“風土”に気づき ⇒ 地域を再発見する総合学習
沖縄発の新しい提案

“風土”に気づき ⇒ 地域を再発見する総合学習沖縄発の新しい提案

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沖縄発の総合学習!

風土を感じ風土に暮す 沖縄の衣・食・住・遊び文化・自然文化に気づく学習 世界につながる風土の学習ほか。


復刊時予価: 2,816円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-147817-3
ジャンル:
総合的な学習
刊行:
対象:
小・中・他
仕様:
A5判 196頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

プロローグ
第一部 風土を感じる・風土に暮らす
第1章 環境とのつながりと子どものエコロジー
(1) 風土を意識できにくい現代の社会
(2) 風土と環境の違い
第2章 子どもが育つ風土
―子どもが撮った石垣市白保の環境写真から
(1) 沖縄県石垣市白保地区の風土と子ども
(2) 「好きな場所」「お気に入りのもの」の写真
(3) 白保の風土に気づかせる学習
第二部 沖縄の風土に学ぶ
第3章 衣文化に気づく学習
1 琉球の染め文化
(1) 学びの多い伝統工芸(琉球紅型から草木染めへ)
(2) 学習活動
(3) 活動の実際
(4) 学習を終えて
2 琉球絣から沖縄の風土をさぐろう!
(1) 琉球絣からみえてくるもの
(2) 琉球絣に対する子どものイメージ・実態
(3) 学習の流れ
(4) 学習の様子
(5) 学習を終えて
第4章 食文化に気づく学習
1 沖縄の食あれこれ
(1) ねらいと活動内容
(2) 児童の構成
(3) 沖縄の食についての実態と活動計画
(4) 学習の流れ
(5) 活動の様子
(6) 学習を終えて
2 農業名人を探せ ―地域への愛着と共感,提案する力を育む活動
(1) 子どもと地域を紡ぐ社会科・総合学習
(2) 学習の流れ(全14時間)
(3) 授業実践(小学校5年)
(4) おわりに
3 壺屋の焼き物
(1) 焼き物学習への入り口。土をこねて「湯飲み」づくりに挑戦!(2時間)
(2) 「やちむん通り」の見学の視点を話し合う(1時間)
(3) やちむん通りを歩く(「焼き物博物館」〜「陶器工房」見学含め4時間)
(4) 「壺屋焼物博物館」見学。壺屋のことを学びたいならここへ!
(5) 陶芸工房「育陶園」見学。職人技にビックリ! さすがプロ!
(6) 見学を通して深まった壺屋焼きへの理解(子どもの新聞から)(2時間)
(7) 発展〜壺屋焼きの焼き窯の歴史を明らかにしていく(2時間)
(8) 沖縄の庶民の生活を支えた壺屋焼き
第5章 住文化に気づく学習
1 昔と今,沖縄の住まいのひみつ ―住まいづくりの知恵を探る
(1) 住まいづくりの知恵
(2) 活動のあらまし(小学校5年生・全15時間)
(3) 豪農・中村家を訪ねる
(4) 今の住まいのひみつ発見
(5) 子どもは住まいの学習から何を学んだか
2 お墓って何だろう?
(1) 題材について
(2) 学習前の子どもの実態
(3) 学習の流れ
(4) 学習の様子
(5) 学習を終えて
第6章 遊文化に気づく学習
1 ひびけ! 僕らのカンカラサンシン ―子どもたちとともに創った平和学習
(1) 沖縄サミットから
(2) カンカラサンシンを取り上げた経緯
(3) 2000仲西小5年総合学習『美ら島うちなー』の経過
(4) カンカラサンシン制作〜発表会までの流れ
(5) 取り組みを終えて
2 与那国馬となかよし
(1) 題材について
(2) 児童について
(3) 学習の流れ(生活科・特活・音楽・図工・国語・体育・道徳)
(4) 活動の様子
(5) まとめ
3 沖縄の祭り
(1) 社会科小単元の目標
(2) 社会科小単元の指導計画(10時間扱い)
(3) 地域行事調べの視点
(4) 子どもたちの地域行事調べの主な対象
(5) 子どもたちが行事について調べた結果(自分なりの感想や疑問をもつ)
(6) 学習を通して見えてきた行事の保存・継承に努力する人々の願い
(7) 子どもたちにとっての地域の年中行事学習とは
第7章 自然文化に気づく学習
1 西表島・仲間川子ども観光ガイド
(1) 仲間川を探ろう(ふるさと環境学習)
(2) 学習前の地域の自然に関する子どもの実態
(3) 単元構成の工夫と単元構想
(4) 学習の様子
(5) 成果と課題
2 ラムサール条約登録湿地「漫湖(干潟)」から環境へ
(1) 「漫湖(干潟)」から展開するとよみ小学校の総合学習
(2) 学習前の環境に関する児童の実態
(3) 学習の流れ
(4) 学習の様子
(5) 学習を終えて
3 レッツトライ! 今私たちにできること
(1) 子どもの実態から捉えた環境学習
(2) 学習の流れ
(3) 学習を終えて
第三部 世界につながる風土の学習
第8章 沖縄から世界を結ぶ
1 基地の町から平和を発信
(1) はじめに
(2) 平和学習に関する子どもの実態
(3) 学習の流れ
(4) 学習の様子
(5) 学習を終えて
2 世界にはばたくウチナーンチュ ―海外移民の歩みから学ぶ沖縄の姿
(1) 海外移民を取り上げた理由
(2) 沖縄の海外移民の特色
(3) 移民について子どもが知っていること(小学校6年生)
(4) 移民の学習の様子
(5) 学習を終えて
第9章 風土から総合学習の題材をどう見つけたらいいか
(1) 土地の色から風土を見つける
(2) お菓子に風土を発見する
(3) 県民性を調べてみる
(4) 文学館を取材する
(5) 近代化遺産に着目する
(6) 地場産業に着目する
エピローグ:本書が生まれるまで /嘉納 英明
コラム
沖縄県って広いの?
ゴーヤマン(GO・YA・MAN)の活躍
日本甘藷の父「野國總管」
琉球銘菓 ちんすこう
缶詰ポーク大国・沖縄
首里城のひみつ パート1「中国の紫禁城のミニコピーなのか?」
首里城のひみつ パート2「龍柱」
南大東島の開拓と「鉄道遺跡」
西表炭坑跡〜沖縄の近代文化遺産〜
騒音対策施設のある小学校
平和発信の地・沖縄県平和祈念資料館を活用して

