新 社会科教育学ハンドブック

新 社会科教育学ハンドブック

ロングセラー

好評6刷

先の見えない時代だから必要な、社会科発の羅針盤

誰も反対しない〈民主主義の実現〉に向かって邁進してきて、フト立ち止まっている現代。いったい社会とは何かグローバルに考えなければならない今日、複雑な要因のからみ合いの中から紐解くモノサシを、学会に集う研究者が総出で解明した話題作。


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ISBN:
978-4-18-011634-8
ジャンル:
社会
刊行:
6刷
対象:
大学
仕様:
A5判 420頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年11月15日
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目次

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まえがき
第T章 社会科の本質
1 社会科と民主主義 /児玉 修
1 前提としての民主主義/ 2 「問題解決の様式」としての民主主義/ 3 「正当化された制度・組織」としての民主主義/ 4 「社会における自律」・「社会からの自立」を要求する民主主義/ 5 「異議申し立ての対象」としての民主主義/ 6 社会科を問い直す民主主義
2 社会科と国民国家 /吉川 幸男
1 社会科カリキュラムの「基本的な構造」/ 2 「総合領域」としての「公民」と、「活用領域」としての「公民」/ 3 「特色」の学習と「意義」の学習/ 4 「特色」の流動化と「意義」の多元化
3 社会科と市民社会 /溝口 和宏
1 はじめに/ 2 市民社会の形成と社会科への改革要請/ 3 社会認識体制の成長と社会科への改革要請/ 4 おわりに
4 社会科と社会科学 /児玉 康弘
1 市民的資質の育成/ 2 学校教育における市民的資質の育成/ 3 社会科における市民的資質の育成/ 4 社会科と社会科学
5 社会科と子ども /加藤 寿朗
1 はじめに―問題の所在―/ 2 子どもが「社会をわかる」とは/ 3 社会のわかり方の「論理」と社会科/ 4 社会のわかり方の「心理」と社会科/ 5 おわりに―社会のわかり方の「論理」と「心理」の統合―
6 社会科教育とグローバル化 /福田 正弘
1 はじめに/ 2 グローバル化とは何か/ 3 グローバル化と社会科/ 4 おわりに
第U章 社会科の性格規定
1 社会認識と市民的資質 /草原 和博
1 社会科教育のパラドックス/ 2 パラドックスの解法―なにを・どのように―/ 3 パラドックスの解消をめぐる論点・争点/ 4 「社会認識と市民的資質」をなぜ問うか
2 社会科学科としての社会科 /桑原 敏典
1 はじめに/ 2 市民的資質育成における科学的社会認識形成の意義/ 3 社会形成の批判的学習/ 4 おわりに
3 社会研究科としての社会科 /中原 朋生
1 問題の所在―複数形の社会研究科=Social Studies―/ 2 「権力の取り扱い」と「教師と子どもの関係」による四類型/ 3 権力参加・教師中心型―社会理解のための社会研究―/ 4 権力参加・子ども中心型―社会形成のための社会研究―/ 5 権力監視・教師中心型―社会科学としての社会研究―/ 6 権力監視・子ども中心型―自由主義に立つ社会研究―/ 7 結語―リベラル・デモクラシー社会における社会研究科の在り方―
4 社会問題科としての社会科 /渡部 竜也
1 社会科における社会問題の位置づけ/ 2 社会問題のカリキュラム上の位置づけをめぐる論争/ 3 社会問題の捉え方をめぐる論争:社会問題の実在論対唯名論/ 4 社会問題の取扱いをめぐる論争:合意か対立か、社会的効用か社会正義か/ 5 社会問題の内容選択をめぐる論争:学習者の興味関心のある社会問題を優先すべきか/ 6 おわりに
5 シティズンシップ教育としての社会科 /吉村 功太郎
1 シティズンシップ教育とシティズンシップ/ 2 シティズンシップ教育の二つの捉え方/ 3 市民社会科の特質/ 4 シティズンシップ教育としての社会科教育の基底
第V章 社会科の内容編成
1 社会科カリキュラム編成(1)地理歴史中心(知識) /森田 真樹
