研究授業シリーズ
教師の押さえどころ 勘どころ 小学校体育科4〜6学年編

研究授業シリーズ教師の押さえどころ 勘どころ 小学校体育科4〜6学年編

投票受付中

気軽に取り組め、授業の改善につながる研究授業。

「研究授業」を授業研究につなぎ、授業改善に役立つ失敗しないものとするにはどうするか。追求点をしぼって設定し具体的に展開する方法をフォーマットと共に示した。


復刊時予価: 2,442円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-586405-1
ジャンル:
保健・体育
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 144頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

は じ め に
第T章 体育の研究授業
1 子どもの変化に対応
2 体育の研究授業とは
第U章 研究授業の前に
1 子どもの実態把握
2 4〜6学年の子どもの傾向と指導の留意点
3 クラスの実態調査と生かすポイント
4 カリキュラムから教材を探る
第V章 研究授業の押さえどころ
1 体育授業の押さえどころ
2 研究授業ステップ1・2・3の押さえどころ
3 追求点を絞る(4〜6年生の例)
4 研究授業をどう観るか
第W章 研究授業例
1 研究授業例の記録の見方
2 研究授業実践例
4年 マット運動/運動好きな子どもを育てる「運動遊び」と「めあてづくり」の工夫
4年 ハンドベースボール(ベースボール型ゲーム)/だれもが楽しむことができるルールやコートの工夫
5年 体つくり運動/ねらいをもって体つくりに取り組む授業構成の工夫
5年 鉄棒運動/わかる・伸びる・できるを目指して
5年 跳び箱運動/仲間とのかかわりを大切にした学びの場
5年 跳び箱運動/かかえ込み跳びなんて,恐くない!
5年 走り幅跳び/声をかけ合って取り組む「グループ対抗戦」と「ペア学習」
5年 タグラグビー/だれもが活躍できるようにする戦術学習と練習計画の工夫
5年 リズムダンス/リズムにのって踊る楽しさを味わう
6年 表現運動・体つくり運動/一人ひとりの思いを大切にした学習の進め方
6年 マット運動/集団での取り組みと学習計画の工夫
6年 マット運動/仲間とのかかわりを生かした「マット運動」の工夫
6年 マット運動/動きを見合い,動きの伸びを認め合う学習
6年 ハードル走/自己の力に応じた課題の把握とその解決
6年 3種競技(陸上運動)/陸上運動の楽しみ方を広げる
6年 ソフトバレーボール/基本的な動きを高め,仲よく運動を楽しむことができる場の工夫
第X章 体育授業の勘どころ
おわりに

はじめに

 小学校の教師は,各教科や領域,総合的な学習など多岐にわたる授業を究めなければならない。とりわけ体育の授業は奥が深い。授業での子どもの反応が敏感で,動きとなってすぐ現れる。教師にとって充実感を味わいやすい反面,自己の指導力不足を感じやすいのが体育である。

 毎年,各学校では教員研修の一環として研究授業が行われ,校内で数名が指導案を書き,同僚に授業を公開することになる。逆に,研究授業を参観する立場になり研究協議会に参加し議論することもある。いずれも教師の指導力を向上させるチャンスである。

 また,公開授業でなくても運動場や体育館での体育授業は人目につきやすく,教員室の話題になりやすい。若い教師は,同僚や先輩から体育の教えを請う機会が多いと思われる。

いずれにしても体育の授業は子どもの期待がひときわ高く,体育の授業で子どもを十分活躍させれば,学級経営にもよい結果をもたらす。教師の指導の中でも要となる教科である。


 私たち教師は,授業の中に潜む事実をつかみたい。こう指導すればこうなるという明確な因果関係が導き出せれば,事は簡単である。だが,体育の授業では,こう指導したらこうなったという結果はでるが,こう指導したら必ずこうなるという因果関係は断定しにくい。体育は,再現性が低く一過性の強い授業であるので,教育工学的な手法で迫っても難しい。

 しかし,近年,教科教育の研究が進み,体育の学習内容論や学習過程論など多くの理論研究の成果を教師が学べるようになってきた。小学校の教師としては体育科教科教育学の研究による成果を踏まえつつ,担当のクラスでしか実現できない体育授業を目指すべきである。

 そのためには,教師がどのように体育授業を仕組むとよいのか追求点を絞って取り組む。その中からクラスの子どもの学習に最適な指導法を探りたい。すぐさま結論が出しにくい事例研究的にならざるを得ないが,一つ一つの授業を積み重ねて前進していくのが現場教師の研究手法である。

 だからこそ『研究授業』を重ね,授業の改善を図ることが遠回りのようだが良い手段である。しかし,研究授業が教師にとっても子どもにとっても日ごろの授業とはかけ離れたお祭り騒ぎになってしまっては意味がない。研究授業には日常性が求められる。日ごろの体育に結びついてこそ研究授業をする意味がある。そこで本書では,小学校の教師が気軽に研究授業として取り組めるよう研究授業をステップ1〜3に分け,そのフォーマットを考えてみた。

 また,研究授業を改善する視点として,「教師が何を押さえて指導するのか」,「子どもの変化に対応してどのように教師の勘を発揮するのか」ということを重視している。

 本書では,小学校の4〜6学年を対象とした教師の押さえどころと勘どころに絞って教師の指導力向上の具体策をまとめている。1〜3学年は別冊を参照されたい。


 本書の刊行にあたり,名古屋市体育研究会の有志,千葉市体育研究会の有志,福井県の有志の皆さんがその考え方に賛同し,研究授業の実践例をまとめることができた。まだまだ多くの実践を収集しなければ内容の充実は図れないが,まず第1段階としてのまとめである。

 全国の体育研究者と小学校で日々授業をしている教師の皆さんの忌憚のないご批評をいただければ幸せである。

 本書の刊行に当たっては明治図書の仁井田康義氏のご支援をいただき発刊することができたことを心よりお礼申し上げる。


  2003年4月   /川口 啓

    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
    • 研究会の資料作成にとても役に立ちました。基本的なことが分かりやすくまとめてあります。
      2016/6/1940代・小学校教員

ページトップへ