- はじめに
- 本書の使い方
- Chapter1 Q&Aでみる!学習指導と評価の考え方
- Q1 そもそも,評価の目的って何ですか?
- Q2 「目標」と「ねらい」はどう違うの?
- Q3 評価で気を付けなければいけないことは?
- Q4 評価規準作成のポイントは?
- Q5 「知識・技能」の評価ポイントは?
- Q6 「思考・判断・表現」の評価ポイントは?
- Q7 「主体的に学習に取り組む態度」の評価ポイントは?
- Chapter2 Q&Aと事例でみる!観点別・外国語活動の評価
- Q1 外国語活動の評価観点と趣旨とは?
- Q2 評価方法・評価場面は?
- Q3 どうやって評価するの?
- Q4 評価に導くための振り返りカードは?
- Q5 何を評価したらいいの?
- Q6 評価の見通しをたてるには?
- 知識・技能の評価事例
- 1 言語や文化について体験的に理解を深めている
- 2 日本語と外国語の音声の違い等に気付いている
- 3 外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しんでいる
- 思考・判断・表現の評価事例
- 4 自分の考えや気持ちなどを伝え合っている
- 5 自分の考えや気持ちなどを伝え合っている
- 主体的に学習に取り組む態度の評価事例
- 6 自らの学習を調整しようとする側面 相手に配慮して,コミュニケーションを図る
- 7 粘り強い取組を行おうとする側面 主体的にコミュニケーションを図ろうとする
- Chapter3 Q&Aと事例でみる!観点別・外国語の評価
- Q1 外国語の評価観点と趣旨とは?
- Q2 評価と4技能との関連はどうなっているの?
- Q3 「4技能」から見た「評価」は?
- Q4 「知識・技能」はどう評価したらいいの?
- Q5 「思考・判断・表現」はどう評価したらいいの?
- Q6 「主体的に学習に取り組む態度」はどう評価したらいいの?
- 知識・技能の評価事例
- 1 アルファベット@ 文字を聞いて分かる
- 2 アルファベットA 文字を発音する
- 3 アルファベットB 大文字と小文字の識別
- 4 アルファベットC 大文字を書く
- 5 アルファベットD 小文字を書く
- 6 語や語句@ 聞いて意味を理解する
- 7 語や語句A 読んで意味が分かる
- 8 語や語句B 書き写す
- 9 基本的な表現@ 活動中に評価する
- 10 基本的な表現A 活動後に評価する
- 思考・判断・表現の評価事例
- 11 聞くこと@ イラストや写真と結びつける
- 12 聞くことA 具体的な情報を聞き取る
- 13 聞くことB 必要な情報を聞き取る
- 14 聞くことC 具体的な情報を聞き取る
- 15 話すこと@ 筋道を立てて伝える
- 16 話すことA 内容を整理して伝える
- 17 話すことB その場で伝え合う
- 18 読むこと@ 読んで情報を得る
- 19 読むことA 読んで情報を得る
- 20 読むことB 読んで情報を得る
- 21 書くこと@ 例文を参考に書く
- 主体的に学習に取り組む態度の評価事例
- 22 自らの学習を調整しようとする側面
- 23 粘り強い取組を行おうとする側面
はじめに
2020年度からの新教育課程により,評価も「学習評価」という文言が使われるようになりました。その背景には,次のような反省があります。
学期末や学年末などの事後での評価に終始してしまうことが多く,評価の結果が児童生徒の具体的な学習改善につながっていない
(「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」中央教育審議会,2019,p.4下線筆者)
また,学習評価を「小学校学習指導要領解説総則編」では,次のように解説しています。
学習評価は,学校における教育活動に関し,児童の学習状況を評価するものである。「児童にどういった力が身に付いたか」という学習の成果を的確に捉え,教師が指導の改善を図るとともに,児童自身が自らの学習を振り返って次の学習に向かうことができるようにするためにも,学習評価の在り方は重要であり,教育課程や学習・指導方法の改善と一貫性のある取組を進めることが求められる。(p.93下線筆者)
このように,今までは「評価」と言っていたものを,児童の次の学習に活かしていこうという「学習のための評価」へのパラダイム転換がここに見られます。
これが,評価の大きな変更点の1つ目です。
2つ目は,「評定につながる評価」は,大きなまとまりごとに評価するということです。従来では,小刻みな評価を蓄積し,それを評定に結び付けていましたが,学習してすぐに身につくほど,簡単な学習はありません。学習にはある一定の期間を必要とし,その期間の習熟により,その時の児童の学力を評価するものです。児童の学習状況の把握は,見届ける視点として日々行うものの,評定につながる評価は,例えば,単元の途中で1回,単元末に1回のように,回数を減らして行います。特に「知識・技能」のように,ある一定の期間を経て身につけるというものは単元末に児童の学力を把握するのでも構いません。また,「思考・判断・表現」では,児童の思考等の深まりが,随時変化向上していきますので,単元の途中の段階でも,現在の「思考・判断・表現」の様子を評価することができるでしょう。
評価には,@診断的評価,A形成的評価,B総括的評価の3つがあります。診断的評価は,指導する前に行う学習状況の確認のための評価で,学習内容に関わる既習事項が,どの程度,児童によって理解されているのかを把握するためのものです。形成的評価は,児童の学習状況を把握し,評価し,修正し,次の指導に活かすことが主眼となります。今回の学習指導要領では,この形成的評価で教師が自身の指導を振り返るという点に加え,児童に学習状況を伝え,児童自身が学習調整力を図っていくために用いるということでは,学習評価であるといえます。総括的評価は,評価の蓄積により,見いだされた児童の学力の位置づけを数値等で表し,評定とします。
3つの評価と場面
(事前)診断的評価→(指導過程)形成的評価→(事後)総括的評価
本書は,新学習指導要領を見据え,小学校における外国語活動及び外国語科の学習評価について,その評価事例を指導と絡めて,できるだけやさしく解説しようと試みた著書になります。「むずかしいことをやさしく,やさしいことをふかく,ふかいことをおもしろく…」は,作家,井上ひさしさんが残した言葉です。本書もそのように感じとってもらえれば,うれしく思います。どうか最後まで目を通していただき,実践に活かしていってください。
2020年1月 岐阜大学教育学部 /瀧沢 広人
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