- 刊行のことば
- はじめに
- T 子どもを取り巻く生活事象
- 1 愛着
- 2 あいさつ
- 3 遊び友達
- 4 後かたづけ
- 5 アトピー
- 6 雨の日,晴れの日
- 7 親子読書
- 8 仮想現実
- 9 家庭と家族
- 10 きまり
- 11 基本的生活習慣
- 12 草花
- 13 携帯電話
- 14 けんかといじめ
- 15 ごっこ遊び
- 16 昆虫
- 17 散歩
- 18 躾
- 19 子どもにとっての自然
- 20 食事
- 21 太陽・月・星(天体)
- 22 トイレットトレーニング
- 23 便利な社会
- 24 夏休み
- 25 ペット
- 26 マンガ
- 27 昔遊び
- 28 遊具
- U 子どもの行動と思考の特性
- 1 暗黙知
- 2 意欲と意志
- 3 イメージ
- 4 因果関係
- 5 科学的思考
- 6 感性
- 7 感情移入
- 8 記号
- 9 興味・関心
- 10 帰納と演繹
- 11 子ども文化
- 12 自己中心
- 13 自然認識
- 14 自律心と自立
- 15 信頼感
- 16 社会認識
- 17 社会性
- 18 情緒の安定
- 19 水平思考
- 20 生活技能
- 21 性別役割分担
- 22 操作
- 23 第一次経験
- 24 対象的思考
- 25 体験知
- 26 体験と経験
- 27 態度
- 28 知識と知恵
- 29 知的好奇心
- 30 知的な発達
- 31 能力
- 32 脳の発達
- V 生活科の教育計画と構想
- 1 安全教育
- 2 生きる力
- 3 オープンスペースの活用
- 4 学習指導要領
- 5 学習の自立
- 6 学校文化
- 7 環境構成
- 8 環境を通した教育
- 9 間接教育(間接指導)
- 10 基礎・基本
- 11 季節感の感じ取り
- 12 救急箱
- 13 教育観の転回
- 14 教育目標と達成目標
- 15 教科書の活用
- 16 教科と領域
- 17 クラス担任の仕事
- 18 クラス担任のファッション
- 19 心の教育
- 20 子どもの意識
- 21 子どもの疑問とその解決
- 22 子どもの実態調査
- 23 自己有能(効力)感
- 24 指導計画の作成
- 25 授業時間の弾力運用
- 26 所属意識
- 27 小動物の飼育
- 28 生活時間と生活空間
- 29 生活科で育つ力
- 30 生活科の目標と内容
- 31 生活科と学校週5日制
- 32 生活科と教師の研修
- 33 生活科と他教科等との関連
- 34 生活科と中学年教育
- 35 生活科と大学の役割
- 36 生活科ファイル
- 37 知恵の教育
- 38 地域行事
- 39 ティームティーチング
- 40 特色ある教育課程
- 41 年間計画の見直しの視点
- 42 入学初期の集団適応
- 43 複式学級と生活科
- 44 保護者との連絡・対話
- 45 学ぶ喜び
- 46 祭りの種類
- 47 無意識的予習
- 48 ゆとり
- 49 養護学校の交流教育
- 50 幼・小連携の教育課題
- W 生活科の授業方法と論理
- 1 選ぶ活動
- 2 オリエンテーション(方向付け)
- 3 課題と問題
- 4 活動の連続・発展
- 5 感動体験
- 6 企画する活動
- 7 五感に働きかける活動
- 8 個性を生かす
- 9 ことばかけ
- 10 協同活動
- 11 串団子型の活動構成
- 12 グループ活動
- 13 グループの柔軟な編成
- 14 言語化(言葉化)
- 15 合科的な扱い
- 16 考察・吟味・結論付け
- 17 個と集団
- 18 かかわり
- 19 困難とその克服
- 20 作文する活動
- 21 自主性の育成
- 22 失敗から学ぶ
- 23 実践力
- 24 試行錯誤活動
- 25 思考の階層性
- 26 実験と観察
- 27 指導と支援
- 28 習熟する活動
- 29 授業の成立
- 30 授業参観
- 31 授業分析のポイント
- 32 授業の演出
- 33 授業のオープンエンド化
- 34 主体と客体
- 35 収斂(収束)と拡散
- 36 主眼(本時の)
- 37 調べる活動
- 38 成就感・達成感
- 39 新しい学力観の授業