1 はじめに/ 2 社会科カリキュラムにおける「統合」「分化」と地理・歴史/ 3 全米社会科協議会「社会科スタンダード」の場合/ 4 カナダ・ケベック州「歴史とシティズンシップ教育」の場合/ 5 おわりに
2 社会科カリキュラム編成(2)公民中心(問題) /岡明 秀忠
1 はじめに/ 2 教育課程編成についてなぜ考える必要があるのか/ 3 問題(公民中心)の教育課程の編成に関し、どのような考えが出てきたのか/ 4 おわりに―私たちはこれからどのようにしていけばよいのか―
3 社会科の単元構成 /岡ア 誠司
1 問題の所在/ 2 仮説吟味学習による単元構成の視点と方法/ 3 単元の目標と展開
4 社会科と内容構成(1)類型 /寺尾 健夫
はじめに/ 1 教科主義的社会科/ 2 実用主義的社会科/ 3 態度主義社会科―平成元年版社会科以後の社会科
5 社会科と内容構成(2)教授学的変換 /服部 一秀
1 課題としての授業内容改善/ 2 社会科学重視のアプローチ―有意味な社会認識への内容改善―/ 3 学習者重視のアプローチ―主体的な社会認識への内容改善―/ 4 民主主義社会重視のアプローチ―社会形成への内容改善―/ 5 社会科授業内容改善における教授学的変換
第W章 社会科の方法原理とその評価
1 社会科における問題解決 /小田 泰司
1 はじめに/ 2 アメリカにおける問題解決学習―ラッグの場合―/ 3 日本における問題解決学習―森昭の場合―/ 4 おわりに―方法原理としての「問題解決」の歴史的評価―
2 社会科における理解 /藤瀬 泰司
1 はじめに/ 2 理解主義社会科の現状と課題/ 3 理解主義社会科の新展開/ 4 おわりに
3 社会科における説明 /山田 秀和
1 社会科における「説明」への再注目/ 2 民主主義社会における「説明」の意義/ 3 「説明」を方法原理とする社会科授業/ 4 「説明」を方法原理とする社会科の課題
4 社会科における議論 /田口 紘子
1 民主主義社会と議論/ 2 方法原理としての「議論」の特長/ 3 授業構成の方法原理として「議論」を用いた授業/ 4 議論を方法原理とした社会科学習の原理
5 社会科における意思決定 /峯 明秀
1 市民的資質・能力の中核としての意思決定力/ 2 意思決定を中核に据える社会科の原理/ 3 意思決定中心のカリキュラム・単元・授業の組織・指導過程/ 4 意思決定学習の実際/ 5 意思決定学習の評価
6 社会科における社会参加 /橋本 康弘
1 はじめに/ 2 方法としての社会参加の諸相―三つの社会参加―/ 3 方法としての「象徴的・模擬的参加」を取り入れた学習の具体とその意義/ 4 「積極的社会参加・社会行動」学習の具体とその意義/ 5 おわりに
第X章 社会科授業における技術と原理
1 社会科における発問 /村上 典章
1 はじめに/ 2 発問研究の難しさ/ 3 発問の構成/ 4 おわりに
2 社会科における資料(1)文字資料 /藤本 将人
1 問題の所在/ 2 「教育」のための文字資料―文字資料が伝える書字行為者の意識―/ 3 文字資料を読み解くための教育―読み手による書字行為者の意識の読み解き―
3 社会科における資料(2)ヴィジュアル資料 /二井 正浩
1 はじめに/ 2 絵画資料活用の事例/ 3 おわりに
4 社会科における教科書活用 /竹中 伸夫
1 社会科で教科書はどのように扱われているか/ 2 教具としての教科書の限界/ 3 どう活用していくべきか―習得対象から読解(活用)対象への方法的転換―
5 社会科における見学・調査の指導 /永田 成文
1 社会科の学習活動としての見学・調査/ 2 社会科学習における見学・調査の位置づけ/ 3 社会科における見学・調査を活用した実践
6 社会科におけるディベート・討論指導 /樋口 雅夫
1 はじめに/ 2 社会科授業の方法としてのディベート/ 3 討論の一形態としてのディベート/ 4 おわりに
7 社会科におけるシミュレーション・ゲーム指導 /須本 良夫
1 シミュレーション・ゲームとは/ 2 体験で終わらないシミュレーション・ゲームの活用/ 3 社会科教育におけるシミュレーション・ゲームの活用/ 4 社会科教育に活用可能なシミュレーション・ゲームの潮流
8 社会科におけるプレゼンテーション指導 /戸田 浩暢
1 プレゼンテーションで育成する能力/ 2 プレゼンテーションの在り方/ 3 プレゼンテーション指導の在り方
