- はじめに
- ICTのある学習環境づくり
- 1 ICTで学びの環境を整える
- 2 GIGA端末は進化した○○○!?
- 3 I(いつも)C(ちょっと)T(トライ)してGIGAに挑戦
- 4 目的(何のために?)を考えるとICTの活用方法が見える
- 5 「いつでもいいよ」と生徒に委ねると学びがつながる
- 6 生徒が学べないのは端末のせいなのか
- 7 自由に活用するとよいスパイラルが生まれる
- 8 ルールづくりを委ねると端末を有効に活用できる
- 9 自然な活用を通してPCスキルも高めていく
- 10 AI VS 人間で教師の役割が見えてくる
- 個別最適な学び
- 11 端末“も”使って自分のペースで学び続ける
- 12 端末とノート(プリント)のハイブリッドをスタンダードに
- 13 自己決定すると学びがより自分事になる
- 14 資料をPDFや動画で配付するといつでも自分のペースで学べる
- 15 ICT環境だと安心して間違えられる
- 16 端末=思考ツールにすると新たな発見がある
- 17 帯学習(朝学習)で生徒の基礎学力を高める
- 18 授業開きで自分だけの学び方を決める
- 協働的な学び
- 19 GIGA端末×グループで今まで以上に学び合える
- 20 端末の置き方の一工夫で対話がグッと広がる
- 21 共同編集で簡単に協働的な学びを
- 22 GIGA端末を使うといつでもどこでも学び合える
- 23 投稿(チャット,コメント)機能でお互いの考えを視覚化
- 24 端末を使って自分の考えを説明する
- 25 ギャップ(考えの違い,誤答)があると生徒はより考える
- 26 端末を使ったわからないことの共有で学びが深まる
- 27 困っている生徒から発信するとみんなが考える
- 授業準備
- 28 ICT化が進んでもまずは育てたい生徒の姿から
- 29 学習指導要領から授業やICT活用のアイデアを読み解くコツ
- 30 教科書のアレンジで素敵な授業になる
- 31 テストをいつ作成するかで授業のねらいや活動が明確になる
- 32 毎日の簡単な指導案がPDCAサイクルを加速させる
- 33 教師のアンテナ次第で毎日が教材研究に
- 34 夏休みの間に○○○をつくって授業の貯金をしよう
- 板書
- 35 板書計画はアナログ+デジタルの二刀流で
- 36 デジタルを使いこなせば一気に授業がICT化
- 37 本時のめあて(目標)をあえてアナログにすると…?
- 38 授業の流れをデジタルで共有すると生徒もホッと安心
- 39 トーク&チョークだからこそできることもある
- 40 プレゼンテーションソフトを使うだけで安心していませんか?
- 41 書画カメラを使うと簡単に発表できる
- 42 タイマーで時間を示すメリット・デメリット
- 問題・教材提示
- 43 プリントづくり≠授業づくり!? デジタルになっても本質は同じ
- 44 ICT環境があるから問題がレベルアップ!
- 45 教科横断で生徒の学習意欲を引き出す
- 46 数学と身の回りがつながると学びに向かうようになる
- 47 デジタル教科書で業務改善につなげる
- 48 デジタル教材を活かして新しい学びを生む
- 49 あえてのアナログはこのタイミングで活きる
- 説明・指示・発問
- 50 ICTで教師のおしゃべりが減ると生徒が主人公になる
- 51 例題をICTで置き換えると生徒は自分で考える
- 52 デジタル×発問で自然と考えたくなる
- 53 生徒の指名を変えると授業の流れも変わる
- 54 カメラ機能を侮るな! 写真を使うと学びがグッと深まる
- 55 じっと待つと生徒はじっくり考える
- 56 あえて曖昧に答える勇気をもつ
- 57 生徒同士のやり取りで知識の定着を図る
- 58 答え合わせをやめると授業が激変する
- まとめ・振り返り
- 59 授業のまとめこそ生徒個人に返す
- 60 学びの視覚化で生徒の気付きを生む
- 61 振り返りをキーワードでまとめると授業と授業がつながる
- 62 数学ラブレターで愛を届ける
- 63 本気のラブレターを単元のまとめに
- 64 あえて終わりの挨拶を止めると生徒の学びが続く
- 65 テスト返しの一工夫で生徒は自ら考える
- 家庭学習
- 66 自律した学びはテレビのCMと同じ
- 67 自学ノートで自律した学びを生む
- 68 アナログ×デジタルのオリジナル問題をつくってみよう
- 69 反転授業で教室の学びが次の世界へ
- 70 写真×アンケートで進化したノート交流会
- 71 長期休みの課題こそ生徒の自由な学びの大チャンス
- 72 工夫次第で家庭学習にネット環境の有無は関係ない
- 生徒支援・理解
- 73 机間指導のねらいを変えると宝探しになる
- 74 生徒の学びを見取ることで支援を考える
- 75 生徒目線でしか授業は語れない
- 76 授業名人は話すだけではない!?