- 40 身体表現
- 41 生活化
- 42 先行経験
- 43 素材や事象との出会わせ方
- 44 探検する活動
- 45 単元構成の仕方
- 46 知的な気付き
- 47 直感
- 48 つぶやき
- 49 発表する活動
- 50 場の構成
- 51 ハプニングへの対応
- 52 ブラックボックス
- 53 引き出す活動
- 54 没頭する活動
- 55 まなざし
- 56 振り返る(見直す)活動
- 57 認め合い活動
- 58 目的と目標
- 59 問題発見学習
- 60 予想
- 61 相談する活動
- X 生活科の教材(学習材)研究と活動開発
- 1 異学年や他校との交流
- 2 生き物からの学び
- 3 歌遊び・指遊び
- 4 海辺の活用
- 5 描く活動
- 6 絵日記
- 7 絵地図・マップ
- 8 絵本づくり
- 9 お家の人との会話カード
- 10 お手伝い
- 11 お年寄りとの交流
- 12 お店探検
- 13 お面づくり
- 14 オリエンテーリング・ゲーム
- 15 学習材
- 16 カード
- 17 紙芝居づくり
- 18 曲づくり・歌づくり
- 19 かざり
- 20 家族にかかわる活動
- 21 学校探検
- 22 川辺の活用
- 23 クイズ
- 24 継続する活動
- 25 公共物や公共施設の活用
- 26 校区探検
- 27 校庭の活用
- 28 言葉遊び・数字遊び
- 29 子ども祭り
- 30 採集する活動
- 31 栽培する活動
- 32 飼育する活動
- 33 物象・事象・現象
- 34 島の暮らしの教材化
- 35 社会施設(公共施設)の活用
- 36 生命尊重
- 37 水中の生き物
- 38 図鑑
- 39 染め物
- 40 田んぼの活用
- 41 地域素材の教材化
- 42 都市型生活科
- 43 調理する活動
- 44 創る活動
- 45 土に親しむ活動
- 46 ネイチャーゲーム
- 47 野原の活用
- 48 乗り物を利用する活動
- 49 ビオトープ
- 50 ペープサート
- 51 松林の中での活動
- 52 虫とり網
- 53 ものづくりの活動
- 54 森と里山の活用
- Y 子どもの成長発達とその評価
- 1 いじめられる子への対応
- 2 いじめる子への対応
- 3 感謝する気持ちの育成
- 4 寛容の気持ちとその育成
- 5 向上心の育成
- 6 子どものよさと可能性
- 7 自己決定
- 8 自己評価カード
- 9 自己認識・自己理解
- 10 身辺自立
- 11 すなおさの育成
- 12 すねる子どもへの対応
- 13 相互評価
- 14 たくましさの育成
- 15 他者理解
- 16 中学年の子どもの特性
- 17 手先の巧緻性の発達
- 18 年長児の特性
- 19 発達段階と発達課題
- 20 評価(子どもが求める)
- 21 評価規準の具体化
- 22 評価の観点
- 23 評価と指導の一体化
- 24 評価の場面
- 25 評価方法の工夫
- 26 ポートフォリオ評価
- 27 問題行動
- 28 優しさの育成
- Z 生活科と総合的な学習
- 1 インタビューの仕方
- 2 インターネット
- 3 学習ボランティア
- 4 環境教育
- 5 外国人子弟への対応
- 6 教育学的ケアリング
- 7 教科横断的な学習
- 8 共生の思想
- 9 高齢化社会の教育課題
- 10 国際理解教育
- 11 コンピュータによる表現活動
- 12 生涯学習
- 13 少子化時代の教育課題
- 14 消費者教育
- 15 シンポジウム
- 16 生活科と総合的な学習
- 17 総合的な学習の時間
- 18 総合的な学習の関連用語
- 19 総合的な学習と学習活動の選択
- 20 総合的な学習と教育課程
- 21 総合的な学習と教科学習
- 22 総合的な学習と情報教育
- 23 総合的な学習と単元開発
- 24 総合的な学習と特色ある学校づくり(小学校)
- 25 総合的な学習で育つ学力
- 26 総合的な学習と教師の意識改革
- 27 日本人学校と生活科
- 28 人間性の教育
- 29 福祉と健康の教育
- 30 パーティー
- 31 パネルディスカッション
- 32 開かれた学校
- 33 プレゼンテーション
