読む力・考える力を育てるノート指導 小学5・6年

読む力・考える力を育てるノート指導 小学5・6年

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ノート指導で国語の授業がこんなに変わる。

5−6年のノート指導では、事実と筆者の意見を明確にとらえ自分の考えを深める、学習のふりかえりに生かす、表現に着目してイメージ化を図る、説明に即した具体的な思考を促す、語彙を広げ言葉を自分のものにしていく、キーワードを手がかりに文章構成を考える等々。


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ISBN:
4-18-319819-4
ジャンル:
国語
刊行:
5刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 136頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 基礎・基本の読む力・考える力を育てるノート指導
――目標・指導・評価の一体化に立って―― /須田  実
一 子どもの学習状況を把握し、到達度を高めるノート指導
1 学習する単元(題材)の目標は「何か」を考えるノート指導(学習目標チェック)/ 2 学習過程における子どものノート指導(学習過程での状況チェック)/ 3 到達度チェックにおける子どもの学習状況をとらえるノートの評価
二 基礎・基本の国語力をつけるノート指導(学習指導要領の目標・内容を踏まえて)
1 ノート指導の基本的な事項としての一〇観点/ 2 学習指導要領の目標・内容を確認し、実践に生かす
三 国語力を育てることと、考える力を育てることとの一体化を図る学習指導
1 学習指導要領の各領域における「考える」ことの事項
四 読む力を育て、考える力を育てるノート指導(まとめ)
1 学習指導要領の目標・内容は全て国語力を育てるための到達度目標・内容である/ 2 国語力をつける学習過程の子どもの状況をとらえるためのノート指導を重視する/ 3 到達度評価は、目標を追求する過程の学習状況を踏まえ、そのうえで学習到達度評価・評定をする/ 4 各学年段階に応じるノート指導の要点
U 読む力・考える力を育てるノート指導(提言)
――ノート指導のメリットと方法――
一 読みの目的・意図とノートの工夫 /松野 洋人
1 はじめに/ 2 読みの目的・意図とノート指導/ 3 おわりに
二 学習したことを次の学習につなぐノート指導 /廣井 嗣雄
1 はじめに/ 2 考える力を育てるノートに
三 叙述に即してイメージ豊かに読む力を培うノート指導
―― 一人読みノートを充実させる―― /松碕 嘉信
1 一人読みの意義を自覚させる/ 2 指導計画にノート指導の場を位置づける/ 3 一人読みノートのとり方を教える
四 読みの交流を通して、より確かに読み取るノートづくり /櫻本 明美
1 「説明文を読む学習で、どんなノートがよいか」を学習者に問う/ 2 交流による個の読みの確立に活きるノートにするために/ 3 視写用のノート活用を
五 「つぶやき」をノート指導に生かす /渡辺 知樹
1 よい授業には「つぶやき」が生まれる/ 2 個々のつぶやきを、論理的思考へとつなげるのが「教師の技」/ 3 事象と感想、意見の関係をとらえるノートの形式/ 4 教師が六年生のノート指導で留意すべきこと
六 集められた情報から必要な情報を読み取り、まとめ・発信するノートの在り方 /高山 利三郎
V 読む力・考える力を育てるノート指導の実践(授業)
一 事実と筆者の意見を明確にとらえ自分の考えを深めるノート指導の実践
・求める喜び「マンガの方法」(教育出版 五年) /柳橋 伸彦
一 単元名/ 二 学習目標/ 三 指導計画/ 四 授業展開(4、5、6、7、8)/ 五 ノート例
二 学習のふりかえりに生かすノート
・「一秒が一年をこわす」「ホタルのすむ水辺」(光村図書 五年) /恩田 忍
一 単元名/ 二 指導目標と評価基準/ 三 学習指導計画/ 四 単元展開の構想/ 五 実践を終えて
三 表現に着目してイメージ化を図るノート指導
・「おはじきの木」(教育出版 五年) /吉野 富夫
一 単元名/ 二 学習目標/ 三 指導計画/ 四 授業展開/ まとめ
四 主体的に読み取り、考える力を育てるノート指導
・「動物の体」(東書 五年) /村川 圭子
一 はじめに/ 二 主体的に読み取り、考える力を育てるノート指導の工夫/ 三 説明文「動物の体」(東書五年上)の授業の実際/ 四 おわりに
五 説明に即した具体的な思考を促すためのノート学習
・「海にねむる未来」(光村図書 五年) /西村 嘉人
一 単元名(教材名)/ 二 単元目標/ 三 学習指導計画(全九時間)/ 四 授業展開/ 五 考察
六 語彙を広げ、言葉を自分のものにしていくノート指導
・「同じ訓を持つ漢字」他(光村図書 六年) /藤川 尚子
一 単元名/ 二 学習目標/ 三 指導計画(三時間扱い)/ 四 指導の実際
七 キーワードを手がかりに、文章構成について考えるノート指導
・「火星に生命をさぐる」(光村図書 六年) /天野 和也
一 単元名/ 二 単元(題材)について/ 三 学習目標/ 四 指導計画(五時間)/ 五 本時の実践例(第三次)/ 六 考察
八 子どもの関心や意欲を大切にした文語文の学習とノート
・文語に親しもう「短歌と俳句」(教育出版 六年) /鬼澤 敦子
一 単元名/ 二 単元の目標/ 三 指導計画/ 四 学習活動とノート指導
九 叙述の関係をとらえ、構造的に読みを深める教材
・「あの坂をのぼれば」(学図 六年) /神谷 久美子
一 学習目標/ 二 指導計画(全九時間)/ 三 ノート指導をどのように進めたか
一〇 目的に応じて調べたり、情報を活用したりする力を育てる教材
・「作品と出会う、作者と出会う」(光村図書 六年) /中澤 ひろ子
一 単元名/ 二 学習目標/ 三 指導計画(一六時間)/ 四 授業展開とノート指導(第三次の授業展開のノート指導について)/ 五 目的に応じて調べたり、情報を活用したりするためのノート指導/ 六 子どもたちの学習状況/ 七 学習後の感想から

