- まえがき
- T 養護教諭の仕事術
- 一 向山先生とお話ししちゃった!
- 二 「TOSS養護教諭ネットワーク」立ち上げに向けて!
- 1 一大事件/2 あれよあれよ/3 TOSS養護教諭ネットワーク立ち上げに向けて
- 三 保健室の先生、D表検定にチャレンジ!
- 1 万歳/2 TOSS養護教諭の定義/3 シミュレーション/4 模擬授業評/5 模擬授業から得る力とは
- 四 保健室の先生、特別支援教育に携わる!
- 1 彼はODD(反抗挑戦性障害)?/2 PRSの提案/3 五分間の構成
- 五 特別支援教育・平山諭先生が学校にやって来た!!
- 1 ハードルもまた楽し♪/2 懇親会もまた楽し♪
- 六 松島流「ザ〜ッと、簡単に、品もよく!」の掲示術
- 1 私の掲示板、見て見て!/2 まずは、視線のキャッチ!/3 一本の木を飾る/4 正しい木の飾り方
- U 養護教諭の中学生との格闘
- 一 たかが尿検査、されど尿検査!
- 二 今度はトイレットペーパーと格闘!
- 三 生徒が本音を言ってくれる時!
- 四 目には見えない、でも触れるとわかるその変化
- 五 授業の腕をあげる法則第十条=『激励の原則』
- 1 生きていく気力を育てる/2 「一時の変化」の繰り返し/3 法則化に出合えたから
- 六 ストレスマネージメントスキル
- 1 テストに遅れちゃったぁ/2 まずは呼吸を整えよう/3 リラクセーショントレーニング/4 ポジティブ思考
- 七 あなたたちには見えないの?
- 1 人も羨む? 修学旅行引率/2 女生徒小部屋入り口にて/3 一人ぼっちの子の親の気持ち/4 『わたしのいもうと』
- 八 シンプルなルール
- 1 ある日の保健室/2 シンプルなルール/3 保健室のルール
- 九 恥ずかしながら、大規模中学校保健室での突発的性教育です! ―性教育その1―
- 1 私の話が聞けたから?/2 あなたたちは間違っとる!/3 その後
- 十 その時私は間違いなく悪人であった
- 1 保健室という場所/2 本当は書きたくないけれど
- 十一 私には、はっきり言葉で言いなさい! ―性教育その2―
- 1 性の指導は誰でも知りたい/2 こんな少女の場合/3 単刀直入
- 十二 私には、あなたを守る責任がある! ―性教育その3―
- 1 「性の指導」大好評につき/2 今回もさらけ出します!/3 はじめに戻る
- 十三 イライラの原因はひとつずつ自分で減らしていかなくちゃ!
- 1 自称「円形脱毛症」/2 A子は中二の女子/3 その数日後の来室時
- 十四 向山先生曰く「子どもの避難所になってください」
- 1 四月、保健室経営で思うこと/2 久しぶりに中学校保健室での話/3 あなたを理解したい
- V 中学校で荒れない子を育てる小学校保健室実践
- 一 「ち・ち・血が出たぁー」時の手当て
- 1 養護教諭もビックリ!/2 堀川発信『子どものケガ』/3 奥田より返信/4 松島姉御の返信はこれ/5 堀川、返信への返信
- 二 感染性胃腸炎の季節です。今回の主役は「ノロウイルス」!
- 1 侮るなかれ!/2 新顔ウイルス/3 嘔吐後の処理は?/4 こうしましょう
- 三 保健室でも「係り活動」!
- 1 ネーミング/2 所・時・モノの原則
- 四 むし歯の指導だってスキルが大事
- 1 TOSSの常識/2 むし歯の指導もスキルが大事/3 松島流歯磨き指導
- 五 甘やかされ型不登校予備群と格闘中!
- 六 保健室の先生が、涙してパンツを洗う時
- 1 あるあるアクシデント/2 松島の日記・七月一六日/3 私の保健室経営/4 先生、バイバイ
- W 子どもの荒れを未然に防ぐ家庭教育啓発
- 一 保健室の先生、今度は「家庭教育啓発」&TOSSのよさを広げる!
- 1 網田大学教授・松島です/2 TOSSのよさを広げる/3 教育論文・実践記録応募/4 職務命令
- 二 子どもの生活の乱れには必ず背景がある
- 1 「疲れた」/2 「疲れ」の背景
- 三 日本の子どもたちを救うために立ち上がる!
- 1 発刊の辞/2 衝撃の国連勧告!/3 大規模中学校にて
- 四 健康の躾の三原則は「食う・寝る・遊ぶ」!
- 1 健康の躾の三原則は?/2 食う/3 寝る/4 遊ぶ
- 五 むし歯は「生活習慣病」!
- 1 「歯が痛いィィィ」/2 六月はむし歯予防月間
- 六 夏休みがやってくる!
- 1 四二日間は長い!/2 こんなに観ている!
- 七 スポーツドリンクの飲み方を間違えない!
- 1 飲ませる!/2 飲ませる時の基準/3 飲ませない!/4 ペットボトル症候群
- 八 スポーツの秋・運動会、けがが多くなる時期
- 1 朝からの来室/2 お子さんはどのタイプ?/3 捻挫・打撲・突き指/4 湿布? それとも
- 九「眼球視力」と「脳内視力」
- 1 大変! 我が子が近視です/2 眼球視力/3 脳内視力?
- 十 命をあずかる職業
- 1 保健室の先生達の研修会/2 救急隊員はジャニーズ系/3 表情と雰囲気/4 養護教諭も命をあずかる
- 十一 ストレスで発熱する現代っ子!
- 1 ストレスだらけです!/2 ストレス解消
- 十二 魔法のタオル、魔法の毛布
- 1 今どきの保健室/2 保健室の小道具/3 おうちでも小道具
- あとがき
まえがき
「保健室から学校が崩れる」
大規模中学校に赴任してすぐ、同僚からそう言われました。
大規模中学校初体験の私は、それに切り返す言葉を持っていませんでした。
今なら声を大にして言います。
「とんでもない!
保健室があるから、学校が崩れないのです!
保健室は最後の砦です!!」
今から一〇年近く前に、向山先生とお話しする機会がありました。
緊張して、緊張して、口から心臓が飛び出しそうになりながら、私は質問しました。
松島「向山先生が養護教諭に期待される力とは何ですか? 教えてください」
向山先生「先生は知的障害とLD、学習障害の違いがわかりますか? それからもうひとつ、子どもの避難所になってください。保健室しかないのですから。学校にひとつしかないのです」
今、軽度発達障害への無理解で、苦しむ子どもたちが保健室へやって来ます。
今、世の中の崩壊した環境で苦しみ、病んだ子どもたちが保健室へやって来ます。
養護教諭としての重要な仕事を、一〇年も前に、端的に示唆してくださった言葉でした。
しかし、経験不足、認識不足の私には、その意味がほとんど理解できませんでした。
わからぬまま、翌年、大規模中学校に赴任しました。
大人の都合で、子どもたちが病み、苦しんでいました。
それまで積み上げてきた実践など、まったく通用しませんでした。
養護教諭としての自信、人間としての自尊心さえ崩壊しました。
執務内容は一八〇度変わり、能天気だった私の生き方は真剣そのものになりました。
そしてそこから、私の教師修業が始まったのです。
二〇〇六年五月 /松島 裕美
日常のことがありのままの言葉で語られていてとても読みやすい1冊。