9 社会科における評価方略 /井上 奈穂
1 評価方略の矛盾/ 2 「手段」としての評価方略/ 3 社会科における評価方略の「活用」/ 4 評価方略から「社会科」を問う
第Y章 社会科における論争点
1 社会科地理と地理科との違いは何か /伊藤 直之
1 社会科地理と地理科/ 2 目標/ 3 内容・方法/ 4 おわりに
2 社会科歴史と歴史科との違いは何か /鴛原 進
1 はじめに/ 2 定義をめぐる論争点/ 3 社会科歴史と歴史科の違い/ 4 社会科歴史と歴史科がともに抱える問題/ 5 おわりに
3 社会科公民と公民科との違いは何か /谷口 和也
1 公民統治科としての戦前の「公民科」/ 2 戦前における社会科公民の到達点/ 3 政治制度・経済機構教育から社会科公民へ/ 4 活動的な市民育成のための社会科公民
4 生活科と社会科との違いは何か /二階堂 年惠
1 はじめに―新しい学習観に立つ生活科の誕生―/ 2 子どもたちの学習様式の違い―発達段階に沿った学習様式の重要性―/ 3 生活科と社会科の違い/ 4 おわりに
5 地理歴史科と社会科との違いは何か /戸田 善治
1 なぜ、「今」、「地理歴史科と社会科との違い」なのか/ 2 通史教授論としての「地理歴史科」/ 3 「構築主義」による通史教授論からの脱却/ 4 おわりに
6 総合的な学習の時間と社会科との違いは何か /中本 和彦
1 はじめに/ 2 総合的な学習の時間の実際とその特質―伊藤秀一実践・単元「食べ物があぶない!」―/ 3 「説明」による社会科授業実践の実際とその特質―福田裕治実践・単元「日本の農業」―/ 4 総合的な学習の時間と社会科の違い―二つの実践が示唆するもの―
第Z章 社会科のアイデンティティ
1 社会科をなぜ「社会科」と呼ぶのか /梅津 正美
1 「社会科」の本質と研究方法論をめぐる論点/ 2 社会の科学的認識の教科としての「社会科」/ 3 社会の批判的形成の教科としての「社会科」/ 4 課題と展望
2 社会科の教育目標の全体性はどこまで保持できるのか /岩永 健司
1 教育目標の全体性保持の現状/ 2 目標の全体性保持と社会科カリキュラム編成/ 3 目標の全体性保持と観点別評価の可能性/ 4 目標の全体性保持の必要性
3 学習課題の現在性を社会科は貫くことができるのか /角田 将士
1 はじめに―本稿の射程―/ 2 昭和二六年版「日本史」における歴史学習/ 3 教科書『中学生の歴史』にみる通史教育と学習課題の現在性/ 4 おわりに―通史教育と学習課題の現在性―
4 内容の総合性は社会科のどの学習でも可能か /藤田 詠司
1 問題の所在/ 2 成立期社会科における内容の総合性/ 3 社会形成学習論における内容の総合性/ 4 総合的社会科学研究論における内容の総合性/ 5 内容の総合性研究の課題
5 社会科の学習における主体性とはどのようなものか /關 浩和
1 はじめに/ 2 構成主義的アプローチに基づく知識の構築/ 3 社会科の学習における主体性の意義/ 4 おわりに
6 社会科らしさとは何か /永田 忠道
1 草の根からの「社会科らしさ」の模索/ 2 公的「社会科らしさ」の普及と学的「社会科らしさ」の主張/ 3 研究的実践者と実践的研究者による新たな「社会科らしさ」の提起/ 4 限定主義と限定解除志向の「社会科らしさ」
第[章 教育史にみる社会科らしい実践とその構造
1 小学校における社会科授業(1) /釜本 健司
1 小学校社会科教育史にみる「社会科らしさ」―一九五一(昭和二六)年版学習指導要領の「単元学習」―/ 2 長岡文雄実践「近鉄地下乗り入れ工事」の概要/ 3 実践の構造/ 4 実践の特質と現代的意義
2 小学校における社会科授業(2) /田中 伸
1 社会研究の論理に基づく社会科/ 2 授業実践の概略とその構造/ 3 授業実践の論理とその特質―子どもの認識に基づいた弁証法的社会研究過程―/ 4 構築主義型社会研究の意義と課題
3 中学校における社会科授業 /南浦 涼介
1 安井俊夫実践とその今日的検討課題/ 2 「スパルタクスの反乱」の実践概要/ 3 安井俊夫実践の今日的意義と課題
4 高校における社会科授業 /田中 泉
1 はじめに/ 2 原田智仁の「理論批判学習」/ 3 授業実践の概要/ 4 授業実践の分析/ 5 おわりに
執筆者一覧