まえがき

 授業は「教えること」だけではなく、学習する子ども自身が「学びとる」というはたらきがなければならない。授業は子どもと教師との相互作用によって成り立つものであり、子どもが学習についての「思いや考え」をどのようにしているのかという学習状況を学びの進行に応じて把握することが教師にとって、もっとも重要な「学習情報」なのである。この学習状況は、学習の到達度の過程・成果の評価の上でも大事な資料となることでもあると考える。

 ノートは、右の「子どもの学習状況としての生きた情報」である。わたしは、これを「授業の実践情報」と考えてきている。子どものノートは一人一人の学習状況としてもとらえられるものであり、個に応じて個別的指導にも生かされるものである。それぞれの子のノートの使い方、文字の正確さ、大小、筆圧の強弱、字の太さ、細さ、美しさ、思いや考えの違いなど、ノート指導という自覚に立つ時、その違いが鮮明に分かってくるのである。

 本書「読む力・考える力を育てるノート指導」は、国語科の学力診断の結果として一層の努力を要する課題となっていることに着目し、これからの実践への提言と授業展開例を通してアプローチするものである。その手だてとして、自ら学ぶための「ノート指導」を重視し、子どもが学習目標としての単元(題材)を読んで、「知りたい」「分かりたい」「伝えたい」などの思いや考えをノートに書き、そして書いたことについてさらに深めたり、広げたり、調べたり、表現したりする学習により、子どもの国語力の向上を図ることを意図するものである。

 ノート指導の具体的方針としては、(1)学習の目的は「何か」について考え、どんな国語の力をつけられるのかということについて明確にするためのノート指導。(2)教材内容についての自分の読みの思いや考えを書きとめるノート指導。(3)読みの学習の進行によって生じる自らの驚きや発見について記録しておくノート指導。(4)学習状況において新しく出てきた「疑問」「困惑」「想像」「感想」「考え直し」「調べてみたい」などについてのメモや短文を書くノート指導。(5)予習・復習・ドリルのためのノート指導。(6)学習に役立つと思う図書や情報の活用のためのノート指導。(7)みんなに伝えたいことなど、表現するためのノート指導。(8)読みを正確にしたり、考えたりするために、「話すこと聞くこと」の活動をする場合のノート指導。(9)読む力を高めるために「書くこと」の活動をする場合のノート指導。(10)読むための「言語事項」との関係を学習する場合のノート指導。(11)学習における「自己評価」「相互評価」についてのノート指導。(12)その他、学習目的によって多様なノート指導のポイントが出てくる。

 右のノート指導の目的や方法は多様であるが、その指導の基底には、常に@授業はだれのためのものなのかを踏まえている授業。A学習する子どもたちの学習意欲を高め、子どもの思いや考えを生かす授業。Bノートに書かれたことを生かし、活用する授業。C発問・板書・資料などを適切に工夫して学習力を高める授業。D学習目標の到達度を高め合える子どもたちの協力学習による授業。などを踏まえておきたい。

 このようなことを意図し、本書「読む力・考える力を育てるノート指導」は、全三巻の構成となっており、小学校低学年(1・2年)、中学年(3・4年)、高学年(5・6年)の各巻としている。執筆に当たっては、全国各地におられる優れた実践者の方々にご依頼し、ご協力をいただいたしだいである。

 終わりに本書刊行の企画・編集にお世話になった明治図書の江部満編集長さんに心からの御礼を申し上げたい。


  二〇〇五年一月   編著者 /須田 実

著者紹介

須田 実(すだ みのる)著書を検索»

1930年生まれ。群馬大学教育学部卒。公立、国立学校の教諭を経て、群馬県教育委員会義務教育課指導主事、前橋市立学校の校長、群馬県教育センターの部長、再び校長となり、退任後は前橋市教育研究所長、群馬女子短期大学講師等に当たる。この間、文部省の学習指導要領作成協力者として、その任に当たる。

現在は、「新しい国語実践の研究会」代表、「国語科授業方法研究会」主宰などに努め、国語力をつける実践的研究を継続している。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 国語の学習の中でノート指導は大切で、どのように指導したらよいのかと考えていたところ、この本を読んで参考になりました。
      読んで、すぐに役に立ちました。
      2009/9/5チョッパー

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