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基幹学力・小話シリーズ4 子どもがグーンと賢くなる 面白小話・理科編
基幹学力研究会 企画/佐々木 昭弘 編著
はじめに
本書の使い方
3 年(冒頭)
4 年(冒頭)
5 年(冒頭)
6 年(冒頭)
1・2 年(冒頭)
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はじめに
◆ボート競技のコーチをしているという方から,次の問題を出されたことがあります。 「ボートは,てこであるオールを漕いで動かす乗り物です。では,どこが支点・力点・作用点でしょうか?」 (図省略)
自信をもって,こう答えました。 「オールを手で持っているところが力点でしょう。そして,オールをボートに取り付ける部分が支点,そして,水に入る部分が作用点ですよね。」 すると,そのコーチはほくそ笑んでこう言うのです。 「その誤解を解くことから,ボートの指導が始まるのです。」 一瞬,「え!?」と思ったのですが,すぐに自分の考えが間違いであることに気がつきました。 わたしがはじめに考えたてこは,力点と作用点の間に支点がある「第一種てこ」とよばれるものです。この場合,「支点から作用点までの距離」と「支点から力点までの距離」が等しい時,力点に加えた力と作用点ではたらく力は等しくなります。つまり天秤です。 (図省略)
ところが,支点が力点へと近づくにつれて,作用点にはたらく実際の力よりも大きい力を力点にかけなければ釣り合いは保てなくなってしまいます。そうなると,ボートは進まなくなってしまうでしょう。 実は,ボートのオールは,力点と支点間に作用点がある「第二種てこ」だったのです。水に入ったオールを支点として,オールの棒でボートを後ろへと押していたのです。地面の上でボートを漕 いでいる状態を想像していただければ,分かりやすいと思います。 理科教師であるわたしが,「小話」によって「目から鱗が落ちる」気分を味わった瞬間でした。
◆最近,理科の授業をもちたがらない教師が増えているという話を聞きます。その理由の多くは,「面倒くさい」「難しい」「きたない」「危険」という“2M2K”に集約することができるように感じています。 確かに,忙しい教師にとっては,授業前の観察・実験の準備は面倒くさいかもしれません。教える内容も何だか難しそうです。動植物を飼育・栽培するとなれば,面倒くさい上に汚いと感じる人も多いらしいですし,まして化学薬品や電気は危険という印象がどうしてもつきまといます。 しかし,子どもの多くは「理科好き」です。「理科離れ」などとマスコミで報道されたことがありますが,文部科学省をはじめとした様々な調査でも,他教科に比べて人気が高い教科であるという結果が出ています。問題は,子どもではなく教師にあるのではないでしょうか。つまり,「教師の理科離れ」です。 一方,“おもしろ観察・実験ブーム”の中,科学雑誌やインターネットから情報を先取りし,日ごろの授業内容に物足りなさを感じている子どもたちの存在も否定できません。
◆そこで,忙しい教師が手軽に使える,次のような内容の「小話集」をまとめようと考えました。
・普段目にしている自然現象の原理が分かる小話 ・日常生活に生かされている最先端の科学技術にびっくりする小話 ・科学法則発見にかかわる知的エピソードを紹介した小話 ・もっと調べたくなる発展的な内容を含む小話 ・やってみたくなる“おもしろ観察・実験”ネタが入っている小話 ・「へ〜!」と納得できるような小話
小話を聞いたり読んだりした子どもたちが,理科の学習に対する興味・関心をさらに高めると共に,本誌を手にされた教師のみなさんが,理科の指導への意欲を高めていただくことができたなら,これ以上嬉しいことはありません。 最後になりましたが,本誌を編集するにあたり,明治図書編集部の樋口雅子氏,木村悠氏には大変お世話になりました。感謝申し上げます。
筑波大学附属小学校 /佐々木 昭弘
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本書の使い方
