生活指導 2009年11月号
ケアしあう子どもたち

L672

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生活指導 2009年11月号ケアしあう子どもたち

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2009年10月7日
対象:
小・中
仕様:
A5判 123頁
状態:
絶版
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目次

もくじの詳細表示

特集 ケアしあう子どもたち
特集のことば
ケアしあう子どもたち
井本 傅枝
実践
小学校/まなざしがぼくを守ってくれた
由布院 桃太郎
小学校/孝夫にとって学校とは
佐藤 昌
中学校/王に癒されたのは誰か
岸田 幸雄
分析論文
「ケア」―「自立」と「共生」に向かって
福田 敦志
論文
「ケア」しあう関係性と生活指導の未来
庄井 良信
第2特集 特別支援学級の現場から
コーディネーターの立場から
困ったときこそ おたがいさま
真咲 倫子
担任日誌から
特別支援学級担任であるがゆえの困難さ
中嶋 淑也
とまどいからの出発
宗田 歩子
保護者の立場から
親から見た特別支援学級〜今、どんな変化が起きているか
神埼 みどり
論文
特別支援学級政策の現状と課題
杉浦 洋一
今月のメッセージ
それでもナスは育った
志賀 廣夫
私の授業づくり (第8回)
小学校(道徳)/「本当は、貸したくなかったんだ。」
町田 英子
中学校(道徳)/本当にそうなんか?
高木 安夫
実践の広場
子ども文化の世界
子どもたちの文化からスタート
鈴木 正
貧困・格差と子どもたち
困難さの中で
近藤 俊克
学級のイベント
学級・学年イベントは楽しくなくっちゃ!
稲垣 なほみ
学年・学校行事
みんなが楽しい全校遊び
宅田 紀子
部活動・クラブの指導の工夫
子どもとともにワクワクしながら劇づくり
御木 聖子
職員室の対話
卒業式って何?
飯塚 守
手をつなぐ―親と教師
「お母さん、がんばってるよ」
河端 純子
私が教師を続けるわけ
まわりのみんなに支えられて
松田 圭一
若い教師のメッセージ
私を支えてくれるもの
春山 寛明
案内板 集会・学習会のお知らせ
教育情報
韓国の高校の多様化政策と国際高校
小島 優生
風の声―この人に聞く
語りついでください、あの時代のことを!
竹内 静代
読書案内
『「ホームレス」襲撃事件と子どもたち』
竹内 常一
読者の声
9月号を読んで
集まろう!若い教師たち (第3回)
ふり返って見えてくるもの
池田 充善
地域生活指導へのアプローチ (第3回)
共に暮らす地域の創造と実現
坂本 ちづ子小泉 晃彦
全生研の窓
編集後記
井本 傳枝

今月のメッセージ

それでもナスは育った―活動は仲間を創り未来を育てる

指名全国委員 志賀 廣夫


ちょっとしたきっかけで、大学の校内に畑を持つことが出来た。


[活動は仲間をつくる]

口利きをしてくれたA教授に案内されて畑(栽培園)に行くと、実施責任者のBさんが長靴の音を響かせながらやってきた。そして、A教授から話を聞いた後、「秋には大根を植えるので、それまでここの空いている畑の草取りをするつもりで使ってごらん」と、一応の承認をしてくれた。しかし、家が二軒建てられる位の広さの畑を前に思わず尻込みしてしまった。結局「ここだけでいいです」と、その一角の猫の額ぐらいの畑を使うことになった。Bさんは、少しがっかりした表情で私のか細い指を見ながら、「土いじりはやったことがあるかね」と聞いてきたので、「ほとんどありません」と答えた。少し不安な気分になった。

[つながりは未来を明るくする]

そんな初心者の不安な気持ちを、数少ない知人たちに大きな声で話していた時である。たまたまそばを通りかかった学生が「僕の専門は植物学です。先生のお手伝いが出来ればと思って声をおかけしました」と、言ってきた。その一言で、目の前が一気に明るく輝いた気がした。救いの声の主は、学生の加藤君であった。

[活動は学びを育てる]

すぐさま、加藤君の新車に乗って約5キロメートル離れている園芸店に苗を買いにでかけた。小学校の教員をしていた頃、理科や生活科の授業でジャガイモを栽培したことや、友人の畑を若干手伝ったことはある。しかし、本格的に野菜を栽培することは初めてだったので、苗選びひとつにも大変苦労をした。育てたいと思っているナスの苗だけでも「米ナス」「白ナス」「長ナス」などいくつもの種類があることがわかった。最終的にはナス三種類と「ミニトマト」「プチトマト」「ピーマン」「シシトウ」を一本ずつ買って畑に向かった。

[活動はリーダーを必要とする]

5月の上旬といえども日差しは強く、立っているだけでも頭がクラクラするような陽気であった。早速、私たちはBさんに話をして、農具小屋から鍬や鋤とジョーロを貸してもらった。しかし、畝の高さやとなりの畝との間など、よくわからないことばかり。素人にとってはまさに手探り状態の作業だった。そんな私たちの様子を見かねたBさんが、近づいてきて詳しく教えてくれた。こうしてなんとか苗の植え付けを終了した。そして、あの日から二ヵ月。私たちの小さな畑には、ナスをはじめ野菜がひとつ、またひとつと実をつけはじめている。


貧困が広がり子どもたちがますます生きづらくなっている昨今、子どもたちの活動も貧弱になっている。しかし、子どもたちの要求に即した活動は、必ずや仲間との新たなつながりを育て、学びを創り出せる実践テーマになるに違いない。

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