家庭教育ツーウェイ 2007年1月号
体験が語る 今どきの子ども部屋の条件

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家庭教育ツーウェイ 2007年1月号体験が語る 今どきの子ども部屋の条件

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ジャンル:
その他教育
刊行:
2006年12月7日
対象:
幼・小
仕様:
B5判 80頁
状態:
絶版
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目次

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特集 体験が語る今どきの子ども部屋の条件
「個室」が「子失」にならないための親の配慮
向山 洋一
教育社会学から見た子ども部屋の条件
子どもを“子ども部屋”に閉じ込めてはいけない
明石 要一
家づくりのプロが考える子ども部屋の条件
村山 透
家庭訪問…印象に残った子ども部屋
子どもを伸ばすと感じられる場、そうでない場
桑原 陽子
コミュニケーションがとれる部屋
手塚 美和
子どもの作品が、飾ってある家庭は「お子さんを大切にしているのだな」という思いが伝わってくる
吉田 高志
玄関でわかる家庭の中の子どものしつけ
西岡 美香
子ども部屋がなかった私はどう育ってきたか
ちゃぶ台で勉強してきた
舘野 健三
不便を感じなかったこたつや飯台の上
佐藤 道子
外遊びから野外活動中心で育ってきた
槇田 健
子ども部屋にあってはならないモノ、ないほうがいいモノ、備えておきたいモノ
自立するために、自分でコントロールできるような部屋
石川 裕美
子どもの脳に悪いモノは置かない
細羽 朋恵
「子どもが自分で勉強できる環境」にしてあげたい
伴 佳代
子どもが考えた理想の子ども部屋
テレビ、洋風、広い部屋
田村 治男
家族の干渉を受けず自分の世界を満喫したい
佐々木 尚子
子ども部屋のQA
「一人部屋がほしい」という子どもにどう答えますか
谷 和樹
発達段階で考える子どもと過ごせる時間は多くない
甲本 卓司
子ども部屋はどのくらい活用されているの?
瀧尾 恵美子
いろいろな国での子ども部屋
北アメリカ カナダでの子ども部屋南太平洋の島 ヤップでの子ども部屋
間宮 多恵
子ども部屋は格差社会の現れ!?
堤 信之
子ども部屋があってもなくても、子どもを大切にする姿は同じ(ブラジル)
山口 正仁
子ども部屋なんかないほうがいい―という意見
幼小のうちは不要・中高では戸のない部屋
水野 正司
条件付きであったほうがいい
槇田 健
子ども部屋の思い出
子ども部屋=勉強をする場所
赤木 雅美
押入れを改造した小さな空間が最初の部屋だった
松崎 力
母の階段の音が目覚ましベル
楢原 八恵美
男三兄弟の子ども部屋
橋本 信介
ミニ特集 世界最先端の学校事情と日本の学校のひらき
コンピュータ、英会話、補助教師が違った
向山 洋一
校長先生が変わって(代わって)、学校が変わります。
石黒 修
イギリスの普通の学校が日本では最先端!?
波多野 陽
Education! Education! Education!
向山 恵理子
ロンドンの学校―日本の学校とずいぶん違っていました
石黒 真衣
今月の名言・格言・ことわざ (第10回)
急がば回れ
岩野 節男岩野 紀子
向山編集長が語る「今月の名言・格言・ことわざ」 (第10回)
