著者インタビュー
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知的障害のある子を支える支援機器
国立特別支援教育総合研究所総括研究員金森 克浩
2015/12/16 掲載

金森 克浩かなもり かつひろ

国立特別支援教育総合研究所 教育研修情報部 総括研究員。

―今号の特集は、「ICT活用で知的障害のある子の理解とコミュニケーションを支えよう」とのことですが、知的障害のある子へのICT活用はなぜ進まないのでしょうか?

今回の特集を作ったきっかけは全国の特別支援学校に回っていて「知的障害特別支援学校ではなかなかICT活用が評価されていない」と感じたからです。そこで,坂井聡さんからはどんな課題があるかという事を書いてもらいました。坂井さんからは課題と解決方法を示してもらいましたので,ぜひ読んでいただきたいのですが,その1つには「安易にICTを導入すると、できるはずのこともできなくなってしまう。」ということがあります。これまで出来なかったことが,ICT機器を使うことでできるようになります。そういった経験を積むことが他の多くの活動に生かされていくと思っています。

―知的障害のある子の理解を支えるために、例えばどんなICT活用方法がありますか?

知的障害のある子どもたちは,一般の教科書などの教材は使えないと思われています。でも,教科書がデジタル化することで映像を使ったり,音声で文字を読み上げさせれば理解しやすくなります。また,記憶することが苦手でも,カメラ機能を上手に使えば写真に撮ったことさえ覚えていれば思い出せます。現代のビジネスマンがスマホやパソコンでやっていることは「知的機能を支援する」活動ですが,同様に知的障害のある人たちにとっても有効であるといえます。

―知的障害のある子のコミュニケーションを支えるためにはどんな活用方法があるでしょうか?

これまでにもVOCA(携帯型会話補助装置)などさまざまなコミュニケーション支援機器が使われてきました。ただし,それらの課題は価格が高かったり,手に入りにくかったりしました。しかし,最近出てきたタブレット端末なら,家電量販店ですぐに購入できますし,それぞれに対応したVOCAアプリが豊富にあるので,気軽に使い始められます。もちろん専用品の良さはあるので,上手に使い分けないといけませんが,その具体的な事例についてはぜひ本書をお読み下さい。

―ミニ特集で紹介されている最新機器情報について、おススメを少し教えてください。

前記のようにタブレット端末の中ではiPadは対応したアプリが豊富に揃っているので,おススメです。また,その活用については,特集で紹介している香川県教育委員会の以下のサイトでその活用方法が紹介されています。

―このたびの、巻頭インタビューでは、知的障害を伴う重度自閉症のダダさん、母親の奥平綾子さんから当事者の声をお聞きになっていますが、どんなことをお感じになりましたか。

支援機器というとどうしてもICTではダメなのかもと思い込んでしまいますが,実際に私たちが生活する上ではさまざまな物が支援機器になっていると思います。例えば「お茶碗」と「お箸」。そんなものがと思うかもしれませんが,もしもこれらがなければ手づかみで食べなければなりません。そういった意味では,紙と鉛筆というのは最強のコミュニケーション支援機器ではないかと思っています。大切なのはその人ニーズにあっているか,使い方を理解しているかということです。

(構成:佐藤)

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