本書は,第3学年から第6学年までの学年ごとに,全ての単元の小話が収録されています。第3学年(13作品),第4学年(15作品),第5学年(21作品),第6学年(20作品),そして,低学年でも使っていただけるように,生活科関係の小話(7作品)を収録しました。 理科も生活科も,見開き2頁で一つの内容になっており,左頁が子ども向けの「小話」,右頁が教師向けの「解説」で構成してあります。 (図省略)
理科の「小話」の頁は,そのままコピーして子どもたちに配付できるように,イラスト,写真,図表等を入れながら,分かりやすい表現に心がけました。しかし,児童の実態によっては内容が難しいと感じる小話もあるかと思います。その時は,自由にアレンジしてご使用ください。 教師向けの頁は,左頁の小話を実際の指導に生かすことができるように,イラスト,写真,図表等を入れながら詳しく解説しました。実際の授業の中での活用の仕方や,ものづくりやミニ実験の方法等が書かれています。また,「参考文献」や参考になるホームページ等を紹介してあります。
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3 年(冒頭)
1 変身こん虫もけいを作ろう [学年] 3年 [領域] 生物 [関連単元] こん虫をしらべよう
こん虫についての勉強で,こん虫の体は3つにわかれていることや,あしは6本,はねは0から4まいまであって,みんなむねから出ていることを学びました。そこで,この学んだことを生かして,こん虫のもけいを作ってみましょう。 用意するものは,次のものです。 ・かみねん土(白でもいいですが,できれば色のちがう3つのかみねん土があるといいです。なければ絵の具を用意しましょう。) ・画用紙 ・画びょう ・ストロー ・ようじ それでは,こん虫のもけいを作ってみましょう。ここでは,ハチのもけいを作ってみます。 @ まず,体を作ります。あたま,むね,はらと色のちがうかみねん土をまるめて作って,それをつなげると体ができます。白いかみねん土を使う時は,ちがう色をぬりましょう。 A 次に,あたまの先に,画びょうを2つさして目にします。 B それから,むねに6本のようじをさして,あしにします。あしを長くしたい時はストローをつかいます。 C むねに,画用紙を切って作ったはねを4まいさします。 (図@〜C省略) これで,ハチのもけいのできあがりです。 このハチのもけいをもとに,いろいろなこん虫のもけいを作ることもできます。たとえば,はねを2まいにしたらハエになりますし,はねをなくしたらアリになります。 ほかにも,カマキリやカブトムシ,チョウ,バッタ,トンボなど,いろいろなこん虫のもけいも作ってみましょう。
(教師用解説) 昆虫の成虫のつくりの基本は,左に記したように,3節の胴体と,その胸から出る6本の足と0〜4枚の羽となっている。従来は,単に昆虫の体の絵を色分けすることによって,これについて勉強することが多かった。そこで,単元のまとめの活動として,作業によって昆虫の体のつくりの普遍性を実感させることを通して,知識のより確実な定着を目指すために,模型作りを考案した。 ただ,模型を作るうえで気をつけなければならないことが何点かある。まず,チョウなどの完全変態の昆虫の場合,幼虫は体節や足の数が成虫と違うことである。この場合,児童の混乱を避けるため,模型は成虫に限らせることが望ましい。次に,羽の数である。ハチとアブ・ハエを間違える人がけっこういるが,ハチの羽は4枚でアブ・ハエの羽は2枚となっている。また,甲虫類やカメムシの仲間などは,体節は3つに分かれているのだが,前翔が胸と腹を覆っているために,上から見ると体節が2つだけのように見える。そして,後翔が前翔の下にたたみ込まれている。以上の点などを注意させて,作成に取り組ませたい。 また,いくつもの模型を作らせるのではなく,1つの模型を作り,その体節の大きさや形,足の長さなどのバランスを変えたり,羽の枚数や形を変えることで様々な昆虫を表現させてみるのでもよい。昆虫の種類によって,体節の大きさや長さのバランスが異なっているので,図鑑等で調べさせ,そこに注目して作らせると,より本物らしく見えてくる。このようにすると (図省略)
