学校改革選書5
中1ギャップの克服プログラム

学校改革選書5中1ギャップの克服プログラム

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小中学校の間にある段差をどう埋めるか。具体的解決策を提案。

中学校へ進学した1年生に急増するいじめや不登校。この現象が「中1ギャップ」といわれるものです。これは学制の見直しを迫るほどの重大事です。本書はこの事態打開の方向を示すとともに、先進的に克服に取り組んだ事例を教科指導、生徒指導別に紹介した嚆矢の書です。


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ISBN:
4-18-016337-3
ジャンル:
学校経営その他教育
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 148頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T章 小・中の接続・連携にどんな問題があるか
§1 学校種間のギャップと義務教育改革
1 2つのギャップ(段差)
2 学校種間の連携・接続と改善
§2 小・中の連携・接続をめぐる問題
1 カリキュラムをめぐる問題
2 指導法上の問題
3 生徒指導上の問題
U章 中1ギャップ・中学校に求められる努力事項
§1 学校文化・カリキュラム・指導法の改善
1 基本的な方略
2 学校文化をめぐる改善点
3 カリキュラムをめぐる改善点
4 指導法をめぐる改善
§2 交流・ふれあいの深化
1 教師間交流を深める
2 児童生徒間交流を深める
V章 中1ギャップ克服・学校体制改善のプログラム
―学年まかせ,担任まかせという従来型の思考では乗り切れない―
§1 新入生を迎える中学校
§2 中学生の5月病
§3 教科指導への組織的な対応
§4 ガイダンス機能の充実
W章 中1ギャップ克服・生徒指導充実の対策プログラム
§1 オリエンテーション活動の充実
1 どこの地域にもある中1ギャップ
2 オリエンテーション活動の改善と見届け
3 まとめ(中1ギャップの克服に向けて)
§2 小学校教師との交流の活性化
1 はじめに
2 小・中連携の現状について
3 小・中教師間のギャップ
4 小学校教師との交流の活性化のために〜小学校教師との交流例〜
5 最後に
§3 学校生活・学校行事の交流の実施
1 はじめに
2 教育実践活動の具体例
3 おわりに
§4 小・中の情報交流の具体化
1 児童・生徒情報の役割
2 情報交流の組織
3 情報収集・保存・交流の手立
§5 地域社会への働きかけの推進
1 開かれた学校づくりの推進
2 地域社会に根ざした行動の連携
X章 中1ギャップ克服・教科指導充実の対策プログラム
§1 カリキュラム編成の工夫
1 教科指導の連携
2 道徳・特別活動の連携
§2 小・中学校相互の授業参観の実施
1 中1ギャップと県の取り組み
2 授業参観のねらい
3 参観後の生かし方
4 参観の方法と種類
5 参観の実を上げるための留意点
6 併設型小・中連携校の取り組み
§3 小・中合同授業の実施
1 合同学習の目的
2 合同授業を無理なく行うには
3 合同授業の入り口
§4 国語科での対策プログラム
1 国語科でねらうもの
2 特色ある授業の実際
3 まとめ
§5 社会科での対策プログラム
1 テストの工夫改善
2 小・中合同のフィールドワーク
§6 数学科での対策プログラム
1 義務教育に関する意識調査から
2 小学校と中学校とのギャップとして感じていること
3 数学科での対策プログラム
4 おわりに
§7 理科での対策プログラム
1 何をどのようにすればよいか
2 「おもしろ科学実験」で理科好きにする
3 小・中合同授業で確かな学力をはぐくむ
§8 英語科での対策プログラム
1 早期開始傾向の英語教育
2 英語科における中1ギャップと改善の視点
3 中1ギャップ改善のための実践例
4 まとめ
§9 総合的学習での対策プログラム
1 総合的学習の時間に見られる中1ギャップ
2 中1ギャップを引き起こす原因は何か?
3 効果的な対策プログラム

まえがき

 子どもの成長の過程と学校制度との間に,大きな齟齬が生じてきている。子どもの成長の背景には,子ども自身の心身の成長をめぐる変化もあれば,子どもの学校外での生活や学習の状況の変化,家庭の養育態度や方法の変化など,幾多の要因がからんでいる。

 6・3制という学校の制度的区切りの背景には,そこにおけるカリキュラムの内容,指導法の違い等があり,さらにはそれらを包み込んだ学校生活の在り方自体(学校文化)の違い等がある。

 だから,子どもに問題がある,親に問題がある,いや学校に問題がある,小学校が悪い,中学校が悪いと,原因探しや犯人探しをしたところで,問題が解決するわけではない。その間隙に子どもは泣いている。しかし,これまで長く,中学校は小学校の責任だと批判し,小学校は親のしつけがなっていないと責め,結果として,本気でだれも子どもの責任を負ってこなかったのではなかったか。

 不登校の問題,教室の“荒れ”の問題,校内暴力の問題等々,事態は限界に達しつつある中で,本腰いれてどうするかが喫緊の課題となってきた。現象的には,「小1プロブレム」「中1ギャップ」という2つの「段差」をどう乗り越え,子どもの滑らかな成長の歩みを促すかである。

 幼稚園と小学校との間にある段差を埋めるには,どのようなスロープをかければよいか,小学校と中学校との間にある段差に対しては,いかなるスロープをかければよいか,である。学校種間の段差を埋めるには,学校種間の連携や接続を図り,子どもの成長のつまずきの原因を取り除き,健やかな成長を促さねばならない。

 しかも,問題解決のための受け身の対策ではなく,生徒自身が夢と期待を膨らませて入学した中学校生活をより生き生きと受けとめ,伸ばしていけるような方策こそが求められている。さらには,義務教育9年間を通して社会的自立を図っていく方策こそが求められている。

 この9年間の子どもの成長の過程を中軸に据えて,学校は何をすべきか,教師はどうあったらよいか,子どもどうしの関係はどうあるべきか,保護者や地域との関係や役割はどうあったらよいかを,新たな視点から問い直し,再編していかねばならない。そのことが,小・中学校の接続・連携をめぐる基本的姿勢であり,「中1ギャップ」克服の具体的内容でもある。

 本書はこうした基本的姿勢に立って,その考え方や方略とともに具体的な実践方策について論じたものである。その内容は,学校教育全般に及ぶものであるが,ここでは@中学校教育,なかでも悩み多い中学校第1学年に焦点をおき,A教育活動の改善をどう図るかという視点から,カリキュラム,教科指導,生徒指導,オリエンテーション・ガイダンス機能を中心に扱い,B小・中・地域との交流・ふれあいあるいは相互理解をどう図り,協働体制をつくり出していくかという3つの点から取りまとめた。

 今日,小・中連携・接続の問題は,最も大きな学校改善の課題となっている。このことに取り組んでいる学校が多く,国の研究開発学校の中心課題ともなっている。また,公開研究発表会でも参加者であふれており,学校関係者のみならず,教育行政関係者の大きな関心事ともなっている。

 それだけに,その一助にもなればと願い,本書をとりまとめてみた。課題解決,学校改善のヒントとして活用いただけたらと切に願っている。とともに実践研究はどんどん進んでおり,新しい提案やご批正をいただけたらと思う。

 末尾になってしまったが,本書をまとめるにあたり,一方ならずお力添えいただいた明治図書出版編集部の安藤征宏,土井辰雄の両氏に,深甚の謝意を呈する次第である。


  平成18年,桜満開の入学の頃   編 者

著者紹介

児島 邦宏(こじま くにひろ)著書を検索»

東京学芸大学教授

佐野 金吾(さの きんご)著書を検索»

東京家政学院中・高校長

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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