- はじめに
- 本書の主旨と各事例の構成
- 1 本書の主旨
- 2 本書の各事例の構成
- 地理的分野
- §1 世界の様々な地域
- (1)世界の地域構成
- 1 地球儀と世界地図
- 2 緯度と経度
- 3 大陸と海洋の分布
- 4 主な国々の名称と位置
- 5 地域区分(世界)
- (2)世界各地の人々の生活と環境
- 6 自然環境と衣食住(1)―乾燥帯の地域に住む人々のくらし
- 7 自然環境と衣食住(2)―高山地域に住む人々のくらし
- 8 生活と宗教
- (3)世界の諸地域
- 9 アジア―人口急増と多様な民族・文化
- 10 ヨーロッパ―EUの発展と地域間格差
- 11 アフリカ―モノカルチャー経済下の人々の生活
- 12 北アメリカ―大規模農業と工業の発展
- 13 南アメリカ―森林破壊と環境保全
- 14 オセアニア―アジア諸国との結び付き
- (4)世界の様々な地域の調査
- 15 国や地域を調べる手順
- §2 日本の様々な地域
- (1)日本の地域構成
- 16 我が国の国土の位置
- 17 世界各地との時差
- 18 領域の特色と変化
- 19 地域区分(日本)
- (2)世界と比べた日本の地域的特色
- 20 自然環境
- 21 人口
- 22 資源・エネルギーと産業
- 23 地域間の結び付き
- (3)日本の諸地域
- 24 九州地方―自然環境を中核とした考察
- 25 中国・四国地方―他地域との結び付きを中核とした考察
- 26 近畿地方―環境問題や環境保全を中核とした考察
- 27 中部地方―産業を中核とした考察
- 28 関東地方―人口や都市・村落を中核とした考察
- 29 東北地方―生活・文化を中核とした考察
- 30 北海道地方―歴史的背景を中核とした考察
- (4)身近な地域の調査
- 31 フィールドワーク(1)―地形図の活用による地域的特色の発見
- 32 フィールドワーク(2)―社会参画へ向けてのまとめ・発表・考察
- 歴史的分野
- (1)時代の転換をとらえる
- 33 時代の転換をとらえる
- (2)古代までの日本
- 34 世界の古代文明や宗教のおこり
- 35 日本列島における農耕の広まりと生活の変化
- 36 律令国家の確立に至るまでの過程
- 37 仏教の伝来とその影響
- 38 古代までの日本の特色
- (3)中世の日本
- 39 鎌倉幕府の成立,南北朝の争乱と室町幕府
- 40 東アジアの国際関係
- 41 応仁の乱後の社会的な変動
- 42 畿内を中心とした都市や農村における自治的な仕組みの成立
- 43 中世の日本の特色
- (4)近世の日本
- 44 ヨーロッパ人来航の背景とその影響
- 45 織田・豊臣による統一事業
- 46 江戸幕府の成立と大名統制
- 47 鎖国下の対外関係
- 48 産業や交通の発達
- 49 社会の変動や欧米諸国の接近
- 50 幕府の政治改革
- 51 新しい学問・思想の動き
- 52 近世の日本の特色
- (5)近代の日本と世界
- 53 アジア諸国の動き
- 54 開国とその影響
- 55 富国強兵・殖産興業政策
- 56 自由民権運動,大日本帝国憲法の制定
- 57 日清・日露戦争
- 58 条約改正
- 59 我が国の産業革命
- 60 第一次世界大戦の背景とその影響
- 61 我が国の国民の政治的自覚の高まり
- 62 経済の世界的な混乱と社会問題の発生
- 63 昭和初期から第二次世界大戦の終結までの我が国の政治・外交の動き
- 64 戦時下の国民の生活
- 65 近代の日本の特色
- (6)現代の日本と世界
- 66 冷戦
- 67 国際社会への復帰
- 68 高度経済成長
- 69 国際社会とのかかわり
- 70 現代の日本の特色
- 公民的分野
- §1 私たちと現代社会
- (1)私たちが生きる現代社会と文化
- 71 少子高齢化
- 72 情報化
- 73 グローバル化
- 74 文化の意義や影響
- (2)現代社会をとらえる見方や考え方
- 75 物事の決定の仕方,きまりの意義
- 76 対立と合意
- 77 効率と公正
- 78 契約の重要性やそれを守ることの意義及び個人の責任
- §2 私たちと経済
- (1)市場の働きと経済
- 79 経済活動の意義
- 80 市場経済の基本的な考え方
- 81 現代の生産や金融などの仕組みや働き
- 82 職業の意義と役割及び雇用と労働条件の改善
- (2)国民の生活と政府の役割
- 83 社会資本の整備
- 84 公害の防止など環境の保全
- 85 社会保障の充実
- 86 消費者の保護
- 87 財政の役割
- 88 租税の意義と役割
- §3 私たちと政治
- (1)人間の尊重と日本国憲法の基本的原則
