- まえがき――ひと流れの動きに生命ありと―― /松本 千代栄
- 1章 教育・学会・研究組織関係
- @シンポジウム等
- シンポジウム 女子体育の盲点と対策〈日本体育学会第6回大会〉
- シンポジウム 学校ダンスの在り方〈日本体育学会第18回大会〉
- 学校のダンスと国民スポーツ〈日本体育学会第31回大会〉
- シンポジウム 学校体育におけるダンス表現運動の指導はいかにあるべきか 第二次大戦後におけるダンス学習の発展と今後の動向
- 学校ダンスの基本的な問題点とその解釈 学校ダンスの基本的な問題点について松本千代栄先生に聞く
- 現行の学校ダンスはこれでよいのか(一)――創作の問題を主として――
- 座談会 体操とダンスの指導法の問題点
- A講座・学科の新設
- 論説 カリキュラムの検討――舞踊系の教育を視点として――
- 舞踊教育学科のめざすもの――学科の設置の機に――
- 論説 大学専門教育を考える――ダンス履修の問題――
- B体育・スポーツ
- 巻頭言 自覚をうながす体育
- 家庭婦人のために対策を
- 女子体育の課題
- 学校体育時評 13分38秒の体験――体育の中の個と集団――
- 昭和55年の抱負 女性の視点から体育のすべてを
- みんなのスポーツを 女性のライフ・サイクルの上に
- 論説 女子体育の現状と問題
- “夜明け”の拠点に――駅伝元年…羽ばたけ 女性スポーツ〈5〉――
- 『女子体育』――思想の根底を培い,現象を解きほぐす玉稿――
- 2章 国際交流
- @国際女子体育会議報告
- 第6回国際女子体育会議報告 序文〈1969 東京会議〉
- 国際女子体育連盟便り
- 第7回国際女子体育会議を終えて〈1973 テヘラン会議〉
- 第8回国際女子体育会議――舞踊教育の方法を求めて――〈1977 ケープタウン会議〉
- 特集 国際化時代と体育・スポーツ 国際女子体育連盟
- 第9回国際女子体育会議――幕開け研究報告の大役――〈1981 ブエノスアイレス会議〉
- 第9回国際女子体育会議――国際会議レポート――
- 第10回国際女子体育会議を終えて〈1985 ヨーロッパ会議〉
- 第11回国際女子体育会議――バリ報告――(2)〈1989 バリ会議〉
- A人
- マヤ レックス のプロフィール――東京に迎えるレクチャラー――
- 女子体育者は主体性を――エインズワース,ディーム両女子の受賞に寄せて
- 追悼 D.S.エインズワース先生――国際女子体育会議創始者――
- ヘレン トーリッヒ――国際女子体育連盟新会長プロフィール――
- イザベル H.ネル教授――国際女子体育連盟副会長プロフィール――
- M.ドロシー・マセイ――国際女子体育連盟副会長プロフィール――
- 戦後 学校体育を支えた人たち/戸倉ハル――詩情の作・太陽の存在――
- 体育人と身体観 /戸倉 ハル
- B招聘・交流
- 英国女王エリザベス二世陛下に創作ダンスをご覧いただいて
- フィンランド女子体育連盟 八十周年記念に招きをうけて
- 講演 大学における女子の体育とスポーツ――現代社会における 運動と表現の意義を考える――〈1982 中華民国〉
- 大学における舞踊教育研究集会――台北・体育学会の情報――
- ヒューマン・ムーヴメントの世界――1986年の国際交流から―― フィンランド女子体育連盟─創立90周年記念大会─/アジア大会科学会議−韓国−/中国芸術研究院と中国舞踏家協会−講義と舞踊鑑賞−
- 時の話題 舞踊と舞踊学の国際交流
- 巻頭言 新しい風――6th World Sport for All Congress――
- 3章 アジア・ヨーロッパ研修の旅
- インタビュー ブラジルからヨーロッパへの旅――私のみた学校ダンス――
- 私の眼でとらえた体育
- 1.印度 2.ヨーロッパでの休日 3.ヨーロッパでの休日・つづき 4.ヨーロッパでの休日 5.幼稚園参観 6.小学校参観 7.中・高校参観
- 「青年の船」アジア訪問
- 1.はじめに 2.フィリピンのプロフィール 3.ジャカルタ寄港 4.若い国マレーシア 5.インディアの日々 6.シンガポールの日々 7.旅のおわりに
- 第6回全国女子体育研究大会特別講演 「私の見た体育 私の考えた体育」
- 最近の各国の体育事情 中国訪問――日本体育学研究者訪中団の旅――
- 随想 他者の眼
- 連帯と共生の旅 ―「船」―
- 4章 社会文化としての開発
- @日本女子体育連盟 組織・活動
- 新しい誕生
- (社)日本女子体育連盟「登録学術研究団体」に
