- はじめに
- 基本編
- 第1章 アセスメント
- 第1節 アセスメント 実態把握から学習活動へ
- 1 自閉症について
- 2 アセスメント
- 3 アセスメントの実際
- (1) フォーマルなアセスメント情報を得る
- (2) インフォーマルなアセスメント情報を得る
- (3) アセスメント情報をまとめる
- 第2節 どんな検査があるの? 何が分かるの?
- 1 自閉症児の特性を評価する諸検査
- (1) CARS(The Childhood Autism Rating Scale)
- (2) PEP-R(Psychoeducational Profile-R)
- (3) 精研式CLAC-U(Check List for Autistic Child),T-CLAC(筑波大学式)
- 2 知的機能を評価する諸検査
- (1) WISC-V
- (2) K-ABC
- 3 社会性や適応スキルを評価する諸検査
- (1) 新版S-M社会生活能力検査
- (2) ABS適応行動尺度
- 4 その他
- (1) 心の理論課題検査「TOM」
- (2) 動機づけアセスメント尺度(MAS)
- コラム 学習活動に生かす情報を得るために……
- 第3節 検査以外で分かること・日常の観察から
- 1 お手軽アセスメント
- (1) 「くらし」チェックリスト
- (2) 「しごと」アセスメント
- (3) 「よか」アセスメント
- 2 家庭・地域生活の実態把握
- 第4節 保護者と支援の観点を共有するには
- 1 パートナーシップを重視する
- 2 子ども理解に向けて,どんな観点で特性をみていくか
- 3 励みになる活動は何であるか
- 4 有意義なやりとりができるために,どのようにかかわっていけばよいか
- 5 どんな子どもに育ってほしいか
- 第2章 コミュニケーション
- 1 コミュニケーションとは
- (1) 一般的な定義
- (2) コミュニケーションの種類
- 2 自閉症児のコミュニケーションの特徴
- (1) コミュニケーション支援の前に
- (2) 自閉症児のコミュニケーションの特徴
- (3) 学校でのねらい
- 3 コミュニケーション力を育てるために
- (1) コミュニケーションの評価
- (2) コミュニケーション方法について
- (3) コミュニケーションスキルの獲得に向けて
- (4) コミュニケーションマインドを高めて
- 4 コミュニケーションツールいろいろ
- (1) 音声表出機器(VOCA)による支援
- (2) 図形シンボルによる支援
- 第3章 学習環境の整備
- 第1節 学習環境の整備
- 1 はじめに
- (1) 過去の小学部エリア
- 2 「空間」的環境の整備
- (1) 活動場所と活動内答の一致
- (2) 音への配慮
- (3) 人とのかかわり方への配慮
- 3 「時間」的環境の整備
- (1) スケジュール
- (2) 時間の構造化(時間割の工夫)
- 4 どんな観点で教室づくりをするか
- (1) 分かりやすく,学びやすい環境をつくる
- (2) 限られた空間を有効に活用する
- 第2節 スケジュール導入の例
- 1 日常生活の日課のルーティン化(学校レベルでのスケジュール調整)
- 2 スケジュール導入の実際(個人のニーズに応じたスケジュール調整)
- 3 予定が変更されるときにはどうするの?
- 4 家庭・地域生活で生かせるスケジュール
- コラム 見通しをもっていないのは?
- 第4章 教育内容とIEP
- 第1節 教育活動の見直し
- 1 教育をめぐる諸情勢
- 2 北海道教育大学附属養護学校の教育
- 第2節 教育活動の実際
- 1 小学部の活動内容
- 日常生活の指導/ 体育・音楽(きりのめタイム)/ 課題学習/ 生活単元学習
- 2 中学部の活動内容
- 日常生活の指導/ 生活単元学習/ 課題学習/ 作業学習/ 音楽/ 美術/ 体育/ 総合的な学習の時間
- 3 高等部の活動内容
- 日常生活の指導/ 作業学習/ 生活実践学習/ 芸術/ 保健体育/ 生活単元学習/ トライ(総合的な学習の時間)
- 第3節 北教大附養型IEPの実際
- 1 北教大附養型IEPの概要
- 2 北教大附養型IEPの様式
- 第4節 行事への取り組みを考える〜本校小学部の取り組みを通して〜
- 1 実際の取り組み
- (1) 行事に共通する取り組み
- (2) 文化祭への取り組み
- (3) 体育祭への取り組み
- コラム 聞こえてしまう音
- 事例編
- 事例1 「ぼく,○○したい」 コミュニケーションブックで思いを伝える
- 事例2 「せんせい,○○して」 視覚的な手がかりを使ったやりとりの学習
- 事例3 左右正しく靴を履こう
- 事例4 給食のご飯を食べよう
- コラム 意味のある構造化をするために……
- 事例5 言葉の手がかりを利用した牛乳配り
- 事例6 さわやかに登下校しようぜ!――かっこいい中学生になるために――
- コラム こんなことありませんか?――かかわり編――
- 事例7 見通しをもてたら大丈夫!――レンタルビデオ店が気になるFさん――
- コラム こんなの作ってみました――よか支援ブック――
- 事例8 下駄箱掃除の指導――1対1対応を取り入れた活動の学習――
- コラム 個別化ではなく学習の孤立化!?
