生活指導 2006年6月号
集団づくりをどうすすめるか―子どもをつかむ実践のポイント

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生活指導 2006年6月号集団づくりをどうすすめるか―子どもをつかむ実践のポイント

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2006年5月8日
対象:
小・中
仕様:
A5判 124頁
状態:
絶版
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目次

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特集 集団づくりをどうすすめるか―子どもをつかむ実践のポイント
集団づくりをどうすすめるか―子どもをつかむ実践のポイント
大和久 勝
対話の指導
小学校/子どもとどう対話するのか
鈴木 和夫
中学校/中学生とどう対話するか
栗城 順一
討論の指導
小学校/学びへの通路
中野 譲
中学校/事件・出来事から学ぶ
高木 安夫
決議・決定の指導
小学校/集団に支えられているからこそ決定は生きる
志賀 廣夫
中学校/学級・学年総会へのプロセスを中心として
花山 尚人
リーダーの指導
小学校/リーダーが育つお葬式、教えます
由布院 桃太郎
中学校/影響力のある子どもすべてをリーダーと考えて
柏木 修
班・グループの指導
小学校/子どもと一緒に「みんなで生きる」意味を問い直す
宮本 誠貴
中学校/活動の評価・総括を大切に
木村 勝明
授業集団の指導
小学校/子どもどうしが出会い直す授業を創造するために
坂田 和子
中学校/学びの共同体をめざす
谷尻 治
第2特集 『子ども集団づくり入門』をどう読んだか・Part2
『子ども集団づくり入門』の集団づくり像を検討する
船越 勝
チーム、コーディネートの世界と学校文化
鈴木 庸裕
確かな“分かりやすさ”を発達矛盾と社会矛盾の交点に
赤羽 潔
現実をきりひらく子ども集団づくりの探求
近藤 郁夫
困難な教育現実の中で、どう希望をひらくのか?
楠 凡之
プロフェッショナルな生活指導教師になるために
住野 好久
今月のメッセージ
物語は、これからはじまる
溝部 清彦
若い教師のための子ども集団づくり12か月 (第3回)
小学校6月/遠足や校外学習をどう楽しむか
志賀 廣夫
中学校6月/部活動を学校づくりに生かす
加納 昌美
実践の広場
私の教室
「みんな仲間」だ! 全員でつくり上げた学習発表会
龍澤 英之
学びの素材
憧れを現実に
上野 真
すぐ使える遊び・ゲーム
クラスを救った「島渡り」ゲーム
水木 涼
部活動・クラブ活動の工夫
『スポーツクラブ』による部活動の活性化
佐貫 正彦
子どもの文化事情
学校で遊ぶなら、友達と一緒がおもしろい!
飯塚 弥生
手をつなぐ―親と教師
教育実践は、自己のケアからはじまる
竹内 元
心に残る子どもとの対話
お金じゃ買えないもの?
塩崎 義明
掲示板Y・O・U
柏木 伸一篠崎 倫也苅谷 真由美
北から南から
各地の基調提案 北関東
〜〈第三〇回北関東地区学校基調提案〉豊かな共同と自治を育てる集団づくりを〜
教育情報
教育基本法施行五九周年の日に―教育基本法「改正」のゆくえ
高橋 英児
ホッと一息・コーヒータイム
私のオフタイム
徳井 裕子
マンガ道場
濱武 準子猪俣 修
読者の声
4月号を読んで
全生研第48回全国大会案内
編集後記
大和久 勝

今月のメッセージ

物語は、これからはじまる

大分ラ・フォンテーヌ 溝部 清彦


 子どもたちとの出会いから、ひと月がすぎました。

 本当の物語はこれからはじまるのです。この物語の主役は、だれでしょうか。取り組む子どもが決まっていないようでは、これからの道のりは険しくなりますよ。私のクラスの主役は、小次郎です。名前こそ小次郎ですが、見かけは大次郎です。始業式の午後、お母さんが電話してきました。

「うちの小次郎は喘息がひどく、毎日9時前にしか登校できませんから、よろしく。」

「はい!わかりました。」

 わたしは、愛想良く答えました。けれど納得はできません。だって小次郎は、授業中に本もノートも出さないのです。

「勉強は?」

「おれ?……いい。」

 遠慮されても困ります。

 聞けば喘息のため、家から出たことがないそうです。お母さんの帰りを待ちながらテレビゲームをする毎日だそうです。

(小次郎を連れて、外へ出たいな)

 わたしは思いました。主役は小次郎。わたしは寄り添う教師。けれど主役を支える脇役が必要です。わたしは小次郎のように教室で淋しく過ごしている子どもを探しました。そして、

「今日の放課後、遊びに行くから……」

 声をかけました。小次郎は、待ち合わせの時間前から校門の周りをウロウロしています。小次郎をわたしの二人乗りの軽自動車に乗せて出発です。

「なんでこの車は、こんなに小さいの?」

「あんたが、大きすぎるんじゃない?」

 わたしたちは、五分もしないうちに穴掘り名人の家へ着きました。庭には、ブルーシートをかけています。名人は、ぱっとシートをはぐと中からスコップを取り出しました。二人はそれからしばらくの間、穴を掘り続けました。


  せんせいうれしい

  だって車に乗せてくれたから

  ちっこいクルマだったけど

  乗り心地は世界一だった


 次の日、小次郎はわたしと一緒に詩を書きました。

 子どもたちの中に眠っている物語を呼び覚まし、子どもと子どもの人間ドラマをつくる。小さな物語がいくつも重なって、ひとつのエピソードが出来上がります。さあ、これから本当の物語がはじまります。

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