- 社団法人 日本女子体育連盟――民間教育研究団体の主張と授業の考え方――
- 特集 体育関連学会の将来を考える 鋤日本女子体育連盟
- 連盟40年の歩み
- 1 「日本女子体育連盟」の出発 /2 「社団法人」設立と第6回国際女子体育会議東京開催 /3 社団法人日本女子体育連盟の充実・発展―国内活動 /4 社団法人日本女子体育連盟の充実・発展―国際交流 /5 日本学術会議認定「登録学術研究団体」として
- 祝 創立50周年――回顧と感謝の中に――
- A日本女子体育連盟 各県活動
- 開会式 祝辞とあいさつ――第9回全国女子体育研究大会――
- 「昨日」と「明日」の間――第12回全国女子体育研究大会報告――
- 宮崎県女子体育連盟 創立45周年を祝して
- 祝 沖縄女子体育連盟創立40周年
- Bオールジャパン・ダンスフェスティバル
- 巻頭言 新しいダンスの幕開け――第1回全日本高校・大学ダンスフェスティバル(神戸)開催――
- ICDF’93 初の開催と成果
- ADF’95 「神戸救援」――第8回 All Japan Dance Festival-Kobe東京開催を終えて――
- 10年の年輪を重ねて――記念プログラム「連作:新しい風」――
- 5章 ミズノ・スポーツライター賞
- ’93ミズノ スポーツライター賞
- 2001年度ミズノスポーツ メントール賞 ミズノスポーツライター賞
- 6章 贈られた言葉
- ダンスの価値 /重松 鷹泰
- 松本千代栄先生とその研究グループ――舞踊研究会―― /相場 了
- 第6回学校体育学会 夏期講習会講師プロフィール
- 時評 東京教育大学の舞踊学講座の誕生をよろこぶ /阿部 三亥
- 大学研究室めぐり 東京教育大学体育学部――舞踊研究室――
- 女性に必要な“体育スポーツ”――〈第六回国際女子体育会議を無事果した〉松本千代栄――
- 松本理事長 アメリカ体育アカデミーの交流会員に選出さる
- 国際女子体育連盟副会長 松本千代栄女史の活躍を願って /古村 澄一
- 松本千代栄先生の「芸術賞」受賞を祝して /(社)日本女子体育連盟
- Chiyoe Matsumoto――Mother of Dance Education in Japan /Sondra Fraleigh
- 勲三等宝冠章受賞を祝して/Patricia Bowen-West/Sondra Fraleigh
- 35周年迎えた日本女子体育連盟――指導者育て世界にも目――
- 全国女子体育研究大会で来県した日本女子体育連盟会長 松本千代栄さん――自己表現こそダンス
- CIEが視察した体育の授業:1948年松本千代栄氏の実践 /鈴木 明哲
- すばらしい実践者の授業から見えることとは /小林 篤
- 7章 語られた言葉
- ――対談 三浦雅士・松本千代栄
- ダンスマガジン・インタビュー 舞踊教育のあけぼの――創り出す歓びを育てつづけて――
- 松本千代栄 バイオグラフィー
- あとがき─体育を考える─ /野 章子・安村 清美
まえがき
――ひと流れの動きに生命ありと――
舞踊文化を見つめつつ,人間発達と自主創造性の学習を求め続けた年月は,留めおく術もなく過ぎ去ったが,折々の思いをこめた筆跡は,今もその刻々の想いを鮮やかに甦らせる。
第1巻『舞踊論叢』には,創造的芸術経験としての舞踊の特質を問いつつ,体育科のなかに位置づけられた舞踊の存在を,その文化の本質のままに,人間教育に資するものとしようとする思索と努力の日々の論考が収められている。舞踊教育の核心を「ひと流れの動きに生命ありと――」と,見定めて求め歩いた年月の足跡でもある。
第2巻『人間発達と表現――幼・小期』には,奈良女子高等師範学校附属小学校で子どもたちと取り組んだ,初心の実践の記録が収められている。
1945年敗戦。教育の目的を見失った。翌1946年には奈良へ戻り,模索の中に「ダンス」――創作学習に取り組んだ。子どもたちの煌きに瞠目しながら,教育人生の根幹が育まれた日々の記録である。
他方に,幼児の遊びの中核にも,「身体表現」を置くべきだと考えた園との交流。東京都新宿区の幼稚園との長年の取り組みは,この巻にその成果を収めている。
第3巻『人間発達と舞踊創作』は,“大学へ移ることで,あなたと同じではなくとも,あなたの思想を受け継ぐ人が育つ――”と,恩師竹之下休蔵先生の勧めを享けて大学の人となり,広く人間発達と表現を考え,教育・研究を推進する立場に立った時――。
