- プロローグ
- あるべきところに目のあり… /世阿弥
- 人間は努力しているあいだは… /ゲーテ
- 心得たと思うは、心得ぬなり… /蓮如
- 人は敗れたゲームから教訓を… /ボビー・ジョーンズ
- 花は愛惜に散る /道元
- ◎コラム「本当に美しいなと思う…」
- 成功の秘訣は断固とした… /ディズレリ
- 天は人の上に人を造らず… /福澤諭吉
- 人はなんのために生きているかを… /キング牧師
- 金銭なしに成功することは… /西欧の諺
- 愛宕山入る日の如く… /西田幾多郎
- これからの本当の勉強はねえ… /宮澤賢治
- 冗談も度を過ごせばいたずらだ… /夏目漱石
- 九界の生死が真如なれば… /日蓮
- ◎コラム「日蓮が言わんと…」
- 良心はわれわれの口ひげのように年齢と… /芥川龍之介
- 健康な人は自分の健康に気がつかない… /トマス・カーライル
- 慈眼をもって衆生を… /観音経
- 人間は、彼らの面白がるものによって… /ゲーテ
- 一国は一人をもって興り… /蘇老泉
- 人間はひとり、ひとり一巻の書物である… /ウイリアム・チャニングス
- 世の中に人を育つる心こそ… /荒木田守武
- 一切の衆生病むを以ての… /維摩経
- 三たび諌めて聴かざれば… /禮記
- 知識と木材とは、よく枯れるまで… /ホームズ
- 君の悲哀が、いかに大きかろうと… /プラトン
- 運命は偶然よりも必然である… /芥川龍之介
- 知識は伝えることができる… /ヘルマン・ヘッセ
- 世の乱れは言葉の乱れである /山鹿素行
- われわれ人間というものは馬鹿だから… /ピンダロス
- 天我が材を生ず必ず用あり /李白
- よき細工は少し鈍き刀を使う /兼行法師
- 人間もある年齢以上になると… /アンドレ・ジイド
- 成功は結果であって目的ではない /フレーベル
- 他紙が扱えば、スキャンダルとなるが… /オックス
- 富むということは苦労がなくなることではなく… /エピクロス
- 天は、その人の欲するものより… /作者不詳
- われわれの隣人の繁栄は、結局… /ラスキン
- 一隅を照らすものは… /伝教大師
- 「さばかりの事に死ぬるや」… /石川啄木
- われ思う故にわれあり /デカルト
- ボーイズ・ビー・アンビシャス… /クラーク
- 自分の力以上のことを創り出そうとして… /ニーチェ
- 父は永遠に悲壮である /萩原朔太郎
- 哲学とは死に対する準備である /プラトン
- 名利希求の心やまざれば… /道元
- 「人の一生は重荷を負いて遠き道を… /徳川家康
- 親思う心にまさる親心… /吉田松陰
- 恒産なくして恒心あるは、ただ士のみ… /孟子
- 朽ち果てねなおをりをりは… /元政
- 病める貝にのみ真珠は宿る /アンドレーフ
- 親馬鹿とひとくちにいうけど… /二葉亭四迷
- 季康子、政を孔子に問う… /孔子
- 孟子曰く、君子の人に異なる所以の者は… /孟子
- 樊遅、仁を問う。子曰く… /孔子
- 子曰く、過ちて改めざる、これを過ちと謂う /孔子
- 子曰く、「よく五つものを天下に行なうを仁となす」… /孔子
- 春眠暁を覚えず処処啼鳥を聞く… /孟浩然
- 子曰く、徳、孤ならず、必ず隣あり /孔子
- 国家は先祖より子孫へ伝候国家にして… /上杉鷹山
- 瓜食めば子ども思ほゆ栗食めば… /山上憶良
- 夢見る力のない人間は… /エルンスト・トラー
- 子曰く、われ十有五にして学に志す… /孔子
- 恩を受けた人は、その恩を心にとめて… /キケロ
- 人生そのものが試行錯誤の… /アルフレッド・P・スローン
- 将来を恐れる者は失敗を… /ヘンリー・フォード
- ただ、イエスと答えるように… /ニクソンアメリカ合衆国大統領
- 足曳の山鳥の尾のしだり尾の… /柿本人麻呂
- 春すぎて夏きにけらし白妙の… /持統天皇
- あらざらむ此世の外の思ひ出に… /和泉式部
- 人はいさ心もしらずふるさとは… /紀貫之
- 久方の光のどけき春の日に… /紀友則
- 巡りあひて見しや夫ともわかぬまに… /紫式部
