- まえがき
- 1章 キャリア教育と進路指導
- 1 職業指導から進路指導へ
- 2 進路指導からキャリア教育へ
- 3 キャリア教育とは
- 4 中学校におけるキャリア教育
- 5 キャリア教育の推進
- 6 キャリア教育の指導計画
- 7 キャリア教育の進路指導活用計画(3年)
- 2章 学級活動3年/キャリア教育と進路指導
- §1 自分の可能性を思い描こう〔肯定的な自己理解〕
- 資料1 (あなたの知っている職業をあげてください)
- 資料2 (この職業には,この人が合っている)
- 資料3 (君の可能性をもっと広げるには)
- §2 社会で自分はどんな活躍ができるか〔肯定的な自己理解〕
- 資料1 (自分の特徴と将来の生き方を考えよう)
- 資料2 (職業に対する興味・関心を深めよう)
- 資料3 (自分に適した職業と進路選択)
- §3 家族の中での自分の存在〔自己有用感の獲得〕
- 資料1 (私の生い立ちの記録)
- 資料2 (家族の一員・常識チェック)
- 資料3 (家族の思いや願いを大切に!)
- §4 仕事と生きがい〔興味・関心に基づく勤労観の形成〕
- 資料1 (将来の夢や希望について考えよう)
- 資料2 (ビデオ視聴メモ用紙)
- 資料3 (ある生き方を考えるワークシート)
- §5 こんな働き方をしたい〜フリーター問題を通して〜〔興味・関心に基づく勤労観の形成〕
- 資料1 (レポート「若者のフリーター現象について」)
- 資料2 (活動テーマ「若者のフリーター問題を考える」)
- 資料3 (ディベート「フリーターは,是か非か」そして…働き方についての自分自身の考えをもとう)
- §6 職業の価値に差はあるのか〔興味・関心に基づく職業観の形成〕
- 資料1 (職業の価値に差はあるのか?)
- 資料2 (私達の町づくりシート)
- 資料3 (保護者用のアンケート)
- §7 様々な職業の価値を考えよう〔興味・関心に基づく職業観の形成〕
- 資料1 (あなたの欲しいものは?)
- 資料2 (考えよう!「職業の輪」)
- 資料3 (こんな職業人になりたい!)
- §8 社会に出るまでの計画を立てよう〔進路計画の立案〕
- 資料1 (求められる4つの能力)
- 資料2 (将来希望する職業)
- 資料3 (卒業後の進路コースを計画しよう)
- §9 卒業後の進路選択をしよう〔暫定的な進路選択〕
- 資料1 (夢実現のためのプロセスをまとめよう!)
- 資料2 (進路選択お悩み相談会)
- 資料3 (今後,自分はこうしてゆく!〔決意!〕)
- §10 人はなぜ生きるのか〔生き方の探索〕
- 資料1 (みんなで「働く意義」についてディベートをしてみよう)
- 資料2 (「働く意義」について考えてみよう)
- 資料3 (すばらしい生き方をしていこう!)
- §11 君は誰のために何をするか〔生き方の探索〕
- 資料1 (将来,わたしはこんな○○をしたい)
- 資料2 (私の20年計画)
- 資料3 (メッセージカード)
- §12 進路確認マップをつくろう〔現実的な進路探索〕
- 資料1 (「今の自分」再確認!)
- 資料2 (「自分の希望」最終確認!)