戦後初の「学校体育指導要綱」(昭和22年)で,作成委員として初めて「ダンス」(作品創作・作品鑑賞・表現技術)の名称を採り,創造的芸術経験を学習に採り入れた。その年月の足跡――「教える教育から,ひきだす教育への転換」――「問題解決学習」としての小集団学習の実証的研究と成果を,ここに残している。
また,教師としての自主研修の会――与えられた研修の機会だけでなく,教師は生涯,自発的に研修を続けるべきである――との信条を持し,会を興した日からの足跡もここに収めている。
第4巻『舞踊発想と音楽』――この巻には,人間発達と経験を考え,学習者の表現をより豊かに――と希い,創案・制作した多くの「舞踊発想と音楽」の創案を収集・提示している。
奈良女子高等師範学校附属高校時代の清田倫子先生の豊かな詩歌の教育,東京女子高等師範学校での音楽専攻の学恩,とりわけ,宅孝二先生の「演奏」への深いお導き,また,多くの作曲家の協力なくては,この舞踊音楽発想創案の研究は成し得なかった。想を湧かせ,想を手引きして,新しい創作を拓く先達の役割――こんなに楽しい仕事を続けることができたのは,何よりの幸せであった。
この楽しい豊かな出会いの機会をいただいたのは,日本コロムビアの足羽章・井上英二両氏からであった。
また,この巻には,思いがけない機会を頂いて,英国女王エリザベス二世陛下に捧げた「栄光の春の日に」の作演を収めている。陛下のご覧になるであろう日本の自然や文化を想像しながら,「In Spring Glory――栄光の春の日に」の創案を持ち,子どもたち・学生たちとともに作をまとめた。翌日の新聞には,女王様の美しい笑顔とともに,春の季節の「栄光」と,女王様をお迎えする「栄光」を重ねた発想を生かした作演の写真が大きく掲げられていた。解説者として後部座席に座した私の着物姿を,子どもたちは「先生も女王様みたい!」と喜んでくれた。序破急のはこびで,和楽器も加えての作曲は,演の心をより鮮明にして下さったと感謝している。数少ない洋と和の風情を備えた楽曲として心に残る。
また,「プログラム」には望まれて,多くの「ことば」を贈らせて頂いた。作品が「上演」される時,作者と観者は,初めて「出会いの時」を持つ。「プログラム」には,この「一期一会」の時を,一人でも多くの人に――と願い,“ことば”を贈る。贈る“ことば”は,言い換えれば,作者と主題を見詰める舞踊観であり,また作者・観者に贈る表現愛の心でもある。
第5巻『舞踊教育の開拓』――教職にあった長い年月は,変動の時代に立ち,多くの社会的役割を負う日々でもあった。
体育の中のダンスの在り方を問われつつ,海外での指導・視察の機を得て視野を開き,また,第6回国際女子体育会議東京開催を実現して,海外依存ではなく,自立の襟度を――と,理想とする将来を展望した時期でもあった。
(社)日本女子体育連盟の設立。長として歩き続けることは,研究者としては岐路に立つ日々も少なくはなかった。しかし,社会人としての「私」は,この人間集団の中で育くまれたと省みている。
更に,この巻に収められた,この長い道程の中で頂いた多くの讃辞や評価は,この年月を見守り,育んで下さった,数えきれない多くのお力の証である。お導きを得ての年月を思いかえし,よき見守りを得た人生の幸をあらためて噛みしめ,深謝している。
最後に,「松本千代栄撰集」5巻の編纂を企画・完成して下さった「舞踊文化と教育研究の会」の安村清美(編集代表)・中村恭子・野章子・岩川眞紀の皆様に,また,完成を見ることなく,逝かれた――大鋸桂子様を思い,ここに心からの謝意を表したい。
よき教え子たちに見守られて,共々に歩いた年月は,何よりの至福の時であった。
刊行の実現は,明治図書出版株式会社編集部の石塚嘉典氏,有海有理様をはじめ,編集部の皆様のお力添えによるものである。心細やかに原稿を見届けていただいて,全5巻がまとめられた。
本撰集が,人間発達と舞踊に関わる方々のために,ひとつの灯を点じることになれば,これ以上に嬉しいことはない。
この夏は,韓国忠北大学体育学科創立50年記念国際シンポジウム(実行委員長:下在京教授)に招聘され,英・仏・中国からの講師にお出会いし,記念講演「One Flowing Movement Contains the Total Essence of Human Existence」を終えて帰国。国を越えて師弟の縁を思う時であり,舞踊と舞踊教育の個と汎世界性を思う時ともなった。多くのお力を得て,本撰集が世におくられる――。
この世界の人間文化と教育の限りない充実・発展を願いつつ――。
2007年12月 /松本 千代栄
-
明治図書

















