総合的学習の開拓20萱野小学校発「人権総合学習」の授業プラン

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人権総合学習でめざすことを人権・部落問題学習の発展としてとらえ、@人権を総合的にとらえるA自分の生き方と結ぶB地域・社会と関わることから1−6年の授業プラン示す


復刊時予価: 2,442円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-003410-7
ジャンル:
総合的な学習
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 144頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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はじめに
1 人権総合学習でめざすこと
なぜ人権総合学習を始めたのか
萱野小学校の人権・部落問題学習の問題点
問題点を克服するために
人権(教育のための)総合学習
人権・部落問題学習を人権総合学習に発展させること
人権総合学習のポイント1「人権を総合的に学習する」
人権総合学習のポイント2「自分の生き方と結ぶこと」
人権総合学習のポイント3「地域・社会とかかわること」
2 とびだせたんけんたい「パワフルキッドちゃん」(一年)
ジャンボめいしでごあいさつ
学校探検
すてきなわたし
遊び場探検
さよなら夏の大祭り
いえの仕事 名人のまき
世界とあくしゅ
わくわくランドへようこそ
◆資料1/ 資料2
3 土はかせになろう(二年)
野菜をつくりたい
探検に行こう〈畑・農家・農協〉
野菜を植えよう
土はつくれるのか
つくった土で野菜を育ててみよう
野菜収穫パーティーをしよう
◆資料1/ 資料2
4 地域発見、くらし発見(三年)
地域探検に出かけよう
見つけよう地域のはてな
地域のはてなをさぐろう
いっしょにやってみよう
地域でやってみよう
◆資料1/ 資料2
5 とびだせ、環境探偵団(四年)
環境に関係ある施設を見に行こう
話を聞こう
ごみ調査に出発
ごみはどうなるのか調べよう
鍋田川にでかけよう
鍋田川クリーン作戦
学習発表会
環境会議をしよう
◆資料1/ 資料2/ 資料3/ 資料4/ 資料5/ 資料6
6 かやの、地球村(五年)
もののふるさとを調べよう
外国を調べよう
ウェルカムパーティーをしよう
外国を知ろう
やってみよう 音楽・踊り・料理
NGOの活動を知ろう
ホームページを作ろう
外国の子どもたちと友だちになろう
さよならパーティーをしよう
◆資料1/ 資料2/ 資料3/ 資料4/ 資料5/ 資料6/ 資料7/ 資料8
7 生きかたを考える(六年)
現在の社会の人権問題は何か
自分にとって一番重要な問題について
卒業論文・自分史を書こう
卒業式で研究発表をしよう
◆資料1/ 資料2/ 資料3/ 資料4
8 夢・出会い・発見
〜わたしたちのまちをつくろう!(六年)
理想のまちをつくろう
子どもの願いは実現できる
わたしたちのまちをつくろう
◆資料1/ 資料2/ 資料3/ 資料4

はじめに

 萱野小学校で、初めて総合学習をしてみようという声が起こったのは、一九九一年度の後半をすぎた頃であった。ちょうど校舎改築がはじまり、私たち教職員は校舎を見るということを主たる目的として、全国のあちこちに見学に行った。見学に行った先では、すばらしい校舎、固定概念を打ち砕いてくれるような斬新な校舎の数々に出会った。それらの校舎はもちろん建物としてすばらしいだけではなかった。私たちはそこで営まれている教育実践や、学校づくりの理念を持ち大きな理想を掲げてビジョンを持ってとりくんでいる教職員の姿に出会うことができたのである。新鮮な感動を覚えるとともに、やればできるんだ、やれば変わるんだと思えた。この共通の思いを持つことができたことが、萱野小学校の教育改革をすすめていく原動力になったのである。

 当時、学力保障が十分できていない、差別的事象が頻繁に起こる、保護者や地域の人が不信感を学校に対して持っているといった多くの課題に、私たちは悩んでいた。これをきっかけに、私たちは「空間の壁、時間の壁、人間(心)の壁を開く」ことを合い言葉にし、基礎学力保障と真に人権意識を高めるための総合学習にとりくむことにしたのである。この基本的な構想は各地のオープンスペースを持つ学校を見ることによって得られたものである。また、総合学習に注目しとりくむことになったのも、やはりその見学に負うところが大きい。

 私たちは、長年同和教育に真摯にとりくんできた。しかし、一九九一年度頻発して起こった差別的事象があり、私たちのとりくみが、子どもたちの心に届いているのだろうかということを検討せざるをえなくなったのである。すべての子どもが、自分自身に自信と誇りをもてるようになってほしい、自分自身や自分のくらしと結びつけて部落差別などのさまざまな人権問題を考え、生き方を考え、行動してほしいという私たちの願いがあった。ちょうど悩みのまっただ中にいた私たちは、さまざまな学校で総合学習を見ていくうちに「いいかもしれない」というインスピレーションを、「これだ」という確信に、次第に変えていった。そして、それを実現するのに総合学習はぴったりではないかという考えに至ったのである。

 一九九一年度の後半は「総合学習とは何か」ということを学習するのに費やされた。そして、一九九二年度より総合学習がスタートした。いろいろなところの総合学習を参考にしながら、萱野小学校らしい総合学習をしようとしてきた。そして、人権総合学習と名づけ、実践をすすめてきた。人権総合学習とした理由の詳細は「T 人権総合学習でめざすこと」にゆずるが、人権学習を総合学習としてとりくむことによって、私たちが課題としていることを解決する展望を見いだしたいという願いに基づくものである。

 一九九二年度以降、試行錯誤を繰り返しながら、今日まで実践をすすめてきた。その各年度の実践をまとめた『実践の記録』を細々とではあるが作成してきた。今、私の手元には七冊の『実践の記録』がある。じっくり読み返してみると、その時々の子どもたち、教職員、保護者、地域の人の顔や言葉が浮かんでくる。ドキドキしながら総合学習にとりくみはじめた初期の頃、さまざまなことに意欲的にチャレンジしている頃、悩んでいる頃などが入り交じっている。まさに試行錯誤の七年間であるということができる。

 今回与えていただいたこの機会に、萱野小学校が人権総合学習でめざしていることを整理し、七年間にわたる実践を基にした人権総合学習のプランを提案したいと考えている。そのことによって、子どもたちにとって意味のある人権総合学習をすすめることに、微力ながら貢献できればと考えている。

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