- 34 ポスターセッション
- 35 ボランティア活動
- 36 ラウンドテーブル
- 37 ……らしさの教育
- 38 リサイクリング
- 39 ロール・プレイング
- 40 ユーモア
- 41 ワークショップ
- [ 他国における初等教育と生活科
- 1 アジアのベーシックエデュケーション
- 2 アメリカの初等教育と生活科
- 3 韓国の初等教育と生活科
- 4 ドイツの初等教育と生活科
- 5 フィリピンの初等教育と生活科
- 6 フランスの初等教育と生活科
- 執筆者一覧
はじめに
戦後初めての教科の新設といわれた生活科は,それ以前の移行期間を含めれば,今日までに,およそ10年間実施されたことになります。この期間は,いってみれば,“生活科教育の創造期”の10年間であったと評することができるでしょう。平成10年12月に新学習指導要領が告示され,これからの生活科はさらに10年,20年と,発展期や成熟期を迎えることが期待されています。
その理由は,生活科教育が,単に子どもたちや教師,保護者や地域の人々に歓迎され,好かれているという事実にあるだけではありません。
平成10年7月に出された教育課程審議会の答申に窺われるように,この間になし遂げられた生活科教育の着実な発展と成功があったからこそ,「総合的な学習の時間」の創設が実現したと言い得るからなのです。
ご承知のように,生活科と総合的学習は,置かれた学年こそ違いますが,その本質においては極めて近似した学習構造を有する活動を提起しています。それは,確かに,従来からある各教科の学習指導とは異なる論理や構造を呼び込むことになったのです。生活科は,小学校教育を変革するべく登場しました。そして,それは,新学力観の申し子でもあったわけです。
これに習って言えば,この度の「総合的な学習の時間」の創設は,わが国の学校教育の構造変革,あるいは質的変革の申し子であり,それを促す起爆剤となることが期待されているといってよいでしょう。
本書は,そうした,これからの生活科教育と総合的な学習の充実と発展のために役立つことを願って編集されました。本書の特色は,次の点にあります。
第一に,生活科教育がもつ本来の教育的意義と可能性をいっそう確かなものとするために,生活科の教育計画や授業方法,教材(学取材)研究や活動開発について,基本的な実践用語を中心に取り上げたことです。
第二に,それは,用語の意味するところについての解説にとどまらず,これまでの生活科教育の経験をふまえて課題や問題となる点を整理し,明日からのよりよい実践をひらくための指針を,できるだけ具体的に示唆するようにしたことです。
第三に,現代の子どもを取り巻く生活事象や,彼らの行動と思考の特性を理解するための用語,子どもの成長発達と評価に役立てられる用語を精選して選んだことです。
第四に,教育課程編成上明らかなように,生活科教育の基盤の上に展開されることになる「総合的な学習」についての関連用語やそれの実践に役立つ用語を,積極的に取り上げたことです。
そして第五に,わが国の実情と将来について考察するだけでなく,一部ではありますが,関係の深い他国の生活科や初等教育の実情について,参照できるように配慮したことです。
本書が完成するまでには多くの方々のご尽力をいただきました。まずは,用語の選定作業や編集の面で,ひとかたならぬご尽力をいただきました編集幹事の各位に厚くお礼申し上げます。また各用語の解説を快く引き受けてくださった,150名余の執筆者各位に心から感謝申し上げます。
更に全体企画をプロデュースされ,本書を刊行する契機を創ってくださった広島大学名誉教授の武村重和先生,そして今回もまた出版に際してていねいな対応とご支援をいただきました明治図書の江部満・樋口雅子の両氏に,心より感謝申し上げます。
本書が,生活科教育と総合的学習に関心を寄せる多くの教師,学校長,指導主事,研究者,そして将来教師になろうとする学生の皆さん方にとって,よりよい「指針」となり,教育と研究を創造的に推し進めていただくのに役立つことを心より願うものです。
平成11年8月 編者を代表して /寺尾 慎一
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- 明治図書