5分でクラスの一体感をつくる!山ちゃんの 導入deボディパーカッション&ボイスアンサンブル
ボディパ教育考案者の山田俊之先生が、みんなの心が一瞬でつながる活動とスキルを伝授!
ボディパ&ボイス(10)
クラスソングも簡単にできる!オリジナルボディパーカッション
九州大谷短期大学山田 俊之
2022/3/15 掲載

動画1 小学校低学年「あんたがたどこさ」

時期:2008年8月
場所:アクロス福岡(福岡市)
参加者:小学校低学年児童14名
指導者:山田俊之

クラスの流行歌にボディパーカッションを付けたい!

 本日ご紹介した動画は、小学生の子どもたちが熊本民謡「あんたがたどこさ」に合わせてボディパーカッションをしている演奏です。
 「あんたがたどこさ」は、2拍子、3拍子、4拍子と、様々な拍子が混じってできています。そんな曲にボディパーカッションを付けるのは難しいと思われるかもしれませんが、実はだれでもボディパーカッションをつくることができるワザがあるのです!
 これまで、クラシック音楽やJ-POPなど、様々な曲に付けたボディパーカッションをご紹介してきましたが、記事を読んでいる先生の中には、今クラスではやっている曲など、「この曲にボディパーカッションを付けたい!」と思っている方がいらっしゃるかもしれません。
 そこで本日は、だれでも簡単にできるボディパーカッションの作り方をご紹介しましょう。

簡単にできる演奏バリエーション

 まずはじめに、簡単にできるボディパーカッションで使用する演奏のバリエーションを挙げます。

A 手拍子
B お腹をたたく
C ひざを両手でたたく
D 足踏み
E 指チップ
F 肩を両手でクロスしてたたく
G お尻を叩く(低学年は大喜びです!)
H 足踏みをしながら、A〜Gを入れる(少し練習が必要です。)

 これらを組み合わせることで、あっという間にボディパーカッションができあがるのです。

拍子に応じたおすすめの組み合わせパターン

 では次に、どのようにして組み合わせをしていけばよいのかご説明しましょう。
 まずは、ボディパーカッションを付けたい曲が何拍子の曲か調べます。そして拍子に応じて組み合わせる、たったそれだけです。
 組み合わせ方には少しコツがあるので、具体的にご紹介しましょう。

4拍子の曲
・A〜Gまでの中で、4つのボディパーカッションを選択して組み合わせます。
・「D→C→B→A」や「A→F→B→C」などの組み合わせにすると、4拍がスムーズに打てます。
例:
「紅蓮華」(鬼滅の刃)…「A→F→B→C」(以前、NHKの「世界は教科書でできている」という番組からの依頼で演奏しました。)
「世界に一つだけの花」(SMAP)…最初「A→F→B→C」サビの部分「D→C→B→E」
「春の小川」(文部省唱歌)…低学年の場合「D→C→C→C」と「D→B→B→B」を交互に

3拍子の曲
・A〜Gまでの中で、3つのボディパーカッションを選択して組み合わせます。
・「C→A→E」「C→B→A」がおすすめです。低学年の場合は「D→A→A」や「B→A→A」などがよいでしょう。
例:
「Jupiter」(平原綾香)…「C→A→A」「B→A→A」「F→A→A」「D→A→A」の4つのパターンを繰り返す
「ふるさと」(文部省唱歌)…「C→A→A」後半から「D→B→A」
「こいのぼり」(文部省唱歌)…「A→A→A」「F→F→F」「B→B→B」「C→C→C」(低学年の曲なので、すぐにできるように同じ個所を3回ずつ続ける。)

2拍子の曲
・A〜Gまでの中で、2つのボディパーカッションを選択して組み合わせます。
・「D→A」や「A→E」がおすすめです。低学年の場合は「A→G」や「B→A」などがよいでしょう。
例:
「あわてんぼうのサンタクロース」…「A→B」と「A→C」を繰り返す
「どんぐりころころ」…「C→A」「C→A」「C→A」「A→休」を繰り返す
「ラデツキー行進曲」(ヨハン・シュトラウス作曲)…「A→A」「F→F」「B→B」「C→C」(交互に足踏みしながらリズムに乗って同じ個所を2回ずつ演奏する。)

「あんたがたどこさ」の組み合わせはこうなってます!