プロローグ:風土に気づく教育はなぜ必要なのか

 沖縄を訪れる旅行者が味わう気分は,かなり強烈である。那覇や石垣市の空港に下り立った瞬間,むっとするような亜熱帯特有の蒸し暑い空気と明るい陽光に包まれたことがおありだろうか。空港内のディスプレイも本土のそれとは異質だ。ランやハイビスカスなどが南国ムードを醸し出してくれる。お土産売り場ではシーサーの焼きもの,泡盛,青い海をイメージさせる鮮やかなTシャツなどが目を楽しませてくれる。時間の経過につれ,感じたものが薄れるどころか,強まってくる。「沖縄病にかかっている」と揶揄されるかもしれないが,それほど魅力的なのだ。時間の流れも本土とは違い,ゆっくりと流れている。

 一見,本土の商店街と同じような店構えでも注意深く眺めてみれば沖縄らしさが随所に発見できる。果物や野菜,魚介類の種類,独特なお菓子,黄色と赤,青など原色が目立つ洋服の色柄は本土とは異なる。このような本土とは異なる琉球文化圏を識る機会に,総合学習の新しい教材が見つからないだろうか。風土とも呼ぶことのできる人間と自然の調和が,発見できるかもしれない。

 人は風土に包まれて生きている。裸足でサンゴのかけらでできた浜を歩いた時,アダンの葉で風車をこしらえたり,御嶽(うたき)と呼ばれる神社に足を踏み入れた時,「ああ,沖縄にもどって来たな」と感じる。沖縄生まれでなくても,そう感じさせる原風景が生じてくる。

 本書は,沖縄発の総合学習に関する貴重な教育書である。これまで,沖縄から発表される教科に関する優れた実践や提言は本土に比べて多いとは言えなかった。これまでも熱意にあふれる教師による優れた実践例はみられたと思われるが,それらが全国へ向けて発信されることは少なかった。「風土に気づく」というキーワードを敢えて使ったわけは,沖縄の外側,つまり本土の教師たちに風土の教育的価値に気づいてほしいという意味と同時に,内側である当地の教師と子どもたちにも沖縄の風土の豊かさや特異さには気づいてほしいと意図したからである。沖縄県人に聞いた話だが,本土に就職や旅行にきて初めて鉄道という乗り物を体験し,駅の改札口や使い方や電車の乗り方がわからなかったとか,「そば」と聞いて日頃口にしている「沖縄そば」とかくも異なる麺と知って驚いたとか,エピソードは結構多い。沖縄が離島であるせいもあるだろう。そのことが日本の国内において風土を色濃く残している背景かもしれない。

 「風土に気づく総合学習」とは,言い換えれば「自分に気づく」ということかもしれない。自分の足元を理解し,これを発信していく総合学習こそ,次世代を育てる教育と言える。本書には随所にそういった名所や旧跡に匹敵する沖縄独特の教材を開発してもらった。

 本書の構成は次の通りである。第一部では「風土を感じる・風土に暮らす」と題して風土という切り口がいかに魅力的かについて総論が記述してある。この中でユニークな節として石垣市白保地区の児童が撮影した環境写真の分析結果がある。本土の児童との対比を読者の方には行ってもらいたい。

 第二部として示した「沖縄の風土に学ぶ」は本書の中心をなす部分である。風土を構成する衣・食・住,遊,自然の5項目から沖縄らしさを大切にした実践を発表してもらった。ここには色彩豊かな沖縄の風土を教材に取り込んだ教師たちの工夫と努力が示されている。最後の第三部は「世界につながる風土の学習」と題し,独特な沖縄の歩みがもたらした世界との接点について手堅い実践や情報が紹介されている。

 本書を読んで頂いた後,沖縄を訪れてほしい。また,読者の方々の地域で,積極的に風土を見出し,次世代にその土地の風土を継ぐための教育を行ってほしい。そういったきっかけに本書が役だってもらえたら大変嬉しい。


  平成15年3月 編者を代表して   /寺本 潔

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