこれらを通じて、自分の得た知識や技能を相互関連的、総合的に働かせる(知の総合化)を目指すものである。また、中学校における「総合的な学習の時間」は、選択教科と裏腹の関係で示された。
本書は、先進諸国の総合学習やそのような学習を通して身に付けるべき資質や能力について、長年研究を行っている新進気鋭の研究者である大阪教育大学の田中博之先生との対談集である。
本対談集の内容を読んでもらうと分かるように、単に「総合的な学習の時間」でどのような学習活動を行ったらよいかといったことに加えて、「総合的な学習の時間」の新設は、これからの学校教育にどのような変化をもたらすかを、英国の例を取り上げながら解説されている。このことは、中教審の「今後の地方教育行政の在り方」についての答申と軌を一にしているといえる。
中教審、教課審に参画して「総合的な学習の時間」の創設や「今後の地方教育行政の在り方」についての審議にかかわった一人として、田中先生のお話は、対談相手の私にとっても大変興味深いものであった。
各学校が「総合的な学習の時間」を具体化する上で、本書は単に中学校だけでなく、小学校においても、何らかのお役に立てるのではないかと思われる。
最後になったが、本書を出版するに当たって、明治図書出版株式会社編集部編集長の樋口雅子氏に大変お世話になったことに対して、深く感謝申しあげたい。
/山極 隆
-
- 明治図書