中学校新授業への挑戦3
数学科指導と評価一体化の実際

中学校新授業への挑戦3数学科指導と評価一体化の実際

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絶対評価時代に求められる授業実践のための完全ガイド。

学力の向上が最大の課題になっています。この課題達成のためには指導と評価を密接に関連させた授業の工夫が不可欠です。この工夫は綿密な計画の作成と実践上の的確な対応を求めています。本書は中学校数学科で実際にどう行えばよいかを具体例で示した実践テキストです。


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ISBN:
4-18-562736-X
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
中学校
仕様:
B5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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まえがき
1章 数学科指導と評価の一体化
1 指導上の問題点
(1) 判断力や表現力が十分に身に付いていない
(2) 勉強が好きだと思う子どもが少ないなど学習意欲が必ずしも高くない
(3) 学校の授業以外の勉強時間が少ないなど学習習慣が十分に身に付いていない
2 評価の現状と課題
(1) 観点別学習状況の評価を基本とし,さらに重視する
(2) 生徒ごとのよい点や可能性などの評価
(3) 集団に準拠した評価の扱い
3 今後の課題
(1) ゴール(到達目標)へのこだわりからの脱却
(2) リスク回避意識をもった対応
2章 数学科指導と評価を一体化した授業の実際
§1 数学科第1学年での授業展開
1 小学校算数とのスムーズな接続を図る
単元名「正の数・負の数」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
2 代表を表す方法を身に付ける
単元名「文字と式」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
3 数量の等しい関係を文字を使って表し解決する
単元名「一次方程式」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
4 具体的な実験を通して,ともなって変わる数量の関係をとらえ,それを活用する
単元名「比例と反比例」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
5 身近な平面図形の特徴を調べる
単元名「平面図形」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
6 立体の作成を通して空間図形の見方や考え方を豊かにする
単元名「空間図形」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
§2 数学科第2学年での授業展開
1 文字を使って整数の性質を説明する
単元名「式の計算」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
2 2つの文字を含んだ方程式を利用する
単元名「連立方程式」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
3 一定の割合で変化する2つの量の関係を調べる
単元名「一次関数」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
4 図形の基本的な性質や三角形の合同条件を利用する
単元名「図形の性質と合同」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
5 三角形と四角形の性質や条件を筋道立てて導く
単元名「三角形と四角形」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
6 起こりうる場合を調べ,起こりやすさを数で表す
単元名「場合の数と確率」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
§3 数学科第3学年での授業展開
1 (a+b)^2 型の展開を発展的にとらえ,誤りを自己診断に生かす
単元名「多項式の計算」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
2 面積3や面積6の正方形を作図しよう
単元名「平方根」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
3 二次の項を含む方程式とその解き方について考える
単元名「二次方程式」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
4 2乗に比例する関数のグラフと直線との交点について調べる
単元名「関数y=ax^2」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
5 観察を通して相似の意味を考える
単元名「図形の相似」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例
6 直角三角形の3つの辺に成り立つ関係について調べる
単元名「三平方の定理」
単元の目標/ 評価規準例/ 単元の構成/ 評価を生かす工夫/ 指導計画/ 展開例

まえがき

 2つの国際調査,PISA2003とTIMS2003の結果を受けて,文部科学省が,「子どもの学力は,国際的に見て上位だが,低下傾向にある。特に,学習意欲や習慣の改善に取り組む必要がある。……」(平成17年1月19日)と低下傾向を認めたことから,学力低下への懸念が急激に表面化してきました。

 そればかりではなく,保護者の不安が急増するとともに,学校教育への不信,教師への不満も急騰してきています。

 ところで,不安をかきたて,不信や不満を暴発させることで,課題は解決できるのでしょうか。

 不信や不満は,大きなエネルギーとして結集されるかも知れませんが,解決への道筋へ簡単に結びつけられるようには思えません。

 というのは,上にかかげられているように,学習意欲や学習習慣といった,極めて困難で専門的な取り組みを要する課題であるからであります。

 ここで,大きなエネルギーを改善へ結びつけることは,主として,政策決定者の責任といえましょう。これまでのように,指摘すればよいということではすまされません。

 とはいえ,指摘されたことを実現できるのは,現場の実践者をおいて他にはありません。「確かな学力」を身に付けさせるために,悩んでおられる実践者へのヒントの1つにもなればと,本書を編集いたしました。

 まず,学習意欲を向上させることに取り組まねばなりません。

 すでに60年を経ましたが,敗戦直後の困乱と窮乏を思いますと,まるで別世界と思われるほど物質的には豊かになりました。それにともない,価値意識は変わり,少子化は進み,入学試験の圧力もほとんどなくなりました。

 これまで通りに対応するのであれば,学習意欲が大幅に減退したとしても,何の不思議もございません。この間にあって,学習意欲を向上させようというのですから,尋常な方法で目的が達せられるとは考えられません。

 この際,思い切った逆転の発想をとりいれ,生徒に主体的に取り組ませ,数学的活動を通して数学を学習できたと思いこませるようにすることです。

 本書では,そうしたことも実現できるように工夫しております。

 例えば,第3学年6では,単元名は「三平方の定理」ですが,学習テーマは,「直角三角形の3つの辺に成り立つ関係について調べる」としています。

 これは,「三平方の定理」について学習することは重要なのですが,まず,定理ありきで,それを証明し,それを適用できるいくつかの題材にあたらせるだけでは,伝達が中心になります。主体的に取り組みにくいし,学ぶ意義も見出しにくいのではないでしょうか。

 このようなことから,目標を生徒なりにつかめること,対象が直角三角形の3つの辺の関係であること,そして,その関係を調べ,見出すことなどを,的確につかめることが重要だと考えたのです。

 学習の対象と目的を,たえず,明確につかみ,意識化させることにより,主体的な取り組みができるようになると期待しているのです。

 次に,学習習慣の改善を図らねばなりません。

 学習習慣というと,我が国の子どもは,「宿題をする」時間が少なく,「テレビやビデオを見る」時間が多いと報告されています。

 このことから,もっと宿題を出して家庭での学習を強制し,テレビやビデオを見る時間の縮小を図ればよいということになりますが,ことは,それほど単純でしょうか。ことに,中学校については,十分検討する必要があります。

 ところで,学習習慣を改善しなければならないというのは,なぜでしょうか。

 1つの答えとして,生徒たちは,これから生涯にわたって学び続けねばならない,変化の激しい時代を生き抜いていくことがあげられます。学び方を身に付けておかなければ対応できなくなるのです。

 このように考えると,単純に宿題で強制されたことだけを処理していればよいといはいえなくなるのです。

 興味を持ち続け,気になることとして考え続けることによって疑問が解消できたときの喜びを体験し,友人や他人にも,考え抜いたことを伝えたい気持ちになることが重要なのです。

 本書では,このための具体例を各単元ごとに集めました。

 なにかのヒントにして活用され,ご批判・ご批正・ご叱正いただければ幸いです。

 最後に,お忙しい中を,すぐれた実践例をご紹介し,ご執筆いただいた方々,本書の企画には安藤征宏氏,校正には多賀井壽雄氏のご協力に対し,あわせて,心からお礼申し上げます。


  平成17年6月   編者 /正田 實

著者紹介

正田 實(しょうだ みのる) 著書を検索»

21世紀数学教育研究所所長

元滋賀大学教授

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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