- 難けとて月やはものを思はする… /西行法師
- 千早振る神代もきかず龍田川… /在原業平朝臣
- 天の原ふりさけ見れば春日なる… /安倍仲麻呂
- ◎コラム「安倍仲麻呂は、いうまでもなく…」
- おほけなく浮世の民におほふかな… /前大僧正慈圓
- 田子の浦ゆうち出でて見ればま白にそ… /山部赤人
- 君がためはるの野に出でて若菜つむ… /光孝天皇
- 花の色は移りにけりないたづらに… /小野小町
- 有明のつれなく見えし別れより… /壬生忠岑
- 人もをし人も恨めし味氣なく… /後鳥羽院
- 思ひわびさても命はある物を… /道因法師
- 瀧の音は絶えて久しくなりぬれど… /大納言公任
- 高き屋に登りて見れば煙立つ… /仁徳天皇
- 熟田津に船乗りせむと月待てば… /額田王
- 敷島のやまと心を人問はば… /本居宣長
- 我人に勝つ道は知らず… /柳生宗矩
- 形見とて何か残さん春は花… /良寛
- 散るさくら残るさくらも… /良寛
- うらを見せおもてをみせて… /良寛
- われは花嫩草の穂にまさり… /作者不詳
- 紫草のにほえる妹を憎くあらば… /大海人皇子
- 敷島の日本の国は言霊の… /柿本人麻呂
- つれづれなるままに、日ぐらし… /兼行法師
- 大海の磯もとどろに寄する波… /源実朝
- 荒海や佐渡に横たふ天の川 /松尾芭蕉
- ◎コラム「俳句とは、まさに日本…」
- 日本人にとくに期待されるもの… /文部省
- 誰にもいわずにおきましょう… /金子みすゞ
- まづもろともに… /宮澤賢治
- ◎コラム「宮澤賢治は法華経の徒である…」
- 雨にもまけず風にもまけず… /宮澤賢治
- 国敗れて山河在り… /杜甫
- 牀前月光を看る… /李白
- 名も知らぬ遠き島より… /島崎藤村
- 小諸なる古城のほとり… /島崎藤村
- ◎コラム「私は講演等で日本…」
- いづれの星かわが庭に… /宮崎湖處子
- つらいことが多いのは感謝を… /石川洋
- 秋の日のヴィオロンの… /ポール・ヴェルレーヌ
- 山のあなたの空遠く… /カール・ブッセ
- ◎コラム「この文はもちろん…」
- 春はあけぼの。やうやうしろく… /清少納言
- ◎コラム「実にまばゆい。この美的…」
- 行く川の流れは絶へずして… /鴨長明
- ◎コラム「この文を読むと、いかにも…」
- 人間は、妙なものだ。悲しい事、淋しい事が… /古田大次郎
- 〈闇があるから光がある〉そして闇から… /小林多喜二
- 「死んだつもりで生きて行こうと決心した… /夏目漱石
- 僕には死んでゆくことは少しも… /リンカーン
- 世の中の人は私の述懐を馬鹿馬鹿しいと… /有島武郎
- この道や往く人なしに秋の暮… /松尾芭蕉
- 月日は百代の過客にして… /松尾芭蕉
- 人間は一生、人間の愛憎の中で… /太宰治
- ◎コラム「かつて太宰はこう口に…」
- 見るに気の毒なるは雨の中の傘なし… /樋口一葉
- 当時の僕は父にははなはだ冷淡だった…… /夏目漱石
- 私はその人を常に先生と呼んでいた… /夏目漱石
- 曽子曰く、われ日にわが身を三省す… /曽子
- 六年前のある日、私の胸に幽かな淡い虹が… /太宰治
- 聖書にこれあり。赦さるる事の少なき者は… /太宰治
- 諸君は家に在っては父母を軽蔑し… /夏目漱石
- わがアメリカ国民諸君、諸君の国が… /ジョン・F・ケネディ
- 「フィロストラトスでございます。あなたの… /太宰治
- 火星の住民の有無を問うことは… /芥川龍之介
- その声に気がついてみると、杜子春は… /芥川龍之介
- 二人は坂をおりてようやくきゅうくつな… /伊藤左千夫
- 金を失うことは、小さく失うこと… /チャーチル
- 彼は花粉にまみれた手で花束を… /横山利一
- いづれの御時にか、女御更衣あまた… /紫式部
- 道は天地自然の道なるゆえ、講学の… /西郷隆盛
- ある日のことでございます。お釈迦様は… /芥川龍之介
- 矢ごろ少し遠かりければ… /平家物語「扇の的」
- 祇園精舎の鐘の声… /平家物語「祇園精舎」
