生活指導 2007年12月号
子どもと出会い直す―若い教師の奮戦記

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生活指導 2007年12月号子どもと出会い直す―若い教師の奮戦記

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2007年11月6日
対象:
小・中
仕様:
A5判 124頁
状態:
絶版
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目次

もくじの詳細表示

特集 子どもと出会い直す―若い教師の奮戦記
子どもと出会い直す―若い教師の奮戦記
井本 傳枝
小学校実践
「先生、わかってないな」
山路 ことは
コメント 山路実践について
間違いを自覚することで、子ども観・指導観は深まる
住野 好久
コメントを受けて
教師根性にまどわされない!
山路 ことは
小学校実践
肩書きのないリーダー
今村 幸子
コメント 今村実践について
理積み軽(リズミカル)な対話が自治の課題を喚び起こす
赤羽 潔
コメントを受けて
私の結論〜リーダーを頑なに拒むクラスでも「核づくり」は必要〜
今村 幸子
中学校実践
ハートに灯をつけたい
児嶋 五月
コメント 児島実践について
子ども達に何を伝えようとしたのか
本田 広行
コメントを受けて
ありのままの自分から
児嶋 五月
第2特集 神奈川発・'07年夏(第49回全国大会報告)
T 大会に学ぶ
学習参加者の声
みんなちがってみんないい
苅谷 節子
神奈川大会をバネに
小池 清
総会発言から
山形サークルは、これからも成長し続ける!
田中 洋子
シンポジウムから
今、子どもと学校は
釋 鋼二
学生・院生・若手の集い2007
今、若手だからこそできること
梶岡 寛之
学童・保育から
学びの保障−学童・幼児保育
工藤 正啓
開閉会セレモニー
学び、つながり、そして感動!の一年間
国澤 しずの
U 大会報告
基調提案を読んで
基調提案を学級と「時代」の接点に
堤 公利
納得できた三つのこと
池田 憲一
『公共空間』の共有から自治へ
福田 八重
研究総括の視点として
リーダー像とその指導観を求めて
折出 健二
大会総括
神奈川大会を振り返って
坂田 和子
現地実行委員会報告
四つの目標を立てて臨んだ神奈川大会
国澤 誠
今月のメッセージ
「沖縄で教科書検定意見撤回を求める県民大会に十一万人」に思う
岸田 幸雄
私の授業づくり・道徳 (第9回)
小学校/“私ってこんな人デス!”
今関 和子
中学校/本当に大切なことを考える秋
佐藤 くみ子
実践の広場
学級のイベント
みんなで楽しむ「ミニバレーボール大会」
星 徹
学年・学校行事
学年親子で楽しんだミニオリエンテーリング
有賀 貞文
学びの素材
自分の夢と友達の夢を合わせて「夢新聞」を作ろう
本杉 直代
子どもの生活を見る
出会い直しと「怨み」
近藤 俊克
部活動・クラブ活動の工夫
子どもたちがつながる“けん玉・こまクラブ”
山内 貞義
心に残る子どもとの対話
対話を通して子どもを知る
瀧内 英二
手をつなぐ―親と教師
時代を生き抜くために親子のホッとタイムを
安原 昭二
掲示板Y・O・U
熱田 智永井 公一朗
ホッと一息・コーヒータイム
私のオフタイム
笠原 昭男
マンガ道場
猪俣 修新田 行雄
案内板 集会・学習会のお知らせ
教育情報
学習指導要領はどのように変わろうとしているのか
高橋 英児
北から南から
各地の基調提案 埼玉
栗城 利光
〜〈2007年/埼生研・基調提案〉「つながる・つなげる・ひらく」〜困難な時代の教師の生き方と集団づくり〜〜
読者の声
10月号を読んで
シリーズ/各地の実践
千葉
橋元 義文
〜全学級「崩壊」学年から学校づくりへ〜
全生研の窓
編集室だより&組織部だより
編集後記
井本 傳枝

今月のメッセージ

「沖縄で教科書検定意見撤回を求める県民大会に十一万人」に思う

常任委員 岸田 幸雄


九月三十日の朝、新聞を見て驚きました。朝日新聞の一面トップに「教科書検定意見撤回を求める県民大会」が十一万人の大集会になったという記事とその集会の様子を写した写真があったのです。このところ忘れていた胸の高鳴りを感じました。その集会で発言した読谷高校三年生の「たとえ醜くても真実を知りたい。」という言葉も、この問題の本質を言い当てた表現だと思いました。

その前の週、私はある都立高校の文化祭を見に行ってきました。その都立高校は進学校の部類に入り、「自由」で生徒の自主性に任せることが伝統とされています。私は既に何度も中学三年生を担任し、高等学校に進学させてきました。そして、その志望校を決めるにあたって学校説明会や文化祭を見に行くことを勧めていたのですが、自分自身が都立、私立を問わず東京の高等学校の文化祭を見たのは初めてでした。そこで私が考えたことは、高校間の、そして高校と中学校の「自由と自治」についての「格差」についてです。戦前の日本では高等教育では批判的精神を伴った学問をするが、中等教育以前は「学問の自由」・「教育の自由」はないという考えです。戦後それが日本を戦争に導いたという反省から「日本国憲法」「教育基本法」が作られたはずでした。ところが「できん者はできんままで結構。(中略)せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです。」と公然と唱える三浦朱門が会長を務めた中教審が〇三年に教育基本法の見直しの答申を出し、そしてついに昨年「教育基本法」が「改正」され、国民投票法により、三年後の憲法「改正」に向けてのレールも引かれ始めています。

先日私の学校で、二年生数人が携帯電話を持ち込み、授業中に隠れてメールのやり取りをするという事件がありました。その事件を受けて学年集会を開いたのですが、学年集会から教室に戻ってくると、「どうして私たちも怒られなければならないの。持ってきたやつを先生が指導して持ってこなくさせればいい話ではないか。」という不満が次々に出てきました。私はその勢いに驚くとともに、「落ち着いた学校」と言われてはいるが彼らはこんなに不満を抑えてきていたのかと思いました。私はこの機会を捉え、携帯電話を持ってきた者もそうでない者も、そもそもなぜ「学校に携帯電話を持ってきてはいけないのだろうか。」ということを自分の頭で考えさせようと、議論をさせました。ところが、「他人に迷惑をかけなければ本人が損するだけだからいいではないか。」という意見に対して、人数では圧倒的多数の「持ってきてはいけない」派は、「校則に『学習に関係ないものを持ってきてはいけない。』と書いてある」という事以外言えず、まともに反論できませんでした。ようやく沈黙に耐えられず、学級委員の守男が言った「そもそも学校に何のために来ているの?」に対して、携帯電話を持ち込んでいた一人の友子が「友だちと会いに来ている。義務教育でなかったら学校なんて来ない。」と言いました。また、「先生はなぜこんな話し合いをさせるの?(結論は決まっているでしょ。)持ってきた生徒に先生が説得すればいいじゃない。」ともう一人の携帯電話を持ち込んだ眞子が言いました。

「他人に迷惑をかけなければ本人が損するだけだからいいではないか。」は「できないものはできないままでいい。」という考えであり、生徒は教師が伝達する「正解」を覚え、従うことが「学習」でありそれを競うのが学校だと思っています。十月に入り日本郵政公社がJPになりました。これから郵政民営化に賛成した人たちが「そんなはずじゃなかった。」と思うでしょう。日本国憲法が「改正」された後、「そんなはずじゃなかった。」と思うことが無いように、「みんなで学びみんなで賢くなろう」という学校をつくらなければいけないという思いを、今回強くしました。

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