様々な昆虫を作れることが分かるのは,昆虫の体のつくりの基本は共通することを実感する瞬間でもある。 さらに時間に余裕があれば,昆虫以外の虫についても作らせてもよい。ただその場合は,体節や足の数が昆虫と異なることを明確にしていく。例えばクモは体節が頭胸と腹の2つで,足は8本あってすべて頭胸から出ている。 (図省略)
【参考・引用文献】 『図解 実験観察大事典 生物』東京書籍 (増田)
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4 年(冒頭)
14 がんばれ日本のタンポポ―タンポポ地図を作ろう [学年] 4年 [領域] 生物 [関連単元] 季節の変化
◆タンポポの見分け方 タンポポと言えば,みなさんの身近によく見られる花ですね。でも,このタンポポには,たくさんの種類があるのを知っていますか? そのタンポポを大きく3つに分けると,昔から日本にあった「日本のタンポポ」,100年ほど前に外国からやってきた「外国から来たタンポポ」,そして白い花の「シロバナタンポポ」に分けられます。このうち,「日本のタンポポ」と「外国から来たタンポポ」はどちらも花びらが黄色ですが,花の下の「総包」を見ればかんたんに見分けられます。 (図省略)
ほかにもちがいがあって,たとえば「日本のタンポポ」は春だけさいて,「外国から来たタンポポ」はだいたい一年中さいています。
◆タンポポ地図を作ろう それでは,「日本のタンポポ」と「外国から来たタンポポ」のどちらがどこにあるか,校庭や学校のまわりを調べて,地図にしてみましょう。これが「タンポポ地図」です。そして,それぞれのタンポポがどんなところに多いかを,みんなで話し合ってみましょう。どんなことが分かるかな? 「外国から来たタンポポ」は,運動場や道路のように自然が少なくなってしまった場所に多く見られます。そして「日本のタンポポ」は,木々や緑などの自然がまだ多い場所に残っています。そんな,「日本のタンポポ」がいつまでも見られるように,私たちの身のまわりの自然を残していきたいですね。
(教師用解説) ◆タンポポ地図について タンポポの在来種(ここでは「日本のタンポポ」)と外来種(ここでは「外国からきたタンポポ」)の分布を示したものを、「タンポポ地図」と呼ぶ。在来種は昔からの自然が残っている所に多く,一方の外来種は自然が少ない所に生える傾向にあることから,小学生が身近な場所の自然度を調べるのに適している。普段は単にタンポポとしか見ていない児童に,実は色々な種類があることに気づかせ,さらにその分布を調べることで自然度によって棲み分けをしていることを見いださせることは,環境に対する見方を深める上で有効であろう。
◆タンポポの種類について 在来種で黄色い花をつけるタンポポは20種類以上あって,カントウタンポポやカンサイタンポポなどと地域によって違いがあるが,ここでは「日本のタンポポ」と一括して扱っている。そして,これらの共通点として,総包が反り返らないことがあげられる。一方,外来種のタンポポはセイヨウタンポポとアカミタンポポがある。セイヨウタンポポは1904年に,アカミタンポポは1918年に北海道で帰化が確認された,ヨーロッパ原産のタンポポである。どちらも花が黄色く総包が反り返っている。ただ,アカミタンポポの方が,名前の通りに綿毛の根元についている実が赤黒く,セイヨウタンポポよりもさらに市街化の進んだ場所に生える傾向にある。 なお,花が白いシロバナタンポポは在来種だが,総包は反り返っている。
◆帰化植物(外来植物)について (図省略) 帰化植物(外来植物)の中には,我々の生活の中に完全にとけ込んでしまっているものもある。例えば,青い花のオオイヌノフグリは春に咲く花の代表と言ってもよいものだが,これは西アジア原産で1884年にはすでに国内記録がある。一方在来種である紅色の花のイヌノフグリはほとんど見られなくなってしまった。また,シロツメクサ(1846年にオランダから詰め物として渡来)や,アカツメクサ(明治維新ごろにヨーロッパから牧草として輸入される)も帰化植物である。これほどまでに広まった帰化植物は簡単にどうこうすることはできないが,人間の活動のよって持ち込まれ,また人間の活動によって広まってきたものであり,在来の植物を圧迫していることは心にとめておきたい。
【参考・引用文献】 清水建美編『日本の帰化植物』平凡社 (増田)
