- 特集 子どもの能力を伸ばす「正しい食生活」
- 食卓でできる子どもの能力を伸ばす秘訣
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- 緊急・全国子ども調査―食の乱れと学校生活の乱れ
- 子どもたちの未来は、食育の具体的な取り組みにかかっています。「早寝、早起き、朝ごはん」を実践していきましょう。
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- 食の乱れと子どもの生活
- 食の乱れが偏食になる
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- 朝食と学校生活の関係
- 忘れ物が目立つ
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- 朝食が生活リズムをつくる
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- 間食と学校生活の関係
- 間食には、何をどのくらい食べるのか考えよう!
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- 間食は、子どもの好き勝手にしてはいけない。
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- 塾通いの子の夕食
- 生活リズムを第一に。夕食を工夫してとりましょう。
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- 心も満たされる夕食で生活のリズムを整える
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- 学校で始まる「食育」
- 教育ルネサンス 食育推進プロジェクトの提案
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- 子どもたちの「食」を家庭でも意識しましょう。
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- 保健室から見た食の問題
- 荒れた中学生を作らないため小学校の「食育」は最優先課題です
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- 手間かけて!食事は何よりの愛情表現
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- 食の情報館便り・私のおすすめ
- 突っ込んだ研究に使える三つの情報館
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- 子どもたちのごちそう、「すし」をいろいろな視点から調べる
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- お米のことを学ぶなら、“お米ギャラリー”へ
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- 最近の学校給食
- アレルギーへの対応―自校方式とセンター方式を比べて
- 地元の食材・季節のものをおいしくいただきます
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- 命に関わる食物アレルギーと学校給食
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- 我が家の食生活チェックリスト
- 手作り弁当と粗食が我が家の健康のもと
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- 食生活は、子育ての土台
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- アトピー克服から学んだ食生活
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- ミニ特集 小学校、中学校 受験のドラマ
- 受験には、すてきなドラマもある
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- 入学した後も、長い学校生活であることを忘れずに
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- 高校受験は、子どもたちが自立の階段を一歩踏み出す貴重な体験の場でもある
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- 十年後、二十年後を見据えて
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- 今月の名言・格言・ことわざ (第5回)
- ローマは一日にして成らず
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- 向山編集長が語る「今月の名言・格言・ことわざ」 (第5回)
- ローマは一日にして成らず
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- 〜毎日毎日続ける小さな習慣こそローマへの道である〜
- 編集前記
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- 静岡/五色百人一首県大会へ出させたい
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- 神奈川/子どもTOSSデー&母親サークル同時開催
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- 全国各地にTOSS式子ども地域教室を!
- 「TOSS式地域教室」は「公立塾」を応援します
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- 幼児のドラマ、小1のドラマ、小2のドラマ
- 幼児/兄弟で、暗唱直写スキルを奪い合う。TOSS教材のすごさを目の当たりにする。
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- 小1/五色百人一首の魅力にとりつかれた一年生。保護者も後押ししてくれた。
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- 小2/泳げるようになったよ!
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- 小4/あのA君がとび箱がとべた みんなで、パーティ!
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- 小5/泣きながらお礼を言われた最後のお弁当
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- 小6/写すことは大きな効果をもたらす
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- シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
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- 頭ジラミの卵発見なら医師にも負けない!
