俳句に見る日本人の心
人間観・自然観・社会観の育成

俳句に見る日本人の心人間観・自然観・社会観の育成

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俳句を通して「伝統的言語文化」の学習の面白さを伝えたい

国語教育の「伝統的な言語文化」の指導で、特に「日本人の心」を考えられる48編の俳句を紹介します。全部の俳句について、授業で説明できるように多様な視点から詳しい解説を掲載しました。また、俳句を資料とした小・中学校の道徳授業の実践記録も提示しました。


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ISBN:
978-4-18-326812-9
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 164頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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第一章 生きる力としての人間観・自然観・社会観の育成 俳句に見る日本人の心
一 新学習指導要領に新設された「伝統的な言語文化」の学習理念について
二 「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」の学年段階を踏まえた指導について
1 小学校低学年の指導事項
2 小学校中学年の指導事項
3 小学校高学年の指導事項
4 中学校第一学年の指導事項
5 中学校第二学年の指導事項
6 中学校第三学年の指導事項
三 道徳教育との関連・交流を図る指導
四 教材選定の観点[小学校]
五 教材選定の観点[中学校]
第二章 芭蕉・蕪村・一茶等の名句の読解・解釈 俳句に見る日本人の心
1 「山路来て…」/ 2 「なの花や…」/ 3 「目出度さも…」/ 4 「面白うて…」/ 5 「うつくしや…」/ 6 「岩鼻や…」/ 7 「塚も動け…」/ 8 「斧入れて…」/ 9 「年暮れぬ…」/ 10 「是れがまあ…」/ 11 「ながながと…」/ 12 「むめ一輪…」/ 13 「奈良七重…」/ 14 「春の海…」/ 15 「行く春を…」/ 16 「五月雨を…」/ 17 「夏草や…」/ 18 「大の字に…」/ 19 「浮世の月…」/ 20 「麦蒔や…」/ 21 「旅に病んで」/ 22 「亡母や…」/ 23 「我泪…」/ 24 「いくたびも…」/ 25 「命二つの…」/ 26 「牡丹散りて…」/ 27 「這え笑え…」/ 28 「閑さや…」/ 29 「狩衣の…」/ 30 「名月や…」/ 31 「白露を…」/ 32 「けふからは…」/ 33 「大晦日…」/ 34 「きみ火を焚け…」/ 35 「子どもらが…」/ 36 「よく見れば…」/ 37 「しばらくは…」/ 38 「けふのみの…」/ 39 「父ありて…」/ 40 「夏河を…」/ 41 「若葉して…」/ 42 「我と来て…」/ 43 「荒海や…」/ 44 「小鳥来る…」/ 45 「ともかくも…」/ 46 「我も死して…」/ 47 「ゆうぜんとして…」/ 48 「花の雲…」
第三章 俳句を活用した道徳の授業展開例
[小学校 実践例]
@ 【夏草や 兵どもが 夢の跡  芭蕉】
A 【けふからは 日本の雁ぞ 楽に寝よ  一茶】
B 【けふからは 日本の雁ぞ 楽に寝よ  一茶】
C 【我と来て 遊べや親の ない雀  弥太郎(六歳)】
D 【荒海や 佐渡に横たふ 天の河  芭蕉】
[中学校 実践例]
@ 【旅に病んで 夢は枯野を かけ廻る  芭蕉】
A 【名月や 膳に這いよる 子があらば  一茶】
B 【よく見れば なづな花咲く 垣根かな  芭蕉】

まえがき

 新学習指導要領の新しい学習事項として、「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」が新設された。この背景には、教育基本法の改正、学校教育法の改正があり、必然的に学習指導要領の改正が行われたといえる。

 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項は、我が国の歴史の中で創造され、継承されてきた伝統的文化に親しみ、継承・発展させる態度を育てることや、国語の果たす役割や特質について有機的に働くような能力を育てることに重点を置いて構成されている。

 言語文化とは、我が国の歴史の中で創造され、継承されてきた文化的に高い価値をもつ言語そのもの、つまり文化としての言語、また、それらを実際の生活で使用することによって形成された文化的な言語生活、さらには、古代から現代までの各時代にわたって、表現し、受容されてきた多様な言語芸術や芸能などを幅広く指している。今回の改定では、伝統的な言語文化に小学校の低学年から触れ、中学校においても引き続き古典に親しむ態度の育成を重視している。

 指導目標としては「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」を示している。

 また、従来の古典指導における解釈として理解すればよいというような学習ではなく、人間と人間との関係の中で、互いの立場や考えを尊重しながら言葉で伝え合う力を高める言語活動を通して思考力や想像力及び言語感覚を養い、国語に対する関心を深め、国語を尊重する態度を育てるように努める必要がある。

 なお、古典の学習内容においては、和歌・俳句・物語などの中で、人間と人間との関係を通してどのように学習者が考えるかなどの問題については、道徳について適切に指導できるように関連を図ることも大事である。

 書かれている人物と人物との関係、学習している学習者同士の関係についての自己思考を練る状況において、道徳的視点から検討することも大事なことである。「人間は、人間関係の中で人間となる」のである。この人間と人間との関係が成長発達の力となるのである。

 本書の中で四十八句の俳句が挙げられ、その句ごとに私なりに解釈し、判断し、表現しているのであるが、学年の発達段階に応じて「どう思い、どう考え、伝え合うか」などの言語活動を行ってほしいと願っている次第である。古典を通して「伝統的言語文化」の学習の面白さや評価する活動などが楽しめるのではないかと期待するのである。

 古典を読み、考え、人間観・社会観・自然観についての課題について豊かな情操・正義と責任・自他の敬愛・生命と自然の尊重・幅広い知識とともに、考える力、生きる力の向上強化が図られることとなろう。

 このことは、学習指導要領の第1章総則の第1の2における「学校における道徳教育は、道徳の時間を要として、学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳の時間はもとより、各教科、外国語活動……発達段階を考慮して適切な指導を行わなければならない。」と規定されているのである。

 こうした道徳と国語の関連を図り、各教科との関連を踏まえ、本書の中で、俳句を教材として道徳の授業例を八人の実践例を掲載しており、お目をお通しいただきたいと存じます。

 終わりに、本書の刊行についてお世話になった仁井田康義さん、松田幸子さんに御礼を申し上げる次第です。


  平成二一年 五月一日   /須田 実

著者紹介

須田 実(すだ みのる)著書を検索»

1930年生まれ。群馬大学教育学部卒。公立,国立学校の教諭を経て,群馬県教育委員会義務教育課指導主事,前橋市立学校の校長,群馬県教育センターの部長,再び校長となり、退任後は前橋市教育研究所長,群馬女子短期大学講師に当たる。この間,文部省の学習指導要領作成協力者として,その任に当たる。現在は,「新しい国語実践の研究会」代表,「国語科授業方法研究会」主宰などに努め,国語力をつける実践的研究を継続している。2008年叙勲「瑞宝双光章」を受章する。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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