まえがき

 本書は、十八年前、本社会認識教育学会が編集しました『社会科教育学ハンドブック―新しい視座への基礎知識―』を改訂したものであります。執筆期間を入れますと、ほぼ二十年間の社会科教育の研究と教育の動向を踏まえました。その結果、いくつかの項目を増やすとともに、新たな章や節を設けることにしました。そして、何よりも書名を『新社会科教育学ハンドブック』とし、ここ二十年の動向を映し出すようにいたしました。

 それとともに、前書がねらい、目指していました、教育者である限り、研究者であれ実践者であれ、一人ひとりが社会科とは何であるかを問う機会をつくりだすこと、また、学校教育はもとより、生涯学習においても、社会科教育が必要とされていることを再認識することも、目的としました。

 といいますのも、二十年前と変わらず、あるいは、二十年前よりも強く、社会科教育関係者は、社会科が「危機」にあると感じているからであります。一九八九(平成元年)に、小学校低学年社会科が生活科に、高等学校社会科が地理歴史科と公民科に解体されました。この状態は、二十年間変わらないままでした。ときには、中学校社会科も地理歴史科や公民科に解体しようではないかという声を聴くことがあります。いつ何時、社会科が解体されるかわからない危機状況は今も続いていると思っています。

 二十一世紀の現代、この危機状況において、社会科教育関係者が、社会科とは何であり、なぜ必要とされているのかを再度検討する機会を提供いたしたいと考え、改訂版を企画しました。

 本書は、執筆陣を新たにし、若手の方々に次世代の教育研究リーダーとして、それぞれの項目を執筆していただきました。粗削りなものがありますが、どの項目においても社会科とは何か、なぜ必要とされているのかという共通の問いを踏まえて、各論文を著しています。

 第T章では社会科の基底を、第U章では教科論を、第V章では内容編成論を、第W章では方法原理とその評価論を、第X章では、授業技術とその原理を、第Y章では論争点を、第Z章ではアイデンティティを、第[章では教育史にみる授業実践の事実とその構造を取り扱っています。いずれの章でも、社会科の必要性を問い直し、なるほどこの理由、このわけで必要なのだと理解していただけるのではないかと思っています。

 最後になりましたが、本書は前書に引き続き、樋口雅子編集部長のご厚意とご配慮にて出版することができました。

 ここに記して感謝を申し上げます。


  二〇一二年二月

  社会認識教育学会編集委員会 /小原 友行・池野 範男・棚橋 健治・木村 博一・草原 和博

著者紹介

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※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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