きょういくじん会議
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学校で「医療的ケア」が必要な子ども―文科省調査結果より
kyoikujin
2009/4/20 掲載
ケアが街にやってきた―医療的ケアガイドブック

 文部科学省は、15日、全国公立特別支援学校における 医療的ケア実施体制状況および訪問教育実施状況の調査結果を公表した。
 医療的ケアとは、経管栄養やたんの吸引などのことで、特別支援学校に通う子どもの中には、障害により日常的にこれらのケアを必要としている子どもがいる。
 また、訪問教育とは、学校に通うことが困難な子どものために家庭や施設、病院に教師が出向いて指導を行うことである。

調査結果から

 調査結果によると、平成20年5月1日現在、特別支援学校に在籍する小学部の児童の10.0%(在籍者数33,273名中、3,330名 訪問教育を含む)、中学部の生徒の6.2%(在籍者数25,084名中、1,552名 訪問教育を含む)が医療的ケアを必要としている。また、必要とされる医療的ケア項目も、教師が行うことが容認されている経管栄養や咽頭手前までの吸引にとどまらず、気管切開部からの吸引や、ネプライザー等による薬液の吸入など多岐にわたる項目があげられている。
 実施にあたっては、看護師のみで行っている県が22に対して、看護師と教師で行っている県が38と多い。そして、教育委員会もしくは学校で医療的ケアに関する研修を行っていないのは5県にとどまる。
 各県では医療的ケアを推進するための事業を展開しており、宮城県では、学校を巡回指導する医師による支援体制を整え、教員と養護教諭が看護師と連携の上、医療的ケアを実施することをすすめている。
 文部科学省は、「養護学校における医療的ケアに関するモデル事業」(平成15年度)「盲・聾・養護学校における医療的ケア体制整備事業」(平成17年度)をすすめるなど医療的ケアの在り方を模索しているのだ。

通常の学校においても…

 医療的ケアは、特別支援学校のみにかかわる問題ではない。
 2006年、気管切開手術を受けて、吸引器によるたん吸引が必要な東京都東大和市に住む女児の保育園入園を拒否したのは違法としておこされた裁判について記憶されている方もいるのではないだろうか。
 判決は「普通保育園での保育は可能、入園を承諾しなかった市の処分は違法」である。女児は、保育園卒業後、通常の小学校へ入学している。

 障害や病気があっても、

すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。(憲法第26条1)

と定められている。
 本調査結果が、医療的ケアが必要な子どもであっても、学校で仲間とともに学びあえる環境づくりにつながることを願う。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • s
    • 2009/4/21 21:18:33
    障害や病気があっても、

    すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。(憲法第26条1)


    上記の法律に書いてあるからと言ってそれをここまで拡大解釈する必要があるのか疑問です。
    変な平等主義が学校ばかりか行政法律まで浸食しているように感じます。
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