- はじめに
- Chapter1 ICTの魅力はこれ!「私とICT」
- ICTで形骸化した造形教育を突破する
- 新しい時代を切り開く子供たちのために,私たちが挑戦を
- ICTを用いた専門性の発揮
- デジタルとアナログのそれぞれのよさを体感させられるような授業づくり
- 「学校」という場所をもっとクリエイティブに
- 特別なモノではなく,日常的なツールとしてのICT
- 生徒の可能性を広げ,豊かに生きる力を育みたい
- Chapter2 中学美術でICTを効果的に活用するために
- 場面別・領域別でみるICTの活用について
- Chapter3 「中学美術×ICT」授業アイデア 表現編
- 1 視点を変えて
- 1年/表現:写真による表現
- 2 世界文化遺産ツアー〜おすすめの世界遺産,紹介します!〜
- 1・2・3年/表現:デザイン
- 3 新しい和の模様
- 1年/表現:デザイン
- 4 言葉の色カード/私の考えた○○絵の具〜色の学習より〜
- 1年/表現:デザイン
- 5 文字って面白い〜オノマトペのデザイン〜
- 1年/表現:デザイン
- 6 フチュウブル美術館〜ようこそミニチュア美術館へ〜
- 1年/表現:デザイン
- 7 中学校の動く妖怪図鑑
- 1年/表現:映像表現
- 8 造形実験
- 1年/表現
- 9 ピクトグラムで地域を楽しくしたり安全にしたりする看板をつくろう
- 2年/表現:デザイン
- 10 地域をテーマとしたテキスタイルのデザイン
- 2年/表現:デザイン
- 11 地域の創作和菓子〜新商品を売り出すポスターづくり〜
- 2年/表現:デザイン
- 12 メッセージを持ち歩こう
- 2年/表現:デザイン
- 13 空間まるごとインスタレーション制作
- 2年/表現
- 14 地域の課題を解決するためのポスター
- 3年/表現:デザイン
- 15 Cross Mind
- 3年/表現:映像表現
- 16 校内プロジェクションマッピング〜いつもの景色をアートにしよう〜
- 3年/表現:映像メディア
- COLUMN ちょっとだけ,表現形態を工夫「写真で表現してみる,動画で撮影して表現してみる」
- Chapter4 「中学美術×ICT」授業アイデア 鑑賞編
- 1 私の見方,あなたの見方
- 1年/鑑賞
- 2 探究鑑賞〜自分で決めたテーマに合う美術作品を見つけよう〜
- 1年/鑑賞
- 3 絵巻物を読み解く〜鳥獣人物戯画の世界〜
- 1年/鑑賞
- 4 わたしがつくる美術館
- 1年/鑑賞
- 5 My GOOD DESIGN
- 2年/鑑賞
- COLUMN 導入とまとめへのICT活用,そして授業改善へ
- Chapter5 「中学美術×ICT」授業アイデア 総合・教科横断編
- 1 「つくる」を軸とした「Creative learning」の学びと多様化するICT活用について
- (1〜3年/総合的な学習の時間)
- 2 学びのNATURALへ〜生徒たちの学びの状態〜
- 3 海外の学校視察からわかること〜授業の構造とICT活用〜
- COLUMN ICTを活用したインターネットミュージアム
- 付録 座談会 ICTの活用で学びは更に深まる
はじめに
GIGAスクール構想でタブレット端末等の使用が当たり前になりました。本書を手にされた先生は,これから積極的に使っていきたい,あるいは,もっとよい活用方法はないか,と可能性を探っておられることと思います。
ICTを活用すると,今までやってきたことの一部を ICTに置き換えるだけで,「こんなに楽になる,こんなに学びが変わる」という声を聞きます。さらに様々なアプリが開発されていて,ICTを活用するからこそできることが増えていきます。また,よく使うアプリでも視点を変えて使うと素晴らしいツールになるということも分かってきました。
さて,本書の出版のねらいは,ICTを使うことそのものが目的ではありません。大切なことは,美術教育を通して何を育むかということです。
本書で実践例を紹介していただいた先生は,これまでも日頃から充実された授業実践をされてきています。学び続ける教師です。そのような先生方にICTを活用することで,生徒の学びがどのように豊かになっていったのかを紹介いただきました。
さて,今後実践を重ねていく中で,ICTを使うことのメリットもデメリットもよりはっきりしてくるでしょうし,デジタルでは不可能な,実際にアナログとして体験するからこその大切なことも見えてくるでしょう。
そのようなことを踏まえながら以下のように本書を構成しました。
Chapter1 ICTの魅力はこれ!「私とICT」
Chapter2 中学美術でICTを効果的に活用するために
Chapter3 「中学美術×ICT」授業アイデア 表現編
Chapter4 「中学美術×ICT」授業アイデア 鑑賞編
Chapter5 「中学美術×ICT」授業アイデア 総合・教科横断編
付録 座談会 ICTの活用で学びは更に深まる
さて,2017年に告示された学習指導要領の改訂の経緯の中で,社会の変化の一つとして人工知能(AI)のことが書かれています。そしてコロナ禍の中GIGAスクール構想により一気にICT化が進みました。またSociety5.0,デジタルトランスフォーメーション(DX),VUCAの時代(Volatility変動性,Uncertainty不確実性,Complexity複雑性,Ambiguity曖昧性)と様々な考え方が示されています。
そうした流れの中,生成AIが大きく話題になりました。こうした中でアートそのものの有り方について考えさせられることも多かったはずです。画像生成AIも,2022年11月に公開されたChat GPTも急速な進化を遂げています。社会も働き方もさらに変わってきています。こうした流れにあって未来を担う子供達のことを考えたとき,今の中学生にとって何が大切なのか。AIにはできなくて,人間だからこそできることは何か,AIをどう使っていくか,想像力・創造力がますます重要になっていくでしょう。美術という教科を通して育まれるの資質・能力はますます大切になってきます。
そのようなことを踏まえ,これからの社会や子供たちの幸せを願って一緒によりよい授業をつくっていきたいと考え,本書をつくることにしました。
どの章からお読みいただいても結構ですが,Chapter1は執筆されたそれぞれの先生がどのような考え方でICTを活用されているか,基本的な考え方を示してもらいました。そのことを分かった上で実践例をお読みいただければより理解が深まると考えました。
Chapter2はタブレット端末等の基本的な活用の仕方について書いています。ICTの活用によって生徒の学びが豊かになってきました。さらに美術科においては学習過程で様々なものが記録できるようになったことで,生徒の振り返りも広がりと深まりが見られるようになりました。そのことは評価の充実にもつながっています。
Chapter3とChapter4は,授業実践例です。Chapter3は表現,Chapter4は鑑賞です。
Chapter5は「総合的な学習の時間」や他教科の先生の事例から学びつつ,美術教育としてのICTの活用についての考えを広げ,深められたらと考え企画したものです。生徒の側からするとタブレット端末を通して全ての教科がつながっています。そう考えると,学校内での教師の連携もますます重要になってきます。
巻末の座談会では先生方の率直な考えが聞けます。この対談から読んでみるのも一つです。
本書を通して,子供たちの学びが,より豊かになっていくことを願っています。
そして私たち教師の仕事は,教育を通して,よりよい未来もつくっていくことです。私たちもまた学び合い,共に歩んできましょう。
山崎が開設してるBlog「美術と自然と教育と」に本書『中学美術×ICT』のカラー画像等を掲載するページもつくりました。ご活用ください。(QR省略)
2024年3月 /山崎 正明
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- 明治図書