急がば回れ
向山 洋一
〜私は十年もの回り道で、「事実こそ大切」という立脚点を学んだ〜
編集前記
師尾 喜代子
子どもTOSSデーのドラマ
福島/成功体験でドラマを作る
小林 仁
福島/子どもたち・保護者「全員」が「楽しかった!」
斎藤 浩康
全国各地にTOSS式子ども地域教室を!
TOSS子ども地域教室とTOSS家庭教師事業とをリンクする
寺田 真紀子
幼児のドラマ、小1のドラマ、小2のドラマ
幼児/参観日に見える子どもの姿
杉谷 英広
小1/「準備ができたら、呼びに来てあげるよ」自分たちで何でもやりたい子どもたち
小井戸 政宏
小2/やったー!漢字テスト・百点だ!
岡ア 昌美
小3のドラマ、小4のドラマ、小5のドラマ、小6のドラマ
小3/七輪で焼いたほっぺが落ちそうなほどおいしいお餅
佐藤 貴子
小4/A君が泳げた。
今井 豊
小5/特殊学級から発信する
間嶋 祐樹
小6/授業で学級をつくり、一人一人を伸ばしていく。
上川 晃
礼法専門家から見た子どもたちの立ち居振る舞い
マナーの“あいうえお”で礼法も身につけよう
寺川 萬智子
「和の心」きもの教室からの贈り物
松浦 陽子
つぶやきに見る子どもの成長
つぶやきに学ぶ
水野 茂一
〜負うた子に教えられる・プラス思考〜
シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
行動の源
水野 美保
TOSS学生奮戦記
TOSS家庭教師始まる!
小嶋 悠紀
SOS 子ども・親が電話相談をする時
悪いことばかりする娘
波多野 ミキ
保健室から1ページ
ご家庭ですぐにできる体を大切にする実験の巻
松島 裕美
こんなときどうする?平山先生!
中学一年生のおねしょの対処法は?/食事に時間がかかる子の対応は?
平山 諭赤木 雅美
子育て日本の教育「貝原益軒・細井平洲・森信三」
早期教育は、大切です。でも、過保護・甘やかしは、子どもをダメにします。
石黒 修
藍川メソッド・音楽教育“常識”の間違い
音楽に国境はない?
藍川 由美
食育・親子で楽しく・ここがポイント
「塩」にもいろいろあります。成分と値段を比べてみましょう。
並木 孝樹
キャリア教育のポイント
さまざまな人に出会い、さまざまな思いに触れる。
櫛引 丈志
数字で見る子どもの姿
学校はどんな能力を身につけるか
明石 要一
中学から見た基礎基本
ロッカーをきれいにできる生徒は力を伸ばす
坂井 ふき子
教師・読者座談会 (第23回)
母親サークル 不安をひとりで抱えないで、共に考える
師尾 喜代子
親子で挑戦ペーパーチャレラン
一方通行チャレラン
伊藤 亮介
親子でたいそう
おすもう遊び・冬場所!!
村田 斎
親子で漢字文化ワーク (第22回)
神谷先生・辻野先生の漢字文化教室
神谷 祐子辻野 裕美
ライフスキル教育
いじめを許さない子を育てるライフスキルの授業
細羽 正巳
最前線・英語教育
英会話授業で子どもが変わる
井戸 砂織
最前線・インターネット教育
難しいわり算も楽しみながら学習できる!「わり算を楽しもう!」サイトのご紹介
岡本 真砂夫
母親ネットワーク
TOSS指導法の家庭教師事業が始まります
西岡 美香
校長が語るこれからの学校教育
教育の再生
吉永 順一
読者のページ
編集部ニュース
現代っ子アンケート・子どもインタビュー
子どもたちに日本の正月の文化を伝えられているか?
平田 淳
TOSSインターネットランドで勉強しよう!
漢字書き隊ナゾルンジャー
寒河江 恒太鈴木 恭子