- むかしむかしあるところに… /桃太郎
- 大国主神には多くの… /古事記「いなばのしろうさぎ」
- いまは昔、竹取の翁… /竹取物語
- 月も朧に白魚の… /河竹黙阿弥
- 富士はなぜかくまで美しい /濤川栄太
- 〈コラム〉
- 読み聞かせは愛の世界――音読のコツ――
- 読み聞かせは愛の世界――いろは歌――発音練習――
- 「日本と世界の子どもたちを救う会」に寄せて―― 音読であなたが変わる――音読の効用――
- 読書と音読―― 音読に向く本――音読の効能――
プロローグ
西暦二〇〇一年九月十一日を境に世界は激変するのでしょう。『たい大こく国のこう興ぼう亡』の著者ポール・ケネディがし指てき摘するまでもなく、間違いなく歴史の大転換の日、ターニング・ポイントになるに違いありません。歴史をさかのぼるとき、一五一七年マルチン・ルターがウィッテンベルクの教会にカ条の抗議文をかか掲げた瞬間から、ヨーロッパ社会が劇的に変わっていったこと、一七八九年バスチーユの牢獄がしゅう襲げき撃された瞬間から世界が根底から変わり、一九三〇年マハトマ・ガンジーが英国の塩税に反対し、行進を始めた瞬間からあの大英帝国がほう崩かい壊に向かい始めたことが胸に去来します。
それだけではありません。産業革命以来二〇〇年も続いた大量生産・大量消費時代がある意味で終わりを告げ、冷戦崩壊以後のアメリカの一極支配によるグローバリゼーションに影を落とし、アメリカ支配の世界構造が変わる可能性があります。ということは、世界構造の新パラダイムをきっ喫きん緊に創造構築しなければなりません。ただ安易かつ短絡的に「テロリズム対反テロリズム」と図式をつくることだけでは賢明とはいえません。その発想から出発して、より奥深く、真に世紀以降を切り拓くパラダイムでなければなりません。
それほどに、今世界に鮮明に見えてきたものこそ、テロの恐怖、宗教を名乗る狂気、第三世界の貧困、人口爆発、難民、食糧、エネルギー、人間的絶望、そして地球環境問題です。冷戦も終わり、「ああ戦争が終わった、これからは世界に平和が来る」と本当に世界の多くの人々は思いました。しかしバラ色のはずであった世紀とは、実に本質的絶望感を人類に思い考えさせるほどの困難な世紀であろうことを、その多くがし示さ唆し始めてもいます。
地球環境問題など、年前までは「間違いなく一〇〇〇年間は人類は生きる」というのが専門家の一致した見識でした。しかし、この年間の地球環境の急速な劣悪化には目をおおうものがあります。砂漠化はどんどん進行し、温暖化をはじめ人間の生存状況を追いつめる現象はまい枚きょ挙にいとまがありません。かなりの地球環境の研究者が口にします。「西暦二〇五〇年には温度が度上昇する。環境劣化はさらに急速にしかも複合的に進行し、ひょっとすると世紀を迎える頃には人類は絶滅状態になるかもしれない」というのです。
こんなことは絶対にあってはいけないことであり、今こそ現代に生きるすべての人間は、@人間の尊厳A自然の尊厳B地球の尊厳を決定的に意識し、遵守し、そこからの創造的発展を心がけることが求められます。
そして人類生き残りのコンセプトをも考察しなければなりません。@非暴力A共生B国際的友情C武士道的ヒューマニズムDち知そく足ぐらいの思想は、わが日本から世界に発信しなければならぬテーマなのかもしれません。
誰がニューヨークの世界貿易センターが、それも乗っ取られた旅客機で爆撃され、倒壊することを予想し得たでしょう。たん炭そ疽きん菌で死者まで続出する事態を想像し得たでしょう。人の狂気というものが、ここまで顕現、現象化されるのを目撃するとき、世紀を担う子ども達に投げかける言葉を一瞬見失ってしまいます。
思うに、人類が長年理想として夢見続けてきた民主主義の重大要素の一つである「平等」がい概ねん念が、ある意味で歴史上はじめて実現されたのかもしれません。それも皮肉なことにきわめて「ふ負」の部分、すなわち億の人間がテロによって、次の瞬間にまっ抹さつ殺される可能性をもつ地点に、同一かつ平等に立ってしまったということです。