- 77 GIGAになったからこそ生徒指導は授業の中から
- 学習評価・記録
- 78 クラウドの活用で学びがつながる
- 79 ワークシートに学びを一元化すると評価しやすい
- 80 解説動画づくりでパフォーマンス課題にチャレンジ
- 81 ノートやワークシートを写真に撮って送って学びの蓄積
- 82 アンケート機能で小テストを行って業務改善
- 83 授業記録をICTで共有すると○○にも使える
- 授業改善
- 84 ICT活用も授業も同僚との学び合いが第一歩
- 85 端末を使ったアンケートで簡単に授業の健康診断を
- 86 クラスによって授業を変えると生徒の学びも変わる
- 87 生徒理解が進むとICTを活用した授業も改善できる
- 88 授業記録(写真,ビデオなど)は教師人生の財産
- オンライン・遠隔授業
- 89 オンライン授業で日々の授業を見直そう
- 90 画面はオフ,マイクはミュートで○○を使え
- 91 いろいろな共有で教室のように協働できる
- 92 ブレイクアウトルーム×○○でオンライン協働学習
- 93 困ったときの質問ルームで自律的な学習を支える
- 94 オンデマンドでいつでもどこでも学べる
- 「数と式」の指導
- 95 【1年】正負の数の計算方法を表計算ソフトで推測する
- 96 【1年】一次方程式から具体的な場面を考える
- 97 【2年】共同編集で生まれた連立方程式に答えはあるのか
- 98 【3年】端末を使っていろんな数を仲間分け
- 99 【3年】電卓を使ってルートの性質を学ぶ
- 100 【3年】思考ツール×図形で式の展開を説明しよう
- 「図形」の指導
- 101 【1年】作図の動画づくりで学習の定着を図る
- 102 【1年】図形を回転させて点対称のイメージをつかむ
- 103 【2年】証明×コメントでより美しい証明を
- 104 【2年】ベン図を使って図形を仲間分けしよう
- 105 【3年】図形の挿入で相似と合同のイメージをつかむ
- 106 【3年】円周角の定理をアナログでもデジタルでも
- 107 【3年】三平方の定理を使ってグラウンドに直角な直線を引く
- 「関数」の指導
- 108 【1年】動的数学ソフトを使って比例や反比例のグラフの特徴に気付く
- 109 【2年】表計算ソフトで一次関数のグラフをかくと誤答から学べる
- 110 【2年】アンケート機能を使ってグラフを予想する
- 111 【2年】共有点なしの理由を動的数学ソフトで説明する
- 112 【3年】二次関数の導入では放物線のイメージをもつ
- 113 【3年】y=ax^のグラフの変化を動的数学ソフトで分析する
- 114 【3年】関数のグラフに合わせて場面設定を考える
- 「データの活用」の指導
- 115 【1年】表計算ソフトを使うと度数分布表やヒストグラムが変身する
- 116 【1年】具体的なデータから代表値の使い分けを学ぶ
- 117 【2年】データの比較で箱ひげ図とヒストグラムを関連付ける
- 118 【2年】実験結果を共同編集でまとめて確率を考える
- 119 【2年】1%の確率で当たるガチャは100回引いて当たるのか
- 120 【3年】アンケート機能で友達から集めたデータを分析する
- おわりに
- 参考資料・事例写真提供
はじめに
「え,どうなってるん?」
ビックリしました。先日,買い物に行ったときのことです。欲しい商品を選んで,カゴに入れる。そしてカゴを持って,レジへ行く。すると,レジには店員さんがいません。
代わりにあったのは,セルフレジ。カゴをレジに置くだけで,合計金額がわかります。支払いも電子マネーでお釣りも出ません。あっという間に,買い物が終わりました。
私たちの生活や仕事の変化を実感した場面でした。2045年には,人工知能が人間の能力を超えるとも言われています。これからの未来を,誰も予測できません。
そんな未来を見据えてスタートしたGIGAスクール構想。仕事柄,私の元にはいろいろな悩みが届きます。いくつかを紹介します。同じような悩みをお持ちかもしれません。
「ICT活用の必要性を実感してはいるが,多忙であり実践できない」
「ICTスキルに自信がなく,何からやればよいかわからない」
「これまでの授業づくりとのベストミックスを探したい」
このような思いに応えようと,本書は次のような思いで書きました。
本書のねらい
ICTを活用した指導の方法について考えることで,数学の授業づくりのあり方を本質からアップデートします。
本書の構成や特徴
GIGAスクール構想によって,できることが増えました。授業についても同じです。だからこそ,考え(アイデア)や実践(アクション)を多く知ることがまずは大事です。本書では,次のように定義しています。
アイデア……「明日からやってみよう」と挑戦したくなる考え方
アクション…「やってよかった」と生徒も先生も楽しくなる行動
個別最適な学び,協働的な学び,授業準備,板書,家庭学習など,テーマ別の具体的なアイデアやアクションを紹介していきます。
アイデアとアクションは,全部で120個あります。明日の授業からすぐに活用できるもの,長期的に実践を続けていくものなど,様々なものをわかりやすくまとめました。特別なソフトやアプリを使ったものではありません。全国の公立学校において実践できるものばかりです。
GIGAスクール構想のGIGAは,「Global and Innovation Gateway for All」という略語です。私は,このAllを大事にしています。すべての生徒のためだけではありません。すべての先生のために,GIGAスクール構想をチャンスと捉えたいです。授業づくりをアップデートするチャンスが生まれました。私が願うGIGAスクール構想は,次の通りです。
授業のGood Ideaが生まれ,
授業でGreat Actionが溢れる。
本書を通して,皆さまのチャレンジを後押しできればうれしいです。
2022年7月 /吉岡 拓也
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