- まえがき
- 第1章 新学習指導要領で知的障害者への教育はどう変わるか
- 1 小・中学部特殊教育諸学校の学習指導要領(知的障害関連)の変遷
- 2 自立活動
- 3 各教科
- 4 高等部
- 第2章 改訂学習指導要領を踏まえての指導事例
- 1 領域・教科を合わせた指導
- 【日常生活の指導】
- (1) 基本的な生活習慣(小学部)
- (2) 自立をめざした通学指導(小学部)
- 【遊びの指導】
- (1) 個に応じた遊びの指導の実践「ボール」(小学部)
- (2) 遊びの指導について考える(小学部)
- 【生活単元学習】
- (1) 「6年生を送る会」での実践(小学部)
- (2) ハロー,アリス!「ハッピーパーティ」大成功!(中学部)
- (3) より生活に結び付いた調理活動の展開(中学部)
- 【総合的な学習の時間】
- (1) 小学部6年間にわたる総合学習としての修学旅行(小学部)
- (2) 不思議な楽しいおもちゃをつくって遊ぶ「おもしろ科学」の実践(中学部)
- (3) 地域のスポーツに飛び込もう!(中学部)
- (4) 6年間を見通した「進路学習」(高等部)
- 【作業学習】
- (1) 中学部作業学習としての実務実習(中学部)
- (2) 意欲的に取り組む作業学習をめざして(高等部)
- 2 教科別の指導
- 【必修教科】
- (1) 音楽 他教科や領域に関連させた音楽の指導(中学部)
- (2) 保健体育 個々の生徒の動きや自作の教具を活用した指導(中学部)
- 【選択教科】
- (1) 外国語 楽しい英語教育をめざして(高等部)
- (2) 外国語 外国人指導員と会話を楽しむ英語の授業(高等部)
- (3) 情報 可能性を拡げる「情報」指導(高等部)
- 【専門教育】
- (1) 流通・サービス 障害の改善・克服と進路開拓をめざす「流通・サービス」(高等部)
- (2) 家政 豊かに生きる子供を育てる職業・家庭科の授業(高等部)
- 3 領域別の指導等
- 【自立活動】
- (1) 個別教育計画を基に共通理解して取り組む「自立活動」(小学部)
- (2) 生きる力をはぐくむ中学部の自立活動(中学部)
- 【重複障害者】
- (1) 手遊びから広がったAさんの世界(小学部)
- (2) 自立活動におけるK児の指導実践例(中学部)
- 【訪問を受ける者】
- 人とかかわる力を養う指導の一例(高等部)
- 【交流学習】
- 直接触れ合える,より質の高い交流をめざして(高等部)
- 資料:盲学校,聾学校及び養護学校小学部・中学部学習指導要領新旧対比
まえがき
学習指導要領の制定・改訂は,通常の教育が行うと特殊教育も行います。特殊教育の基本は,通常の教育に準ずる教育ですから当然です。しかし,小学校・中学校の教科中心の教育と知的障害教育における生活中心の教育とでは,基本的に違うところがあります。
小学校・中学校は,教科等の指導内容(学習指導要領)が初めに用意されています。これらを指導し定着をさせなければ,次の学習に支障をきたします。しかし,知的障害教育は,初めに子供ありきです。したがって,教科等の指導内容(学習指導要領)は,これだけはどうしても定着させなければならないということでなく,学習活動の目安程度の役割です。
さて,知的障害教育における小学部・中学部に関連する学習指導要領の改訂は4回目です。高等部は3回目です。
小学部・中学部の制定は昭和37年度で,目玉は,@軽度障害者対象A一般目標と具体目標の設定B教科の内容は具体的C学習困難な児童生徒への特例D指導方法として合科・統合を可能としたことです。第1回目(昭和45年度)の改訂は,@生活科の新設A養護・訓練の新設B重複障害者への特例を設けたことです。第2回目(昭和54年度)の改訂は,@訪問教育を位置づけたことです。第3回目(平成元年度)の改訂は,@小学部の各教科の内容の示し方を生活中心の教育に改めたことです。今回の改訂は,@総合的な学習の時間の新設A自立活動と名称の変更をしたことです。
高等部の制定は昭和47年度で,基本的姿勢は,@教育の枠組みは中学部に準ずるA専門教育は設けないB単位制をとらないということです。第1回目(昭和54年度)の改訂は,特筆するようなことはありません。第2回目(平成元年度)の改訂は,@専門教育を主とする学科を新設したことです。今回の改訂の目玉は,@選択教科の復活A専門教育を主とする学科の充実B訪問教育実施可能としたことです。
一般的には,学習指導要領が改訂されますと,@文部省は,都道府県の関係者に改訂の趣旨の徹底を図るために説明会を行います。Aこの趣旨を受け,都道府県は,所管する学校に説明をし,B校長は,その趣旨を生かして教育課程の見直しをします。C教師は,教育課程に基づいてそれぞれの年間指導計画を作成します。D教師は,年間指導計画に基づいて授業を行います。しかし,実際には,以上述べた順序でなく,教科書会社の作成する教科書や指導書に左右されることが少なくありません。
しかし,知的障害教育の場合は,有用な教科書はありませんので,自作の教材・教具を工夫・開発しなければなりません。したがって,@学習指導要領が改訂されますと校長は,改訂の内容を吟味し,A教師は,試行錯誤しながら1時間1時間の授業の展開を試みます。Bこの積み重ねが結果的に1カ月の計画,1学期の計画,1年の計画の改善につながり,Cさらに,学校の計画の改善となり,Dこれらが全国的な広がりになりますと,学習指導要領の改訂へとつながるわけです。知的障害教育の改善は,いわゆるトップダウン方式でなくトップダウンを考慮しつつもボトムアップ方式で行われます。
この意味で,本書は,学習指導要領改訂の趣旨を踏まえ,これまでの実践を確認し少し手を加えて生かしたものと,改訂の趣旨を生かし先取りし手探りで実践したものとがあります。
「これからの新しい知的障害教育に一石を投じることができればよいが」と思いを込めて作成しました。
作成に当たっては,お忙しいにもかかわらずご協力いただいた執筆者の皆さん,本書の企画・作成に特別のご高配をいただいた明治図書出版株式会社並びに編集部の三橋由美子氏に心からお礼を申し上げる次第です。
平成12年9月 編著者 /宮崎 直男
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明治図書