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5 年(冒頭)
29 受粉大作戦―植物たちの工夫 [学年] 5年 [領域] 生物 [関連単元] 花と実
(図省略) アサガオの花の中を観察してみましょう。中にはおしべやめしべがあるでしょう。また,花粉が見える時もありますね。花粉の観察を行いながら,花粉の役割について考えてみましょう。 アサガオは,真ん中にめしべが1本あります。また,まわりにおしべが取り囲むように5本ありますね。花粉はおしべの先の葯と呼ばれる袋から出てきます。葯を割ってみると,花粉がいっぱいつまっているのが分かるでしょう。花粉は,めしべの先について,受精が行われ,種ができるのです。めしべの表面はぼこぼこし,表面はぬれていて花粉がつきやすいようになっています。アサガオにとって,花粉が,めしべの先についてくれないと困るわけなのです。 では,ほかの植物ではどのような受粉の工夫があるのでしょうか。 トウモロコシの例をみてみましょう。トウモロコシの花粉は雄の穂から下に落ちるものも多いですが,風に乗って運ばれるものもあります。中には250mも飛んでいくものもあります。そのように風で花粉をおしべまで運ぶ花を風媒花といっています。風媒花のめしべの先は,花粉がつきやすいように,細長く伸びたり,ブラシ状になっていたりするものが多く見られます。 (図省略) また,虫を引き寄せて,虫に花粉を運んでもらう植物もあります。それらの植物は目立つようにしていたり,強いにおいを出して,虫を誘っていたりします。このように虫に花粉を運んでもらう花を虫媒花といっています。 このほかにも,鳥やコウモリやカタツムリに花粉を運んでもらう植物があります。植物もどのように花粉を運んでもらおうか知恵を絞っているのかもしれませんね。
(教師用解説) 植物が,受精し,繁殖していくには様々な戦略が用いられている。小学校の段階では,学習指導要領解説には以下のように記載されている。
第5学年A(1)エ 〜(略)〜また,ここで扱った植物が,自然の中では,風や花に集まる虫によって花粉がめしべの先に付き,結実することについても,触れるようにする。
子どもたちが,興味を持ったなら,一通り学習した後に,「発展的な学習」として扱うのもよい。虫媒花と花粉を運ぶ昆虫は持ちつ持たれつの関係がある。
(図省略) 例えば,ミツバチが蜜を採取しているところの写真を出し,「植物が受粉を行うために工夫している点を考えよう」と投げかける。 もし,考えにくいようであるならば,植物の立場になって考えて,次のような観点を与えておけば,子どもたちは写真から見出すであろう。 ・どのように虫をおびき寄せているか ・どのように虫に花粉や蜜を与えているか ・どのように自分たちの体を守っているか 考えられる例:ハチを引き付ける色になっている。/ハチを引き付けるようなにおいがある。/花粉が雨でながれないように花が下を向いている。/花が集まって咲いている。/通り道が狭く,体の回りに花粉が付くようになっている。/足場をつくって,大事な子房を守っている。……など このように,写真を見るだけでも植物が様々な戦略をとっていることに気付くことができる。 また,風媒花では,花粉がよりとんでいけるようにふくろをもったものも見られる。そして,受け止める側の雌しべにも,柱頭に様々な工夫が見られる。例えば,イネは柱頭の先が分かれてブラシ状になっている。表面積を大きくして,花粉をとらえることができるようにするためである。学習後,子どもたちは,虫媒花か風媒花かを一目見ただけで判別できるようになる(例外はある)。なぜなら風媒花は,生き物を誘引する必要がないので,比較的目立たない姿をしている場合が多いからである。植物の戦略と結び付けて考えるようになり,花のつくりを詳しく観察しようとするであろう。 (傳幸)
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6 年(冒頭)
50 酸素だらけにならないよ! [学年] 6年 [領域] 生物 [関連単元] 生き物のくらしと環境