- 資料3 (「進路手続き」確認表)
- 3章 啓発的体験活動
- §1 職業体験に関する体験活動〔体験入学で確かな進路情報を集めよう!〕
- 資料1 (体験入学参加票)
- 資料2 (体験入学報告書)
- 資料3 (夢や希望の実現に向かって)
- §2 上級学校での学びに関する体験活動〔上級学校の調査
- 資料1 (学ぶ道調査表)
- 資料2 (卒業生からの手紙)
- 資料3 (事前学習表)
- 資料4 (上級学校訪問のまとめ)
- 4章 進路相談
- §1 進路決定に向けた三者面談の実施と資料収集
- 資料1 (三者面談基礎資料〈生徒用〉)
- 資料2 (三者面談基礎資料〈保護者用〉)
- 資料3 (三者面談実施台本)
- 資料4 (三者面談を終えて)
- §2 進路決定に向けた個人面談の実施と資料収集
- 資料1 (個人面談事前調査表)
- 資料2 (第○回進路希望調査)
- 資料3 (個人面談記録用紙)
- 資料4 (高校説明会・体験入学申込書)
まえがき
自分の意思でアルバイトやパートとして働くことを希望するフリーターや就職や修学を望まないニートと呼ばれる若者が急増している。
景気の穏やかな回復により,2004年の完全失業率は4.7%となり,わずかながら改善された。
しかし,15歳から24歳の完全失業率は9.5%と相変わらず厳しい状況である。厚生省によると,学校卒業後,アルバイトやパートで働かなければならない者,また,そうした働き方を希望する者は,2003年は217万人で,年に10万人のペースで増え続けている。
また,職に就かず,学校へも行かず,職業訓練も受けていないニートは,2004年は52万人となり,10年後には100万人規模になるといわれている。こうしたフリーターやニートの増加は,生産労働人口を減少させ,社会保障制度を揺るがし,晩婚・未婚・少子化を増加させるなど,経済的・政治的にも大きな社会問題となっている。雇用状況は多少上向いたとはいえ,まだまだ若者の雇用状況が改善してきたとはいえない。そこで,政官業がそれぞれこうした状況に対する様々な対策に乗り出した。
文部科学省では,「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議」においてキャリア教育の意義と内容,初等中等教育における基本方向と推進方策などについて「報告書〜児童生徒一人一人の勤労観,職業観を育てるために〜」をまとめた。
学校教育においては,1960年頃から従来の「職業指導」に変わって「進路指導」が取り入れられるようになった。その結果,受験指導や就職指導に重きが置かれた偏差値主義の進学指導が行われたり,フリーター志向の若者の数が増加した。その反省から,現在は「生き方指導」としての進路指導が重要視されるようになった。
しかし,前述のようなニートと呼ばれる若者,取りあえず仕事はするがプロにはなりたがらない若者,自分の意にそぐわなければすぐに離職してしまう若者,きちんと指導すれば一応は仕事をするが熱くならない若者,そんな若者が増えている。
そこで,大学や短大での指導を充実するだけでなく,義務教育段階から「児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し,一人一人にふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる」というキャリア教育が提唱された。
キャリア教育は,端的には勤労観・職業観を育てる教育と言える。このキャリア教育の中核となるのが学校教育では進路指導である。キャリア教育は,進路指導とまったく別のものではない。「生き方指導」としての進路指導にこの「キャリア教育の考え方」を取り入れていくことが今日の学校教育における進路指導には極めて重要である。
前記の報告書において,中学校段階の課題として次の5点が挙げられている。
@肯定的な自己理解
A自己有用感の獲得
B興味・関心に基づく勤労観や職業観の形成
C進路計画の立案と暫定的選択
D生き方や進路に関する現実的探索
本書では,現行の学習指導要領の趣旨をふまえ,この報告書が挙げている5点の課題に迫る視点から各中学校の学級活動で取り上げられている活動内容を編成し直した。報告書で挙げられた中学校段階におけるこれらの課題を確実に解決するための題材とその展開例,資料を取り上げた。
学級担任の先生方が本書を有効に活用いただき,キャリア教育が求める有効性のある進路指導,実効性のある進路指導を展開してくださることを心より願っている。
結びにあたり,本書の刊行の趣旨にご理解をいただき,校務多忙な中にもかかわらず貴重な資料を提供いただいた執筆者の先生方,刊行に際しご尽力を賜った明治図書出版株式会社の安藤征宏氏をはじめ編集部の皆様に心から感謝を申し上げる。
平成18年5月 編者 /桑原 憲一
-
- 明治図書