- 向山型理科はドラマを生む〜本書の使い方〜 /新牧 賢三郎
- 四季の変化
- ――啓林館版 通常の授業―― /田中 忠
- 1 内部情報の蓄積化と情報交換(1,2時間目)
- 2 デジタルカメラを用いた「わたしの木」の観察(3時間目)
- 3 生き物新聞によるまとめ(4時間目)
- 四季の変化 まとめくん
- 月と星
- /松原 秀樹
- 1 単元を貫くもの
- 2 内部情報の蓄積〜月や星を見る〜
- 3 授業実践
- 4 月を見る(第1時)
- 5 白い月が見えました
- 6 観察記録を見合う(第2時)
- 7 月は動くか〜条件設定〜(第3時)
- 8 月の動き方(第4,5時)
- 9 ふたたび白い月を見つける
- 10 星座を作る(第6時)
- 11 私の星座を友達に伝える(第7時)
- 12 私の星座を友達にもっとよく伝える〜条件設定〜(第8時)
- 13 月と星の動き方をまとめる(第9,10時)
- 月と星 まとめくん
- 電気のはたらき
- ――自由試行と討論で展開する授業―― /松藤 司
- 1 実態調査
- 2 操作と討論で盛り上がった授業
- 電気のはたらき まとめくん
- 電気
- ――キーワードは「ショート」である―― /善能寺 正美
- 1 前後を推定して指導計画を立てる
- 2 第1時・2時 自由試行
- 3 第3時・4時 乾電池2個,豆電球1個であかりをつける
- 4 第5時・6時 乾電池2個,豆電球1個
- 5 第7時 豆電球の並列つなぎ
- 6 第8時・9時・10時 ものづくり
- 7 様々な回路を想定する
- 8 2年 豆電球の追試
- 電気 まとめくん1
- 電気 まとめくん2
- もののあたたまり方と体積
- ――「あたためるとかさが増える」ことで貫く―― /大堀 真
- 1 自由試行による導入でドラマを作る第1時
- 2 変化のある繰り返しで体積が変化することを理解させる第2時
- 3 教科書実験を基本にしながらジャンボ装置でドラマを作る第3時
- 4 水の体積の増え方が少ないことをドラマチックに知る第4時
- 5 今までの体験を元に予想をすることでドラマを作る第5時
- もののあたたまり方と体積 まとめくん
向山型理科はドラマを生む〜本書の使い方〜
TOSS向山型理科研究会 /新牧 賢三郎
1 向山型理科が誕生する
向山型理科とは,向山洋一氏(TOSS代表)が実践した理科を真摯に学び,向山氏の理科に対する哲学・方法などを追試し,展開するものである。
向山型理科には,2つの大きな柱がある。
@ 1単元を1つのことで貫く授業。
A 教科書を有効に使う通常の授業。
どちらも授業を展開していて楽しいが,何と言っても,向山型理科の醍醐味は「1単元を1つのことで貫く授業」である。
単元の3・4割の枝葉を切り落とし,残りの幹の部分だけをひたすら追究していくのだ。子どもも教師も一度で「理科は何ておもしろいのだろう」と病み付きになる。ここに,ドラマが生まれる。
「向山型理科とは何か」を向山洋一氏は,次のように説明する。
1 向山型理科と「通常の理科」とは分けて考える。
2 「通常の理科」は,教科書を使って授業を淡々と進める。
3 向山型理科の場合は,教科書はほとんど使わない。
4 向山型理科は,年に1回か2回程度行えばよい。
この発言を受けて,向山型理科研究会で論議した。向山氏自身,それほど自覚されていないが,向山氏が行っている「通常の理科」の授業にも,今までにない理科の授業方法がふんだんに含まれている。
これは,「分析批評」だけが「向山型国語」だというわけではなく,要約指導や暗唱指導などもすべて含んで「向山型国語」がある。これと同じだ。
そこで,今回私たちは「向山型理科」を次のように大きく捉えた。
A 1つのことで単元を貫くという原則。
(1) 何で貫くかを考えるためには次の2つが必要
1 原典=指導要領にあたること
2 子どもの実態調査
B 授業を作る原理原則の応用・活用
(1) 変化のある繰り返し,「ほんのちょっと」理論
(2) 自由試行による内部情報の蓄積
(3) 優れた発問によって「あれども見えず」を顕在化する
(あるいは,観察のポイントがわかる,討論になるなど)
不調和情報を使う(ありの絵をかかせて他の子の絵との相違点を突っ込むなど)
C 子どもに力をつける理科学習システム
(1) 見開き2ページノートシステム
(2) ものの準備をさせるためのノートシステム
(3) 後片付けとノートチェックのシステム その他
D インターネットで普通の授業が効果的・効率的に
2 「理科まとめくん」で知識の定着を図る
理科は,実験や観察が主となる。それらが終わって,いざテストを行うと,結果が散々なときがある。理科は,概して,知識の定着が軽視されるのだ。
そこで,本書では,単元の最後に「理科まとめくん」を入れた。次のように使う。同じプリントを2回分印刷する。
1回目:答えを問題の空欄に写す。
2回目:答えを隠し,問題を解く。その後,答えを見て自分で○をつける。
わからない問題と間違った問題だけ直して○にする。
これだけで,子どもの知識の定着が図れる。
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- 明治図書