生き物と空気の学習をした時に,植物が二酸化炭素を取り入れて,酸素を出していることを学習しましたね。一般に植物は,十分な光と水と,あとは二酸化炭素が多くあればあるほど,活発に酸素を出します。そして,そこに温度が少し上がった環境があればカンペキです。植物が酸素を出すと同時に,でんぷんなどの栄養も作り出しているこのしくみを「光合成」といいます。 「あれれ?」と思いませんか。だって今,二酸化炭素の増えすぎが問題になっているのですよ。そして地球温暖化も。十分な二酸化炭素と温度があるのですから,「もしかして現代は植物にとってはとてもよい環境なんじゃないの?」とは思いませんか。一方で人間にとっては今,食糧不足という問題もあります。生き物の食べ物の基本は植物であったことをおぼえていますか。植物が光合成をして自分の体を成長させ,他の生き物に食べられることによって,全ての生き物の食べ物やエネルギーをまかなっているのです。植物にとって,今がとてもよい環境であれば,どんどん食料として作物を作ればいいのではないかということになりますね。「そうだ! 地球温暖化と二酸化炭素の増えすぎを利用して,世界の食糧生産量アップ!!」 ところが,そう上手くはいかないのです。まず一つには,光合成が活発になるということは,植物の体の中の働きが活発になるということで,根から多くの窒素やリン酸などの無機質肥料を必要とします。自然界の中からだけでは不足しますから,当然人工的な化学肥料がどんどん必要になってきますね。また水も多く必要ですから,水やりの設備を整える必要がありますね。植物が生き生き育つところには当然,虫なども集まりますから,農薬が必要ですね。そう考えるとお金が大変にかかるのです。気候や土地の条件がよく,お金がたくさんある日本などでは,そんな工業化農業が可能ですが,そうでない発展途上の国ではむずかしいのです。また,そういう発展途上の国々こそ人口が急増しています。単位面積当たりの収穫量が増えないのであれば,とにかく畑の面積を増やせばいいように思ってしまいますが,人間はすでに農耕に使える土地をほぼ使いつくしつつあるといわれています。さあ,どうする!
(教師用解説) 今日,京都議定書に示されるように,特に先進国がリードしながら,温室効果ガスである二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素などの排出量を抑えようとする動きに,多くの国が賛同し対策を講じようとしている。これは,エネルギー効率を向上させて排出ガスを減らしたり,排出された二酸化炭素等を吸収する森林の保護・育成を図ったりすることをめざしたものである。 人間の都合で出る排出ガスである。植物に頼ることなく,人間の科学技術を駆使して減らすことはできないのだろうか。二酸化炭素から違う物質を作り出して利用すればよいはずである。 二酸化炭素を利用して作られるものをあげてみる。 ・風邪薬などに利用される「サリチル酸」 ← 二酸化炭素+フェノール ・肥料などに利用される「尿素」 ← 二酸化炭素+アンモニア ・燃料などに利用されるジメチルエーテル ← 二酸化炭素+水素 調べてみると,他にも二酸化炭素削減のために研究を進め,二酸化炭素を別のものに変換する可能性を探る努力をしている企業や研究所が多くある。 しかし,どうにもならないのは,植物のように,光が当たれば無条件に合成できるといったものではないことである。合成するためには,熱や圧力などのエネルギーが必要である。そのエネルギーを得るために,また二酸化炭素を出したのでは意味がないことになる。また,大気中に0.03%程しかない二酸化炭素をどうやって集めるかということになるとこれも難しい。二酸化炭素を利用するために二酸化炭素を人工的に合成したのでは,これもまた意味がない。 結局,今のところ人間の後始末を植物が行う光合成に頼るしかない現状にある。もっとも効果が期待されているのが森林の保護・育成である。地球上のすべての森林の植物量を炭素の重さにすると,8000億tほどになるといわれている。これは,地球をとりまく大気の中に,二酸化炭素としてふくまれている炭素の量(約6000億t)より多く,これに枯れ葉や土壌の中の炭素まで加えれば,森林の炭素の量は大気中の倍以上になると計算されるという。そんな絶大な力のある森林が増えれば間違いなく二酸化炭素の固定量も増えるはずである。しかし今,世界規模での森林破壊をしているのはほかならない人間である。さあ,どうする?
