子どもが主役の道徳授業1学校ぐるみで取り組む小学校統合的プログラム

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「思いやりの気持ちをもち、たくましく生きる子どもの育成」をめざし、統合的プログラムによって、地域・保護者も巻き込み、学校ぐるみで取り組んだ子どもが主役の授業実践


復刊時予価: 2,563円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-804911-1
ジャンル:
道徳
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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はじめに /伊藤 啓一
第1章 今,なぜ統合的プログラムなのか
1 道徳教育と体験活動の重視
(1)生きる力を育てる
(2)「道徳の時間」と「総合的な学習の時間」
(3)体験を生かした道徳教育11
2 統合的道徳教育
(1)価値観のギャップを認める
(2)統合的道徳教育論の背景
3 統合的プログラム
(1)道徳授業の2つの型
(2)新しい道徳授業
(3)価値を伝える道徳授業
4 プログラムを構想するスタンス
(1)子どもの実態から
(2)「B型」の受容・創造的アプローチ
(3)「A型」の伝達・納得的アプローチ
(4)立体的に考える
5 まとめ /伊藤 啓一
第2章 奥浦小学校の道徳教育の取り組み
1 10年度の研究
【10年度の主な取り組み】
【残された課題】
2 統合的プログラムの採用
【終末が開いた授業と閉じた授業】
【子どもの心に残る授業の組織化】
【統合的プログラムの導入へ】
3 11年度の研究
【統合的道徳教育の実践】
【研究の方法・部会テーマ】
【サブテーマ実現の手だて】
【本校の重点指導内容】
【本校の道徳授業】
【研究の成果】
奥浦小学校校長 /月川 雅朝
研究主任 /増田 祥子
第3章 統合的プログラムの実践
1 1年生「生命を大切にする心をはぐくむプログラム」 /柳田 金一
2 2年生「友達への思いやりをはぐくむプログラム」 /小島 重美
3 3年生「進んで,親切にしようとする態度をはぐくむプログラム」 /坂下 和男
4 4年生「努力する心をはぐくむプログラム」 /山田 千鶴
5 5年生「生を見つめるプログラム」 /指方 聡子
6 6年生「ほんとうの友情をはぐくむプログラム」 /増田 祥子
第4章 今後の課題
1 統合的プログラムを実践して
【道徳授業の易行道】
【取り組みに対するとまどい】
【とまどいの克服】
【統合的道徳教育の収穫】
2 子どもと教師が楽しめる道徳授業
【従来の道徳授業に対する子どものイメージ】
【楽しい道徳授業】
3 フレキシブルな道徳授業の創造
【統合的プログラムのもつ柔軟性】
【ゲストティーチャー】
【インターネットを利用した道徳授業】
【体験活動を生かした道徳授業】
4 統合的プログラムから得られたもの
【プログラムの実践を経て】
【奥浦小学校の道徳教育に残された今後の課題】
教務主任,研究主任補佐 /山本 和佳
おわりに 教頭 /笹山 義徳

はじめに

 奥浦小学校は,長崎県の五島列島福江市にある。キリシタンの里と呼ばれ,湾が入り込んだ風光明媚なところである。

 山本和佳先生から連絡をいただいたのは,平成11年の4月であった。山本先生といえば,失礼であるが,同じ道徳の学会会員で数年前に「道徳の授業評価」という論文を発表した方というぐらいしか認識がなく,顔も浮かんでこなかった。そんな山本先生から,突然「統合的プログラムで学校の研究発表をしたいのです。協力してください」と連絡があったとき,正直言って驚いた。発表は11月である。今から8か月で本当に研究発表ができるのだろうかという心配と,学校ぐるみでやろうとの熱意をうれしく思う心が合い半ばした。11月25日,福江市教育委員会の研究指定校として,「思いやりの気持ちをもち,たくましく生きる子どもの育成」というテーマの下,研究発表会は行われた。そして,私がそのときの講師として招かれたのである。

 奥浦小学校は,1学年1クラス教員数12名の小規模校である。そこで,全クラスが授業を公開し,かつ,それが統合的プログラムの1時間としての実践であった。その授業を見て,先生方の熱心さと子どもたちの生き生きとした授業態度に感激して高知へ帰った。数日後,私は山本先生に電話して,今回の出版の話しをもちかけた。

 統合的プログラムの特色は,1)分かりやすい,2)だれにでもできる,3)教師の創造性を生かす,4)「教」と「育」のバランスを重んじる,などである。特に本書では,2)の「だれにでもできる」ということを証明したかった。ただ,「だれにでもできる」ということは,安易にできるハウツーものという意味ではない。子どもの成長を願って道徳教育に真剣に取り組み,自らも子どもと共により善く生きようとする姿勢をもった教師ならだれにでもできるという意味である。

 奥浦小学校の統合的プログラムは,1年間実践しただけであり,まだまだ改善すべき点は多い。しかし,たとえ1年であっても共通理解を得て,全員が力を合わせて研究すれば,ここまでできることを示してくれた。私たちが目指している,分かりやすくて,だれにもできて,子どもが主役の道徳授業が,教師自身もエンジョイしながら実践できるということを奥浦小学校が証明してくれたのである。

 とはいっても,私の前著「『生きる力』をつける道徳授業」と「『思いやり』の心をはぐくむ道徳授業」を参考にして学校で話し合い,そこからスタートした実践である。奥浦小の先生方とプログラムの内容について,打ち合わせをしたことはない。しかし,「A型」(伝達・納得型)授業と「B型」(受容・創造型)授業の必要性,子どもが主役の授業づくりなど,基本的な考え方は一致している。具体的な内容については,奥浦小学校独自のものも多く含まれているが,これこそ,私の望むところであり,学校の独自性,教師の創造性を尊重してこそ,生きた道徳教育になると思うのである。

 統合的プログラムは,折衷的立場をとっている。よって,ある意味では「いいかげん」な所がある。それは,間口を広くしてできるだけ多様なアプローチを受け入れること,また,実践する学校や実践する教師の創造性を発揮する場が必要であると考えているからである。しかし,「いいかげん」は「良い加減」に通じ,「中庸」や「『教』と『育』のバランスを重視すること」につながるのである。そして「価値を伝達すること」と「価値を創造すること」との統合を目指し,「流行」に対応しながらも「不易」を大切にした授業づくりをしていきたいと思っている。

 この奥浦小学校の実践が,これから道徳教育に力を入れようとしている学校の参考になれば幸いである。今回も,明治図書仁井田康義氏のサポートがあって,やっとここまでたどりついた。深く感謝したい。


  平成12年7月   /伊藤 啓一

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      明治図書

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