- 89 法の意義,法に基づく政治
- 90 我が国の政治が日本国憲法に基づいて行われていることの意義
- (2)民主政治と政治参加
- 91 地方公共団体の政治の仕組み
- 92 政党の役割
- 93 民主政治の仕組みと議会制民主主義の意義
- 94 法に基づく公正な裁判
- 95 裁判員制度
- 96 公正な世論の形成や国民の政治参加
- §4 私たちと国際社会の諸課題
- (1)世界平和と人類の福祉の増大
- 97 国際連合をはじめとする国際機構の役割
- 98 国際社会における我が国の役割,日本国憲法の平和主義
- 99 地球環境,資源・エネルギー,貧困
- (2)よりよい社会を目指して
- 100 持続可能な社会の形成
はじめに
本書『中学校社会科重要学習事項100の指導事典』は,中学校社会科の地理・歴史・公民的分野の総時間数350時間分の内容を100の学習事項に絞り,その指導の手引きとするためにつくられた事典である。「事典」であるから,用語の意味や用法を解説した「辞典」とは異なり,事項などに関する知識を集め配列し,項目ごとに解説した書物である。
社会科は「理解教科」である。社会科の学習とは,教科書に掲載されている用語の意味を暗記することではなく,あることがらの原因・背景や,その仕組みやはたらき,関連や影響などを理解することである。社会科学習の対象は,地理・歴史・公民的分野を問わず,社会的事象であり,それは様々なことがらが複雑に絡み合って成り立っている。それらを多角的・多面的に考察して理解しなくてはならない。
社会科の授業は,とかく用語の説明とその記憶に矮小化されてしまうことがある。その必要性は認めつつも,それだけでは「我が国の国土と歴史に対する理解」や「公民としての基礎的教養」を培うことにはつながってはいかない。生徒の頭の中で,個々の用語の内容が,相互に関連しながら1つの意味を生み出すとき,生徒は「わかった,そうなのか」と合点し,理解することになる。
ある樹木の葉の色や形,葉脈だけをスケッチしたのでは何の木かはわからないが,一枚一枚の葉を枝で結び付け,太い幹につなげることで,はじめてそれが桜の木であると認識できる。その桜の木が地中に深く張った根っこに支えられ,地面に降り注いだ雨と太陽からの光によって成長できることをつかむことで,はじめてそこに桜の木が生き,育っていることが理解できるのである。
社会科において,教えるべき内容は学習指導要領と教科書に記載されている。この内容を生徒が理解できるかどうかは,まずは教師が学習内容をどのように「構造化」できるかどうかにかかわってくる。ここでいう構造化とは,学習指導要領や教科書に記載されている知識や概念などを,学習指導要領の小項目なり中項目ごとに表した学習課題の追究を行いながら,ひとまとまりのものとして整理することである。教師と生徒とが学習課題を追究し,解決していく中で,先の桜の木の例のように,個々の知識がつながり,意味あるものとして理解されることになる。
授業は,教師・生徒・教材によって形づくられる。すなわち,社会科の授業において,授業の質を決定付ける要因の1つとして,教材(資料やワークシート)の善し悪しがある。教材が追究にふさわしいものかどうかが問われてくるのである。その際,理解するのが生徒であり,理解すべき内容を教えるのが教師であるならば,生徒がどの程度までわかっているのか,どこで理解をし損なうかを教師はつかんでおかなくてはならない。そして教師自身も,どこが教えにくく,どこが扱いにくいかがわかっていなくては,適切な指導は成り立ち得ない。
本書は,中学校社会科の学習用語それ自体を解説することが目的ではなく,特に生徒が理解するのが難しいと思われたり,教師にとって教えにくかったりする項目や事項を取り上げ,「指導上のポイントと留意点」を踏まえて,効果的な「指導事例」を載せている。「指導事例」においては,「キーワード」「学習課題」と指導の概要を述べ,教師にとって授業ですぐに使いたくなるような,生徒にとっても興味深く,「なるほど,そうなのか」と思えるようなワークシート例や資料を多数掲載している。
本書が社会科授業の新たな提案となり,全国の教室で生かされることを望みつつ,先生方からの厳しいご指摘をいただくことで,日本の社会科教育の向上に役立つことを願うものである。
平成25年6月 編著者 /館 潤二
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- 明治図書
- 多岐にわたっている中学校社会科の学習内容の要点を整理し,分かりやすく整理している良本でした。2016/3/1240代・中学校教諭
- 授業の計画を立てるのに使えそうです。2015/8/1740代・中学校教員