【参考図書】 大前巌『二酸化炭素と地球環境 利用と処理の可能性』中央公論新社 A.Mackenzie・A.S.Ball・S.R.Virdee著/岩城英夫訳『生態学キーノート』シュプリンガー・フェアラーク東京 後藤卓也編『教養のための理科 応用編T』誠文堂新光社 ヴァンダナ・シヴァ著/浜谷喜美子訳『緑の革命とその暴力』日本経済評論社 (渡辺)
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1・2 年(冒頭)
70 落ち葉で思い出アート [学年] 1・2年 [領域] 生物(生活科) [関連単元] 野菜を育てよう
秋になると,たくさんの落ち葉が見られるようになります。葉っぱにも色々な形がありますから,葉の形を利用して落ち葉アートをしてみませんか。葉は,卵形のものが多いですが,イチョウ,ユリノキ,カエデの葉のように少し変わった形の葉を上手に使うと,楽しい作品ができます。
(写真省略) 特に,秋は葉っぱの色も緑色だけではなく,黄色や赤色の葉っぱも多くなります。部分的に色が違う葉もあります。 ところで,どうして秋になると葉は,緑色から黄色や赤色に変身するのでしょうか。 春から夏にかけて,木々の葉は太陽の光をあびて栄養をつくります。その栄養をつくるものが緑色をしているのです。ですから,春から夏にかけて葉は緑色に見えます。 ところが,秋になりその栄養をつくるものが役目を終えてこわれると,もともとあった黄色のものだけになり,葉も黄色に見えるようになるのです。また,秋になると木は葉を落とす準備をして,葉で作った栄養を木に送れなくなります。すると,その栄養が光をあびて,赤い色のものができます。これが葉が赤くなる理由だと言われています。 緑,黄,赤,そして枯れると茶色になる葉っぱ。それらが部分的に混ざった葉もあります。また形も木の種類で違いますし,同じ木でも大きさや形が少しずつ違うものがあります。それらの葉をよく見ていると,色々なことが想像できませんか? 落ち葉さんたちは,やがて土に戻っていきます。木の栄養をつくるためにせっせと働いた働き者の葉っぱさんたちは,地面に落ちても土の中の小さな虫さんたちのえさとなり役に立つのです。
(教師用解説) (図省略) 樹木は一年を通して季節を感じさせてくれる。春から夏にかけては,花が咲いたり,枝がぐっと伸びたりする。花というと草花を思い出すが,樹木の花も劣らず美しいものが多い。サクラのように有名な花だけではなく,コブシ,ユリ,キリの木の花は美しく一見の価値があると思う。夏から秋にかけては,実がなり葉の色が変化したり落葉したりする。そして,冬は次の季節に向けて準備をする冬芽を観察することができる。草花に比べて,特に世話をしなくても,いつでもそこにあるということも観察には都合がよいことの一つである。 自然探検をする時,特に目的を持たないで,あるがままの自然に触れて,子どもたちの発想で遊ぶことも一つの方法である。しかし,それだけではなく,何か一つ柱になる活動を設定していくと,子どもたちの活動の幅が広がってくる。それは,自然に対する興味を高めることにつながるのではないだろうか。 一つの例として高木の継続観察がある。高木は,季節を通して存在感がある。「私の木」をそれぞれ決めて,継続観察していくと,季節の変化をより感じることができる。もっとも一般的な樹木はサクラであるが,それ以外にも公園や校庭,街路には,イチョウ,ユリノキ,アオギリ等の樹木がたくさんある。 特に秋には葉の色が変わったり,実がなったりする樹木も多く,子どもたちの興味を引きやすい。一般的にどんぐりと呼ばれる木の実も,よく見れば様々な種類があることに気づくだろう。木の実を自由に採集できる自然園や公園が近くにあれば,ぜひ出かけていきたい。 落ち葉アートも子どもたちが喜ぶ遊びの一つである。様々な色が見られる秋こそ,もっとも楽しめる時期である。袋一つを持たせるだけで,ぐっと季節の移り変わりを実感できる一時になるだろう。この小話を聞いた子どもたちは,どんなことを自然から見つけてくるのだろう。楽しみである。 (鷲見)
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