まるしん先生直伝!研究主任の仕事大全
より良い研究に取り組むことで、学校は活性化し、先生たちはやりがいをもち、子どもたちは笑顔になります。研究主任がすべき仕事、まるごと教えます!
研究主任の仕事大全(10)
研究の振り返り方
成果と課題を明らかにする
立命館小学校丸岡 慎弥
2023/3/5 掲載
  • 研究主任の仕事大全
  • 教師力・仕事術

一年のまとめとして、研究部会で振り返りをていねいに行いましょう。ここで、どのような振り返りをするかによって、メンバーの研究成果の定着度が変わってきます。

成果をメンバーから出す方法

 研究のまとめでは、

本年度の研究の成果はどんなことでしょうか?

と、まずは、プラス面をできるだけたくさん出すようにしていきます。
 先生たちには、「よい面だけ見てくださいね。悪い面は、今は一切見る必要はありませんよ」とも伝えるとよいでしょう。
 次のような方法で意見を集めていくことが考えられます。

○事前にアンケートをとる

 事前アンケートのよさは、何といっても「時間短縮」です。また、先生方に部会の見通しをもってもらうこともできますし、こちらで意見を整理しておくこともできます。
 ただ、そのときの臨場感をもって書くことができないことが難点です。先生方のモチベーションによってはばらつきがみられることもあります。

○カードに書いて貼っていく

 意見をたくさん出した後にカテゴライズ(分類)することができることが強みです。カテゴライズすることで、より成果をはっきりとみることができます。司会である研究主任はファシリテートの腕の見せどころです。研究主任がどのようにまとめられるかがポイントになります。

○一人一人順に発言していく

 いわゆる「インタビュー形式」で聞いていく方法です。一人一人に切り返すことができるので、深く聞くことができますが、時間がかかってしまいます。また、研究主任の板書力が求められます。

 どのまとめ方がいいのか、まとめ方を組み合わせて活用してみるとよいでしょう。

課題の整理はバランスが大事

 よい面を出し合ったら、次は課題の整理をしていきましょう。ただし、課題の整理には慎重になる必要があります。成果と課題のバランスを考え、次年度につながる振り返りを行います。
 成果と課題は、

成果:課題=3:1

で出してもらうと、バランスよく振り返ることができます。
 その後、よい面と悪い面を出し合ったものをカテゴライズ(分類)し、本年度の成果と課題を確認しあいます。こうして、本年度の研究の成果と課題をあぶりだしていき、次年度の研究へとつなげていきます。
 ともすれば「成果と課題は研究主任が言って終わり」なんてケースもあるかもしれません。しかし、それでは、次年度に生きた意見を引き継ぐことができないのです。「自分が生み出した」という当事者意識があるからこそ、研究に本気になれます。

冊子にまとめる意味とは

 成果の一つとして、研究冊子にまとめるということも多いかもしれません。研究の振り返りという実質的な面はもちろんあるのですが、裏の目的として「学校全体を巻き込む」ことが挙げられます。
 そのためには、

(できるだけ)全員の文章が冊子に掲載されるようにする

ことが大切です。一人一役を意識して冊子づくりをすると、研究主任が「ありがとうございました」と言える人が増えていきます。研究のまとめ役である研究主任が、きちんと「ありがとうございました」とお礼を言えるようにすることで、研究をしてよかった、という空気を醸成するのです。

丸岡 慎弥まるおか しんや

1983年、神奈川県生まれ。三重県育ち。皇學館大學卒。立命館小学校勤務。道徳科教科書編集委員。関西道徳教育研究会代表。NLPやコーチングといった新たな学問を取り入れて、これまでにない教育実践を積み上げ、その効果を感じている。
丸岡慎弥のblog★
https://ameblo.jp/marushindozo
関西道徳教育研究会HP
https://fa.fureai-cloud.jp/kansaidouken
オープンチャット「まるしん先生の道徳教育研究会」運営
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(構成:林)
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