- まえがき
- 1章 絶対評価で図画工作科授業はどう変わるか
- §1 絶対評価と図画工作科
- §2 絶対評価を生かすための授業づくり
- 2章 図画工作科指導と評価一体化の条件
- §1 指導目標の分析と明確化の必要性
- §2 確かな評価規準と評価基準の設定
- §3 評価方法への熟達
- §4 指導計画,評価計画の作成
- §5 評価の実践と援助の方法
- §6 評価資料の収集と蓄積・活用
- 3章 図画工作科指導と評価一体化の具体策
- §1 個別指導で対応する援助の方法
- §2 少人数学習で対応する援助の方法
- §3 習熟に応じた学習で対応する援助の方法
- §4 発展的な学習で対応する援助の方法
- §5 作品等で対応する援助の方法
- §6 通知表で対応する援助の方法
- 4章 図画工作科指導と評価一体化の授業展開
- §1 図画工作科第1学年での授業展開
- 「チョッキンパをつくって」の授業展開
- 「はるはる おはながみのえ」の授業展開
- 「だいすき,わたしの ふわちゃん」の授業展開
- §2 図画工作科第2学年での授業展開
- 「しぜんからの おくりもの」の授業展開
- 「シャボンの あわが はじけると」の授業展開
- 「風で動く車」の授業展開
- §3 図画工作科第3学年での授業展開
- 「気持ちホワホワ」の授業展開
- 「ぬのから生まれた」の授業展開
- 「きょうかしょびじゅつかん」の授業展開
- §4 図画工作科第4学年での授業展開
- 「生命誕生!」の授業展開
- 「光る不思議植物──アルミホイルを使って──」の授業展開
- 「ファッションショーをしよう」の授業展開
- §5 図画工作科第5学年での授業展開
- 「立てて・ならべて・つなげてみたら」の授業展開
- 「新しい画用紙で」の授業展開
- 「もじ 文字 デザイン」の授業展開
- §6 図画工作科第6学年での授業展開
- 「お気に入りの場所をつなげて」の授業展開
- 「ときめきを重ねて」の授業展開
- 「思い出ボックス」の授業展開
まえがき
平成13年度児童指導要録の改訂で,これからの評価は学習指導要領に示された教科の目標に照らし,その実現状況をとらえて評価する,いわゆる絶対評価に転換された。これを受け,図画工作科の授業はどのように変わるのか,指導と評価の計画をどのように作成すればよいか,指導と評価の具体的な方法をどのように工夫すればよいかなどについて考えるとともに,どのように実践すればよいかが求められている。
そこで,絶対評価に基づく,図画工作科の授業で求められる指導と評価について,実践事例をもとに具体的で分かりやすい,教室での実践に役立つものにしたいと考え,まとめることにした。本書は,以下のような考えに立ってまとめている。
1 図画工作に求められる評価力
〇育てたい資質や能力を明確にした授業づくり
図画工作科の学習は比較的制約が少なく,子どもたちが開放された雰囲気の中で思いのままに想像力を発揮して表現することで自己実現の喜びを実感できる。「図工が好き」,「図工の時間が楽しい」と答えている子どもが多いのである。しかし,授業の中で育っている資質や能力を子どもたちの活動からはとらえにくい。ともすると,作品だけを評価することになりがちである。楽しい活動の中で子どもたちはどんな能力や態度を身に付けているのか,目標に照らし,一人一人の実現状況を把握することが重要なのである。
〇価値のある内容と意味のある活動を関連させる
目標の実現を目指す授業では,身に付けるべき価値のある内容を選択し,子どもに意味のある創造活動を展開できるよう構想する。そのための材料や用具,活動の場や形態などの環境を整え,一人一人の持てる資質や能力を引き出し,伸ばすための指導と評価を工夫する。
〇指導と評価を一体化させる授業を展開する
子どもが自らつくりだすことの喜びを実感しながら,造形活動の基礎となる資質や能力を身に付けているよう指導と評価を一体化させる授業展開の技術が教師に求められている。指導と評価を一体化させる授業は,必要な資質や能力を確実に身に付けられるようにするための,個に応じた援助を行うためである。
〇柔軟で多様な指導と評価を工夫する
絶対評価が形式化された評価で終わらないようにしたい。設定した目標だけにとらわれず,子どもの多様な表現や興味・関心,基礎的な能力の広がりや深まりなど幅広い活動や変容に対応できる評価でなければならない。子どもの学習状況をとらえ,授業実践を振り返りながら評価規準の妥当性,信頼性,評価方法の的確性などを検討しつつ,指導・評価の力量を高める。
2 学校に求められる評価力
現在,どの学校においても,教科の目標に準拠した評価(絶対評価)に基づく授業を行うための単元・題材の評価規準を作成し,全学年の評価規準表を活用して実践に取り組んでいる。そこで,図画工作科において,次のような観点から授業実践を通じて校内や学校間で指導と評価に関する計画,方法などについて工夫・改善を重ねていく必要がある。
・教科部会や学年等で複数教師による評価記録の分析,総括の仕方を情報交換しているか。
・通知表の評価,評定の方針,仕方について子どもや保護者に説明しているか。
・教師の授業評価を指導と評価の方法や改善に役立てているか。
・子ども自身の評価活動を学習の改善に生かせるようにしているか。
・教師個人や学校で組織的な研究や研修を継続しているか。
3 今,教師に求められる力
〇子どもへの理解力を高める
・一人一人の在るがままや,よさなどを,多面的,肯定的に受け止めることからはじめる。
・行為や表現・作品だけでなく,内面のイメージ世界や迷い,葛藤などの動きを感じ取る。
・子どもの気持ちや変化を見逃さず,組織的なかかわりを通して具体的な対応を共有する。
〇授業力を磨く
・子どもの育ちや成長だけでなく,つまずきや迷い,停滞の要因を授業改善の視点とする。
・指導と評価は,教師の指導と子どもの学習との関係を見直し,修復する機会とする。
・教師の評価と子どもの評価のずれを修正,改善する。
〇カリキュラム構想力をつける
・授業評価を教科全体のカリキュラムの改善につなげる。
・学校のカリキュラム編成に参画し,教科カリキュラムの工夫改善に生かす。
・教育課題,環境,地域,保護者など学校外の教育カリキュラムと連携をする。
末筆になりましたが,本書は図画工作科の専科として活躍されている先生方のご賛同とご協力を得て,貴重な実践事例を記載することができました。図画工作科の授業を通じて,子どもたちの育ちや成長に役立つことができれば大きな幸せです。玉稿を賜りました諸先生方に心よりお礼を申し上げます。また,企画の段階からお世話になりました明治図書の安藤征宏氏,庄司俊彦氏に対しも名を記して感謝の意を表します。
2005年4月 編者 /片岡 眞幸
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明治図書
















