- まえがき
- T “情報化社会”をめぐる論点・争点と社会科授業
- 1 社会の情報化と社会科の役割 /棚橋 健治
- 2 「情報化」を視点としてとらえた現代社会の特質と問題 /棚橋 健治
- (1) 情報が創出する消費に支えられる現代社会
- (2) 情報が政治的な力を産み出す現代社会
- (3) 情報と人権が絡み合う現代社会
- 3 “情報化社会”をめぐる論点・争点の社会科における取り扱い /棚橋 健治
- U “情報化社会”におけるインフォメーション・リテラシー
- 1 “情報化社会”の新局面 /福田 正弘
- 2 情報化社会"の所産 /福田 正弘
- 3 情報化社会"の問題点 /福田 正弘
- (1) デジタルデバイド
- (2) 社会の脆弱性
- (3) 情報操作と情報過多の社会
- (4) 匿名性とネチケットの社会
- (5) 情報化時代の人権問題
- 4 インフォメーション・リテラシー /福田 正弘
- (1) 情報手段の操作能力
- (2) 情報システム社会の理解
- (3) メディアリテラシー
- 5 「ネチズンシップ・エデュケーション」へ /福田 正弘
- V “情報化社会”が可能にする社会参加
- ―障害のある人・高齢者の自立と支援
- 1 “情報化社会”が生み出す格差 /巖淵 守
- 2 “情報化社会”の中で変わる障害観 /巖淵 守
- 3 “情報化社会”における権利擁護 /巖淵 守
- 4 情報へのアクセス /巖淵 守
- 5 情報化による支援と社会参加 /巖淵 守
- W “情報化社会”をめぐる社会科授業
- 1 「情報のタイプとネットワーク」の教材化
- ―情報の背後にある価値観に対して社会科学習はどうあるべきか /稲井 智義
- (1) 「情報のタイプとネットワーク」を教材化するとは
- (2) 「情報教育」の目的と社会科学習の関係
- (3) 価値観の違いを前面に押し立てる社説をどのように授業化するか
- 2 「表現・報道の自由とその限界」の教材化
- ―新聞活用教育の可能性とその限界 /竹澤 伸一
- (1) 論点・争点と教材解釈
- (2) 教授計画書および教授用資料
- 3 「国民の知る権利と政府情報へのアクセス権」の教材化
- ―情報はだれのもの? 知る権利と情報公開制度 /久野 弘幸
- (1) 国民の「知る権利」と情報公開制度
- (2) 単元計画「情報はだれのもの?―『知る権利』と情報公開制度」
- 4 「社会権力としてのマス・メディアとメディア規制」の教材化
- ―メディアは信用できるか? /森 才三
- (1) メディア規制
- (2) 小単元「ボスニア紛争と国際世論の形成」の教材化
- (3) 小単元「ボスニア紛争と国際世論の形成」の授業試案
- 5 「メディア依存と生活空間の矮小化」の教材化 /峯 明秀
- (1) 論点・争点と教材解釈
- (2) 教授計画書および教授用資料
- 6 「経済システムにおけるマス・メディア」の教材化
- ―小単元「テレビの広報番組は必要か?」の場合 /鴛原 進
- (1) 論点・争点と教材解釈
- (2) 教授計画書および教授用資料
- X “情報化社会”の授業づくりに役立つ資料
- 1 “情報化社会”をわかる3つの視点 /角田 将士
- 2 “情報化社会”そのものがわかる」授業づくりに役立つ資料 /角田 将士
- 3 “情報化社会”と個人との関係がわかる」授業づくりに役立つ資料 /角田 将士
- 4 “情報化社会”のあり方を考える」授業づくりに役立つ資料 /角田 将士
- 5 その他の参考文献 /角田 将士
- 執筆者一覧
まえがき
“情報化社会”という言葉が使われるようになって,既にかなりの年月が経ちますが,最近のIT革命の波は,さらに新しいそして巨大な情報化の波をもたらしています。社会が情報化するとは,具体的には何が,どうなることでしょうか。情報化することによって社会はどう変わるのでしょうか。私たちの生活はどう変わるのでしょうか。情報化したら,本当に私たちはより豊かな情報を獲得し,それがよりよい判断に結びつくのでしょうか。本書では,このような疑問に答える社会科授業づくりを考える場を提供したいと存じます。
第T章では,“情報化社会”を社会科で扱うことの意味,そして「情報化」が現代社会の特質と問題をとらえるキー概念になることを論じています。
第U章と第V章では,“情報化社会”を教材化するにあたって,授業で扱うべき論点・総論が生まれる背景となる“情報化社会”の特質と課題を2つの視点から整理しています。
第U章では,社会が情報化することによって,私たちはどのように変わることが求められているのか。情報化社会に生きるために何が求められるのか,何が必要になってきたのか,それらを身につけるためにはどうすればよいのかといったことを,具体的に論じています。
第V章では,社会が情報化するということは,私たちにとってどのような意味があるのか。情報化した社会を私たちはどのように活用することができるのか,私たちは本当に情報化のメリットを活かし切れているのかといったことを,障害がある人々・高齢者にとっての情報化の進展の意味という視点から,具体的に論じています。
第W章では,社会科の授業内容としての“情報化社会”について,重要な具体的論点・争点を解説し,教材解釈を論じています。そして,小学校,中学校あるいは高等学校において授業を行うことを想定して,授業計画書を開発しています。そこでは,次のような配慮をしました。
・論点・争点は,できるだけ具体的な形で示し,子どもに「おやっ?」と思わせるものを,取り上げました。
・論点・争点をめぐって展開される主張については,特定の立場に偏らず,できるだけ客観的に紹介・解説しました。
・教授計画書には,具体的な目標,授業展開等を示すとともに,授業で用いる教授用資料もなるべく紹介し,読者の方々が授業計画を策定する際に,すぐ使えるような形になるように努めました。
第X章では,第W章までの授業研究をより深めるために参考となる文献を紹介し,その中でも特に利用価値の高いと判断されるものを取り上げて,解説しています。
最後になりましたが,本書は明治図書出版株式会社樋口雅子編集長の企画ならびにご支援によりまして,刊行の運びとなりました。また,江口久美子さんには編集・校正でご尽力いただきました。記して感謝申し上げます。
/棚橋 健治
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- 明治図書