生活指導 2003年7月号
学級ってなんだろう―学校改革の中で学級をどう位置づけるか―

L593

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生活指導 2003年7月号学級ってなんだろう―学校改革の中で学級をどう位置づけるか―

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2003年6月
対象:
小・中
仕様:
A5判 124頁
状態:
絶版
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目次

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特集 学級ってなんだろう―学校改革の中で学級をどう位置づけるか―
学級ってなんだろう―学校改革の中で学級をどう位置づけるか―
鈴木 和夫
学級ってなんだろう―学校改革の中で学級をどう位置づけるか・実践
小学校/奈美の出会い(小六)
塩崎 義明
小学校/学級やグループに外からの風を吹き込む構想を持って
勝野 一教
小学校/「学級」をめぐる子どもたちの話し会い
新谷 開
中学校/語り出す子どもたち(2)
学級を広場へ押し出すために
安子島 宏
中学校/ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために
高木 安夫
分析的論文
いま〈学級〉をどのように問うのか
船越 勝
第2特集 学校カウンセラーと生活指導
苦悩する学校の教師の伴走者として
伊藤 美奈子
カウンセラーから見た学校
園部 潤子
子どもの声が聴かれ、応答される公共空間の創造―教師とカウンセラーとの共同の可能性を考える―
楠 凡之
今月のメッセージ
学校にゆったりした時間を
古関 勝則
風の声―この人に聞く
バグダッドの高校生との対話
小川 直美
生活指導研究コーナー
文化的市民性の確立とネットワーク社会化は集団づくりになにをもたらすか
藤井 啓之
教育情報
戦争と子どもたち
横川 嘉範
ほっとたいむ サークルからの発信
地道に歩む町田サークル
本山 智子
案内板 集会・学習会のお知らせ
読者の声
5月号を読んで
投稿 実践記録
不登校ぎみな和夫とともに
岩田 富雄
コメント
湯浅 恭正
全生研第45回全国大会参加要項
編集後記
鈴木 和夫

今月のメッセージ

学校にゆったりした時間を

指名全国委員 古 関 勝 則


久しぶりの三年生担任。六年担任を二年続けたので、三年担任は新鮮そのものであった。

五月、福島にも春が来る。子どもたちを裏山に誘う。

「今日の五時間目は、あったかいから裏山に行ってのんびりしようか。」

「わーい。でも、先生、なにやるの?」

「何もしないで、ずっと空を見てるのはどう?」

「えーっ。」

「行くと楽しいって。」

子どもたちとブルーシートを持っていく。裏山には、リンゴの木があり、学校農園もある。ここは誰にも見られずのんびりできる絶好の場所である。さっそくこう言った。

「なんにもしなくていいんだよ。」

 子どもたちは歓声をあげながら、広げたブルーシートに座ると、寝転がったり、馬乗りになったり、気の利いた子は自由帳に景色を描いたりと様々。放課後は、塾・習い事とスポーツ少年団とゲームの生活の子どもたち。「何もないところで遊べるのだろうか。」私は横になって眠りそうになりながら子どもたちの様子を見ている。

走り幅跳びが始まった。十メートル近く助走をして、少し高くなっているところから畑に向かって跳ぶ。一人二人と人数が増え、十人近くが並ぶ。計測は、友だちにちょっときついが、仕事のできる詩織ちゃん。いい加減に線を引いて、

「ただいまの記録、三位。」

と大きな声。子どもたちは一斉に、

「すごい。」

という声。今度は踏み切るところに跳び終えた子どもが馬になって、その上を跳び始める。なるほど、今度は高さを楽しみ始めたのだ。スリルがあるようで大騒ぎ。跳び方の下手な子どもは、馬になっている子どもを蹴ってしまう。しかし、助走距離があってもスピードがないので、たいしたことはない。運動が全くだめな由紀ちゃんも「行くぞー」と言って真剣な表情で、ゆっくり走っていく。

 畑の方では、スポーツ大好きの亮君と裕太君が前転を始めた。くるくる回って土だらけ、なるほど、少し柔らかい畑の土の上を転げ回るのは気持ちがいいかもしれない。男の子がまねを始める。

 私の隣にいる彩花ちゃんたちは、

「眠いぞー」

と言って大きな声を出している。そのうち、友だちがどんどん彩花ちゃんの体に乗っていく。彩花ちゃんが

「やめてくれー」

と叫ぶと、真奈美ちゃんが、

「はい、次の人ね。」

と交代。

あっという間に一時間が過ぎて、学校に戻った。

慌しい毎日の中、子どもたちはこんな時間を求めているのだなあとつくづく感じる。「社会の急激な変化に対応する」ばかりでなく、時間の流れをゆっくりすることで、子どもたちは安心し、仲間のよさを発見していくのではないだろうか。教師もこんな時間だったら優しい言葉がかけやすくなる。子どものよさもたくさん見えてくる。今年もゆったりとした時間をつくり出し、大切にしていこう。

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