- 鼎談・中学校新教育課程「特色ある学校」をどう創るか
- まえがき
- Part.1 中学校の今を見つめる
- 現代の中学生をどうとらえるか
- ポジティブな目で中学生を見たい
- 中学生に「生きる力」を育てたい
- 中学生の何を改め何を伸ばすか
- 経済的豊かさ追求の中で失ったもの
- 豊かな感性の復活を
- Part.2 中学校教育の基調をどう変えるか
- 今次教育改革がねらう方向性
- 「生きる力」の育成が基本
- 社会的存在としての個の重視
- 形式的平等から実質的平等へ
- 昨日の自分と今日の自分の見比べ
- ―競争観の転換
- 高校受験のあり方の転換
- Part.3
- 特色ある学校づくり
- 教育課程編成・実施の新しい課題
- 学力の捉え方の転換
- 受験学力重視からの脱却を
- 創造力・思考力・判断力こそがこれからの学力
- 基礎・基本とは何か
- 学習指導要領の共通に学ぶ部分が基礎・基本
- 議論よりも実践の改善を
- なぜ「総合的な学習の時間」設置なのか
- 「総合的な学習の時間」のねらい
- 基礎・基本の徹底、選択の拡大、「総合的な学習」との関連
- 「総合的な学習の時間」具体化の方法
- 教科・領域で学んだことを総合化する
- 主体的な学びを促す指導が課題
- Part.4 教育課程運営の課題と対策
- 教科の授業をどう改善するか
- 受動型の学習から能動型の学習へ
- 考え方・学び方を育てる方向への転換
- 厳選をプラスに転ずる工夫を
- 選択教科の履修幅拡大をどう考えるか
- 選択の内容がどう変わったか
- 選択教科ではガイダンスが大切
- 中学1年の選択指導で心したいこと
- 「総合的な学習の時間」をどう運営するか
- 「総合的な学習の時間」のねらい理解が先決
- 今からの取り組みが必要
- 教科や学校の枠を超えた共同研究を始めたい
- 「総合的な学習の時間」の中身が広がった理由
- 一時期に集中して実践することの意味と方法
- 各学校の創意工夫が期待されている
- 学校行事と「総合的な学習の時間」はどう違う
- 授業時数をどう弾力的に運用するか
- 授業時数を弾力化した意図
- 授業時数の弾力的運用への対応
- 学校の主体性を生かした時間割編成が問われる
- 心の教育
- Part.5 今求められる教師の意識改革
- 校長にどんなリーダーシップが求められるか
- 横並び意識からの脱却
- 校長は夢や理念を掲げよう
- 教師の意識を変えるツボは何か
- 学習評価のあり方を変える
- 教師の意識を変える状況づくり
- 教育行政に対して期待するもの
- 民間人の校長登用についてどう考える
- 付録 改訂中学校学習指導要領/総則
まえがき
今回の教育課程改訂は、従前の改訂とは趣を異にしています。
国の教育改革は学校週5日制をはじめあらゆる制度の面で着々と実施され、ゆとりの中で「生きる力」をはぐくむ教育が具体化されています。学校の教育内容・方法の面では、中央教育審議会答申、教育課程審議会答申、学習指導要領告示まで、すべて出そろいました。その基調は、知識の教え込み型の教育から「自ら学び、自ら考える教育」への転換にあります。この教育観の変革は、今までの学校の在り方を根底から変えることを求めています。あとは、いよいよ学校の中の改革、すなわち、教師の意識改革と日常の授業の変革にかかっていると言ってよいでしょう。
21世紀は、学校教育にとって激動の時代になるのではないかと予感するところです。それは、今回の改訂が先のような大きな意義をもっているからだと思います。私たちはこうした視点から、これからの教育課程がどういう考えに立って編成・実施されるべきかについて、各々の立場での経験を基にしながら、その思いや願い、考えを語り合いました。
教師は今こそ、評論家ではなく実践者となり自らの手で、創意工夫を図り改革を推進していくことが必要です。私たちが本書の中で述べた提言や提案などが、各学校での改革に向けての創意工夫の一助となればと願っています。
最後に、本書の出版に当たり、多大の労力をさかれた明治図書編集部の安藤征宏氏に心から感謝申し上げます。
平成十一年二月
東京農業大学教授 前文部省初中局主任視学官 /渡部 邦雄
東京都世田谷区立八幡中学校長 全日本中学校長会会長 中央教育審議会専門委員 教員職員養成審議会委員 /安齋 省一
跡見学園女子大学教授 文部省教育課程基礎研究委員 /堀内 一男
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