私は世紀に生まれ、世紀に生きていかねばならぬ多くの子ども達に、深い深い同情の念を抱きます。それはある意味で、考えようでは歴史上最もつらく、むご酷い「生存状況」と世紀を規定できるかもしれないからです。確かにモノは豊かです。建物も立派です。様々なシステムもそろっています。しかし人間としての自助努力が本質的にかな叶っていかない、花が咲いていかない可能性を、人間世界自らがつくり出してしまっているということなのです。
かつて戦争直後の日本はが瓦れき礫の山であり、はい廃きょ虚でした。しかし、「ここに新しい日本をつくるぞ!」と胸を張ってひたい額に汗をしたたらせた大人達を見、子ども達は、「すべては自助努力によって決まる」と志をもち、腹をくくることができました。貧しくとも、苦しくとも、「切り拓いていける!」の希望心と夢見る心を満々とたたえる時代状況でした。心豊かに生きることに十全の願望と満足心をもちえる社会でした。しかし、その時代に比し「生きることに絶望させる」要素が、あまりに深く、多様なのが今日的時代状況ではないでしょうか。
だからこそ、だからこそ、「読書」なのです。今こそ「読書」なのです。今こそ古典・名作・劇的作品・心揺さぶられる著作をひもとくときです。仏教の言葉に「地によって倒れた者は、地によって立ち上がる以外なし」とあります。人間が地球を、そして地球上を、これだけ病理化してしまったのです。この問題解決は、やはり人間の手によるしかないのもまた明快な事実なのです。
現在の病理を乗り越えるには、それは気の遠くなるほどのにん忍く苦と、学習と、人格のたん鍛れん練と、寛容、良質な社会参加、そして巨大な問題解決能力をかく獲とく得しなければとう到てい底かなうものではないでしょう。しかし、「危機」がこれほど明確化した以上、どれほど困難であろうとも、その壁に立ち向かうしかありません。
ポリシーは、それこそ数限りなくこう考さつ察しなければなりません。しかし、一切の根元は、やはりエネルギー源なのです。読書、音読――これこそ、全生命力をふる奮いたたせ、全人格をし止よう揚しょう昇か華させる根源的パワーであることを知ってほしいのです。地球再生、世界の真の平和創造にこそ、まず日本人が立ち上がらねばなりません。ポール・クローデルが言った言葉が今よみがえ蘇ります。「日本人は貧しい。だけど高貴だ。地上で決して滅んでほしくない民族をただ一つあげるとすれば、それは日本人だ」
今の日本は、決してクローデルが言うような立派な国とはどうしても思えません。うぬぼれることなく、ごうまん傲慢のてつ轍を踏むことなく、けん謙きょ虚に、淡々とやるべきことを一歩一歩やりきっていくしかないのでしょう。日本という国は、世界に貢献することを宿命とされている国に思えてなりません。
大事とは、小事の、しかもたった一つの灯から始まるものです。あのアメリカの南北戦争も、ストウという一市井の名もない婦人の著作『アンクル・トムの小屋』じょう上し梓が引き金になり、達成されたものでした。
日本中が、世界中が、この世界の歴史のすべてが生み出した古典・名作・感動作品・文化財を腰をすえて学習し直していくとき、現代の我々の愚かさと至らぬ所に気付き、人間として生きてゆく大切な「心の原点」「生き方の原点」「一切の原点」をかく覚せい醒させられる可能性をどうしても信じたいのです。
もう一つ、自覚したいことは、私達は日本人であるということです。そして現代人がほぼ忘れ去ってしまったことがあります。それは「日本語の美しさ」ということです。ありがたいことに日本語は、漢字と仮名との混交ででき上がっているいっ逸ぴん品であり、宝石のようにうるわ麗しい言葉です。この日本語の美しさに対する思いと感動を取り戻すことこそ、日本人としてふる奮い立っていく突破口の一つであると思えてなりません。
「音読集いのち輝く日本語の世界」を、朗々と、豊かに、声を出して読み上げ、生命のしん深おう奥からこんこんと湧き出ずる力と英知、そして本当のやさしさ、生きる勇気と歓びを、くみ出していきたいものです。
平成十四年四月 /濤川 栄太
-
明治図書
