 さて、それでは冒頭でご紹介した「あんたがたどこさ」はどのように組み合わせたのでしょうか。ここで使用したボディパーカッションは、「指チップ」「手拍子」「ひざを両手でたたく」「足踏み」の4種類だけです。
 「あんたがたどこさ」は次のような拍子になっています。

あんたがた【2拍子】 どこさ【2拍子】
肥後(ひご)さ【2拍子】 肥後(ひご)どこさ【3拍子】
熊本(くまもと)さ【3拍子】 熊本(くまもと)どこさ【4拍子】
船場(せんば)さ【2拍子】 船場山(せんばやま)には【4拍子】
狸(たぬき)がおってさ【4拍子】
それを猟師(りょうし)が【4拍子】
鉄砲(てっぽう)で撃(う)ってさ【4拍子】  
煮(に)てさ【2拍子】 焼いてさ【2拍子】
食ってさ【2拍子】 それを木の葉で【4拍子】
ちょいと隠(かぶ)せ【4拍子】

 そして、それぞれの拍子に、下記のパターンをあてはめます。

2拍子の場合:手拍子→指チップ
3拍子の場合:ひざを両手でたたく→手拍子→指チップ
4拍子の場合:足踏み→ひざをを両手で叩く→手拍子→指チップ

 すると、冒頭でご紹介した動画のようになるのです。
 ぜひ、子どもたちからのリクエスト曲など様々な曲で、オリジナルのボディパーカッションをつくってみんなで演奏してみてください!

注釈:
「あんたがたどこさ」の拍子の解釈の仕方は様々な捉え方があります。
たとえば最初の「あんたがたどこさ」は4拍と捉えたり、最後の「ちょいと隠」を3拍に、「せ」を2拍に捉えるなどもあります。
今回ご紹介したのは、あくまで私の解釈になります。

導入を成功させるポイント

  1. 歌に合わせて身体の様々な部分を打つと曲の拍子を体感でき、子どもたちがより一体感を味わうことができます。
  2. 子どもたちと一緒にボディパーカッションをつくることで、自分たちだけのオリジナルの曲という意識が生まれ団結力が生まれます。
  3. 曲が完成すると、達成感や自己効力感も生まれます。

山田 俊之やまだ としゆき

九州大谷短期大学教授、福岡女学院大学非常勤講師(教職課程)。小学校、特別支援学校、九州大学(非常勤:教職課程)、九州女子短期大学(教授)勤務を経て現職。九州大学大学院博士後期課程修了(教育システム専攻)。
1986年小学校4年担任の時、ボディパーカッション教育法を考案し、現在まで活動を継続。
著書『ボディパーカッション入門』(音楽之友社)、『ボディパーカッションdeクラスづくり』『特別支援教育deボディパーカッション』『保育園・幼稚園deボディパーカッション&リズム遊び』(以上明治図書)他多数。研究テーマは「子どものコミュニケーション能力を高めるリズム身体活動」「ボディパーカッション教育」「特別支援教育」「発達障害支援」。
2005年ボディパーカッション曲「花火」が平成17年度「小学校音楽科教科書」(教育出版)に掲載。
2014年ボディパーカッション曲「手拍子の花束」が平成25年度「特別支援教育用教科書」(文部科学省編集)に掲載。

最近のボディパーカッション教育関連活動
2015年カンボジア教育支援を始め、2018年NHKBSワールドニュースで取り上げられる。
2017、2018年ウイーン国立歌劇場で作品発表。
2019年九州大学、国立音楽大学、広島大学学生合同のカンボジアスタディツアーを実施。
2019年ニューヨークカーネギーホールで作品発表。
2019年NHK「パプリカ」インクルーシブ教育プロジェクト「フーリン楽団」でボディパーカッション指導を行う。
この時、フーリンメンバーや様々なハンディ(聴覚、視覚、発達、ダウン症、自閉スペクトラム、小児がん他)の子どもたちへの指導に関わる。
コロナ禍のため、2020年大阪府立和泉高校の合唱に代わって「校内ボディパーカッションコンクール」を指導する。 

(構成:木村)
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