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- 自治能力が乏しい子どもたち
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- 教師・読者座談会 (第17回)
- 先生から暗唱と百人一首と母親ネットワークをもらいました。
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- 親子で挑戦ペーパーチャレラン
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- 親子で漢字文化ワーク (第17回)
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- 校長が語るこれからの学校教育
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子どもの能力を伸ばす「正しい食生活」
食卓でできる子どもの能力を伸ばす秘訣
向山洋一
本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
昨日銀座のシャンソンの店で、親友のワインの会があった。
彼は、早期退職して、フランス、ボルドー大学でワインを学んできた。
ワインの「評価の言葉」は、六百種あるという。
「評価の言葉」は「思いつきの言葉」ではなく、「他の人とも意見が交流できる」共通言語だ。
日本のテレビの料理番組では「うまい」「甘い」がやたら多く、せいぜい五種類ぐらいの言葉で表現されているのを見れば、「六百種の評価の言葉」は、想像を絶する豊かさだ。
「ワイン」の「文化の厚さ」を思わせる。
食の文化は、幅が広い。
ワインの会の席では、かねて親交のある知人と話がはずんだ。
さる中央官庁のトップにいた方だ。
「向山先生、最近、食育のことが大きな話題になっていますね」
「それは、食育基本法が成立したためでしょう。学校教育では、食育が重視されていきます。」
「食育という言葉になじめないのですが」
「それは、これまでの学校教育の基本、知育・徳育・体育に、言葉を合わせたからでしょう。
私は、食育ともう一つの職育(キャリア教育、ニート・フリーターを考える教育)が必要と思ってます」
こんな、話がはずんだ後、元政府高官氏は次のように言った。
「家庭での食事のマナー(例えばはしのつかい方)がきちんと教えられれば、教育の問題の多くは解決されるのではないですか」
これは、本当にその通りである。
教室で子どもを見る。
「はしを正しくつかえる少数の子」がいる。
「はしを正しくつかえない多くの子」がいる。
二つのグループの差は大きい。
落ちついていて、しっかりしていて、努力を続けられる子は「はしが正しくつかえる子」なのである。
もちろん、はしが正しく使えなくても、優秀な子はいる。
しかし、比率でいうと先のようになる。
一方「クラス一の忘れもの」「クラス一の暴れ者」の子のほとんどは、はしが正しく使えない。
「はしを正しく使える」には、家庭での教育の期間が必要だ。
一回や二回言ったぐらいでは正しく持てない。
私は、ことあるごとに父親に叱られ、母親からやさしく教えてもらって三ヶ月、ようやくできるようになった。
はしを持てるまでに「三ヶ月間の家庭教育」が必要だった。
政府高官氏は「私は、おばあさんに教えられた」という。
六十の二人の男が「はしを教えられた日々のこと」を、今でも鮮明に覚えているのである。
逆にいうとそれほど大事件であり、最初の成功体験であり、後々の人生で役立ったということなのである。
食育は、さまざまな分野にわたる。
私たちTOSSの教師は、読売新聞と共同して、食育推進の「テキスト」を作成した。
「食と野菜」「食と環境」「食と行事」「食と健康」「食と地域」など、さまざまなテーマを掘り下げた。
「子どもの能力を伸ばす」という点から考えると、食生活における「マナー」こそがまず考えられる。
このマナーを身につけている子は、自分の能力を伸ばしているというものである。
そんなに多くはない。
毎日の食事のときに、教えてやれば身につくことなのである。
第一は「いただきます」「ごちそうさま」のあいさつと言葉の意味。
第二は「正しいはしの持ち方」。
第三は「多くの食品をとることの大切さ」。
第四は「甘いものは、カルシウムをこわし、脳のコントロール機能を低下させる」という知識。
(私の娘は、今でも甘いものをほとんどとらない。)
第五は「残さない」ことが、世界の食料事情からいっても大切だということ。
「もったいない」という教え。
(私は飲み屋で、つまみが多く残るとおみやげにしてもらっている。)
第六は「わたりばし」などのつつしむべき作法。
第七は、自分の食器は自分で洗うなどの習慣。
これらの全部でなくてもいい。
いくつかが、できるようになるだけでも子どもの成長に役立つ。
例えば「食器洗い」一つでも、毎日続けられれば、その能力開花ははかりしれない。
私の本から引用しよう。
現在ではビジネスコンサルタントも使っているグラフである。
■ 子どもには、生れつきの差はそれほどないと考えていた。しかし、同じような能力を持ちながら、年を経るにしたがって差がついてしまう子どもの姿が不思議だった。年とともに伸びていく子どもたちは、環境がめぐまれている子に多かった。そうではない場合もあるが、それは数少なかった。
めぐまれた家庭で育った子には、持続性があった。ていねいさがあった。生れた時からの家庭教育の積み重ねがあった。
「努力は一つ一つ積み重ねるしかない。しかし、成長は、一歩一歩目に見えるように訪れては来ない。毎日毎日努力してなお、成長しない日が続く。水泳でもそうだ。一五メートルぐらい泳げて、二五メートルに達しない日が続く。毎日泳いでも、やっぱり昨日と同じなのだ。そんな時、ついあきらめがちになる。
でも目に見える成長はまだ訪れないけど、内では力が着実に蓄積されているのだ。何事にも初歩の域をぬけるには、百回の積み重ねが必要であり、一応の線に来るには千回の積み重ねが必要なのだ。一五メートル泳ぐことを百回すれば、必ず二五メートル泳げるようになる。将棋でもまず百局指してみることだ。和裁でも百枚縫えという教えがある。なわとびの二重まわしが連続百回できると、三重まわしができるようになる。勉強も百日、およそ三ヵ月だ。努力はAのように一つ一つ積み重ねなければならない。しかし、成長はBのように加速的に訪れるのだ。
(イラスト1)
努力して成長がBに見えない時が、一番つらいが、誰でもが通る道なのだ。」
努力係数などで自分を測ることも教えた。
「努力の持続性は、過去百日間の規則的作業をやった日数であらわされる。日記を例にとれば、きちんと長く書いて一点とし、手をぬいた時・まとめて書いた時を〇・五点とし、ぬかした日を〇点として合計を出す。
九〇をこえれば優秀であり、六〇を割ると要注意である。」
ぼくは子どもの能力を次のように考えている。
「知能偏差値と努力係数を足したものが、その子のその瞬間および近い将来の力である。」
知能の差だけではむろん学力は測れない。しかし努力係数と足した場合は、かなり正確であった。国立の付属や有名私立や都立に進学した子はみな、努力係数がずばぬけていた。そうした子は、努力係数がほぼ百であった。知能はそれほど高くなくても、そういう子は伸びた。 (拙著「教師修業十年」(明治図書) ■
食卓では、子どもの努力する能力を育てることができるのである。
間違っても、テレビを見ながらの食事にしてはならない。その行為は子どもの能力をすさんだものにしていく道である。
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- 明治図書