- 事例9 道具を活用して次の行動へ移る力を育む――給食場面を通して――
- 事例10 パソコンを使ったちらし作り
- 事例11 生徒の作品を製品に――ヒット商品「幸福の天使」のできるまで――
- 事例12 大学における小集団指導の概要と指導の実際
- 事例13 Lさんを中心とした連携の構築
- 事例14 できることを広げよう!――家庭と学校の連携例――
- 用語解説
- あとがき
はじめに
知的障害児を対象とする養護学校において多くの自閉症児が学んでいます。しかし,自閉症児と知的障害児では,教育的なアプローチの仕方が必ずしも同じではありません。そして,行動上の問題を抱えるケースの多い自閉症児が学習活動を展開することは,そんなにやさしくはありません。過去において,その違いに対応した学習や自閉症の特性を押さえた学習が十分になされてきたでしょうか。多くの学校がそのノウハウを十分もち得ていなかったのが,現状ではなかったのではないでしょうか。北海道教育大学附属養護学校(以下,本校)も,そのような養護学校の一つでした。
本校では,平成10年度より自閉症を切り口にして校内研究を進めてきました。切り口という言い方をしたのは,自閉症児だけではなく,基本に個々の児童生徒に応じた教育を行おうという姿勢があったからです。本校では,過去に個人実態表,個人課題表などを作成し,個に応じた実践を志向してきました。個に応じた実践を大切にしつつ,自閉症児の指導の最適化を目指した実践研究の過程で,多くの経験を積みさまざまな知見を得ました。これらの実践成果は,自閉症児ばかりでなく,他の障害のある児童生徒に対する教育にも生かすことができました。この実践研究を一里塚として,さらに発展させ,児童生徒の豊かで充実した生活への道程を具体的に探っていきたいと考えています。
(写真省略)
研究紀要第21号・22号
ここで研究の経過を簡単に振り返ってみます。
○平成10年度より,適切なアセスメントのもとに,一人一人に応じた環境づくりを行い,一人一人の将来を見据えた「指導の最適化」のあり方を追究してきました。
○自閉症児一人一人の個性を「良さ」として肯定的に理解する基本姿勢に立ってアセスメントを行い,将来を見据えた目標を設定し,「良さ」が生きる支援を追究することで,自閉症児が主体的に学習に参加することができると考えました。
○「主体的に活動する姿」を具現化することが,将来の豊かで充実した生活に結び付いていくものと考えて実践を重ねてきました。
○平成12年度からは,将来の豊かで充実した生活を目指して,「くらし」「しごと」「よか」の三つの視点から最適な支援のあり方を探ってきました。
以上が研究の概要ですが,本校の研究は,十分な成果があがっているというよりは,一つの通過点を過ぎ,新たな課題に向かって取り組みを開始しようとしている段階です。
これらの研究の成果は,本校研究紀要第21号「自閉症児の指導の最適化を目指して」と第22号「自閉症児の最適な支援のあり方を探る」にまとめられました。読んでいただいた方からは多くの助言や感想をいただきましたが,学校の研究紀要という性格から,発行部数が少なく,希望された方すべてに行き渡らない状況でした。
そこで,これらの研究の成果を再整理することにより,現在,あるいはこれから自閉症児の教育にかかわる方の参考に,また,知的障害養護学校における自閉症児教育の方向性を考えるための一助になればと考え,出版を企画しました。
さて,本書は,先述したように学校関係者だけでなく,これから自閉症児の教育にかかわる方を対象に書いています。大きく基本編と事例編で構成されております。基本編には,学校や家庭での実践をもとにアセスメントやコミュニケーション,環境整備,教育内容とIEP等の解説と事例を分かりやすく載せています。実際に学校で取り組んでいる具体例を図や写真を多く使用して説明しているのが特徴です。
事例編には,個別の詳しい事例を載せています。小学部から高等部までの「コミュニケーション」「くらし」「しごと」「よか」「連携」に関する事例を集めました。
そのほか,現在,障害児教育を学んでいる人や初めて障害児教育に接する先生方にも分かりやすいように,随所にコラムや巻末には用語解説を載せております。
私たちの実践は,試行錯誤の連続でした。しかし,私たちはこの実践を通して学んだことが,少しでもこれから取り組まれる方の参考になることを願っております。
本校の実践は,北海道教育大学函館校障害児教育教室や関係機関の皆様の協力により支えられています。そして研究の進展に伴い,「北海道教育大学附属養護学校特別支援教育研究会」を立ち上げ,その都度研究のまとめを行ってきました。現時点での本研究会の成果は,まだまだ満足できる内容に仕上がっていない部分も多いとは思いますが,お読みいただき御意見,御感想を聞かせていただければ幸いです。
2005年7月 /北海道教育大学附属養護学校特別支援教育研究会一同
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明治図書
