体験が語る 今どきの子ども部屋の条件

「個室」が「子失」にならないための親の配慮

向山洋一

本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師

無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰

TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表


 長い間、小学校の教師をしてきた。

 家庭訪問があり、さまざまな家庭を見てきた。

 四十年近く昔、私は羽田空港近くの小学校に赴任した。

 昔、浅草海苔の本場だった街である。

 海苔をほした広場には、工場、アパートが建っていた。

 大家の子どももいて、アパートの子どももいた。借金からのがれるように流れついた人もいた。

 人情あふれる庶民の町だった。

 六畳一間に、家族六人がくらしている家族がいた。

 もちろん、子ども部屋はない。

 押入れの上、下にも寝るのである。

 たった一つのおぜんは、交代で使う机だった。

 「貧乏」は、大変な面があったが、子どもの将来はそれでは決まらない。

 両親が、子どもにかけた愛情と教育によって決まるのである。

 どれだけ貧乏であっても、両親が明るく、子どもをはげまし、正しくしつけているなら、その子は自分の可能性を伸ばしていく。

 この学校では、知能検査をすると、五段階の下半分に集中していた。

 五はおろか、四の子もいなかった。

 一と二が大半で、上位は三だった。

 でも、こうした教え子の中から、東大に現役合格した子も出たし、キャビンアテンダントになった子も出たし、青年実業家になった子も出てきた。

 商売をしっかりやっている子も多い。

 そして、そんな子の親は、やっぱり立派だったのだ。

 東大に現役合格した子の母親は、中学校を卒業して集団就職してきた人だった。

 「私は学問がなくて」と言っていた。

 夏休み「海辺の生物」の自由研究をする子どものために、一緒に何回も海に出かけていた。

 国立附属中の入学試験の前「学校を休む」ということは、なかった。それどころか、

「児童会」「委員会」のみんなの仕事を「ちゃんとやりなさい」と、させていたのである。


 時代がたつと共に、日本も豊かになっていった。

 三十歳をすぎて、私は田園調布地区の小学校に転任した。

 家庭訪問で、二軒の新築の家を訪れた。

 一軒は、会社の社長さんだった。

 御殿のような家に、立派な子ども部屋があった。

 おとなしく、礼儀正しい子だった。

 もう一軒も、立派な家だった。

 関西から東京に出てきて、商売で成功して、家を建てたのだった。

 すてきな、子ども部屋だった。

 「でもね、向山先生。

 寝るときは、家族四人で一緒の部屋に寝るんです。

 みんなで川の字で寝るの。

 子どもには、それが大切と思っています」

 外からでは分からない、学校の担任の先生だからこそ、教えてくれた親の考えであった。

 どちらにも、それぞれの考えがある。

 どれがいいとは言えない。

 ただ、「子ども部屋を与えればいい」ということではないのは分かった。


 私の娘の部屋を作るとき、一つだけ条件があった。

 それは、その当時、ミサホーム社長の三澤千代治氏との話が、心に残っていたからだ。

 三澤氏は、もちろん「家づくり」のプロ中のプロである。

 その三澤社長が、私に言った。

 「向山先生。子ども部屋は大切です。

 個室のつもりが、孤室になってしまうのです。

 それどころか、『子失』にもなりかねないのです」

 分かりやすいのは、入口の形だ。

 「ドア」か「引き戸」かである。

 「ドア」にはカギがあり、子どもがこもりがちになる。

 「引き戸」には、あまり、カギをつけない。

 子ども部屋に「カギ」があるか、どうかは大問題なのである。

 私は、娘の部屋を作るときは、「引き戸」で「カギなし」にした。

 また、小学校の間は、家族で川の形になって寝ることにした。


 さて、各地の状況はどうなのだろう。

 TOSSでは、「全国子ども調査」をインターネットで実施していた。

 よく新聞などで「子ども調査」があるが、ほとんどは「いくつかの学校」の調査である。

 専門家の明石千葉大学教授によれば

 「本格的調査なら全国三百地点以上が必要だ。

 それも、江戸時代の大名の領地、三百諸候の地域別がいい。風土が違うからだ。」

という。

 TOSSは、日本で初めて、本格的子ども調査を毎月実施した。その中に、「子ども部屋のカギ」があった。

 結果は次の通りである。


 自分の部屋がある子は、全体の七割くらいである。

 かなりの子が、個室を持っている。

 「カギ」の結果は、以外だった。

 ほとんどの家では、子ども部屋にカギをつけていないのである。

 個室を持っている子の中で、部屋にカギがあるのは、わずか一割にすぎない。

 調査の時、「人口比別」「各地方別」「学年別」の三つも、クロスして調査した。参考までにご紹介する。


自分の部屋に鍵はかかりますか

Q3 自分の部屋に鍵はかかりますか(男女別) (人)

鍵は

かかる 鍵は

かからない よく分からない

自分の部屋がない 計

男 211 1706 810 2727

女 223 1763 726 2712

計 434 3469 1536 5439


Q3 自分の部屋に鍵はかかりますか(人口比別)

かかる かから

ない 鍵はあるけ

ど使わない

(使えない) 鍵の有無は

分からない 自分だけの

部屋がない

人口1万人未満 7% 44% 6% 9% 34%

1万人以上

  3万人未満 7% 53% 2% 9% 29%

3万人以上

 5万人未満 11% 57% 3% 3% 26%

5万人以上

  10万人未満 6% 55% 3% 3% 32%

10万人以上

  30万人未満 7% 48% 6% 5% 34%

30万人以上 5% 57% 4% 2% 32%

▲人口比別、各地方別、学年別

 による調査


Q3 自分の部屋に鍵はかかりますか(各地方別)

かかる かから

ない 鍵はあるけ

ど使わない

(使えない) 鍵の有無は

分からない 自分だけの

部屋がない

北海道 4% 59% 5% 5% 27%

東北 6% 47% 7% 5% 35%

関東 8% 50% 3% 3% 36%

甲信越 7% 48% 4% 10% 32%

北陸 5% 61% 2% 12% 20%

東海 6% 63% 2% 2% 27%

近畿 9% 60% 4% 5% 22%

中国 2% 50% 4% 3% 41%

四国 5% 53% 3% 6% 34%

九州 7% 44% 7% 1% 40%


Q3 自分の部屋に鍵はかかりますか(学年別)

かかる かから

ない 鍵はあるけ

ど使わない

(使えない) 鍵の有無は

分からない 自分だけの

部屋がない

1年 10% 48% 4% 13% 25%

2年 6% 43% 3% 9% 39%

3年 6% 57% 2% 3% 31%

4年 5% 50% 5% 5% 35%

5年 8% 49% 5% 5% 33%

6年 8% 55% 2% 2% 33%

中学 6% 75% 4% 1% 15%


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