- はじめに
- Chapter1 「見方・考え方」を働かせる「深い学び」の授業デザイン
- 1 新学習指導要領における算数の「深い学び」
- 2 「見方・考え方」を働かせるとはどういうことか
- 3 授業デザインの具体的な手立て
- @課題づくりや課題提示を工夫する
- A根拠を基に理由を説明させる
- B新たな課題(問い)で発展,一般化に誘う
- Chapter2 「見方・考え方」を働かせる「深い学び」の授業モデル
- 1年/どちらがながいどちらが長く切れたかな?
- 1年/どちらがおおい水がたくさん入る入れ物はどちらかな?
- 1年/どちらがひろいどちらが陣取りゲームに勝ったのかな?
- 1年/大きな数3つの数の中で一番大きいのはどれかな?
- 1年/かたちづくり一番広い形はどれかな?
- 2年/3けたの数240はどこかな?
- 2年/長方形と正方形正方形はいくつ潜んでいるかな?
- 2年/かけ算袋の中の団子の数は全部で何個かな?
- 2年/分数折り紙を半分にしてみよう!
- 2年/はこの形どの面とどの面をつなげたらいいのかな?
- 3年/わり算一番プレゼントがもらえるミカン箱はどれかな?
- 3年/大きい数のわり算80÷4は8÷4でできる?
- 4年/角の大きさ165°はつくれない?
- 4年/がい数の表し方およそ20,000人の市町はどれかな?
- 4年/面積の測り方面積の違いがいつも同じなのはなぜだろう?
- 4年/直方体と立方体どの面に印をつければいいのかな?
- 5年/小数のわり算を考えようわりきれるまでわってみよう!
- 5年/平均3つの数の平均はいくつ?
- 5年/角柱と円柱長方形をどこで切れば円柱ができるかな?
- 6年/およその面積私たちの住んでいる県の面積を求めよう!
- 6年/拡大図と縮図テレパシーゲームをしよう!
- 6年/比例と反比例地震は何時何分何秒に到達するのかな?
- 6年/資料の調べ方1500円のおこづかいは「高い」「妥当」「安い」?
はじめに
同僚や若手の先生と算数授業について悩んでいることを話していると,決まって同じような話題が上がります。
「子どもたちが夢中になるような課題って,どうやってつくればいいんだろう…」
「子どもに自分の力で考えてほしいのに,なかなか自分の考えを書こうとしない…」
「自分の考え方だけを発表しておしまい。その後,友だちが発表していても,まったく興味をもって聞いている様子がないんだよね…」
「振り返りって,どんなことをするのが有効なんだろう…」
「“『数学的な見方・考え方』を働かせる”って,結局どういうことなんだろう…」
とりわけ最後の「数学的な見方・考え方」については,2017年度に新しい学習指導要領が告示され,小学校算数の総括目標の冒頭で,「数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す」と強調されました。
また,学習指導要領の解説では,「事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え,根拠を基に筋道を立てて考え,統合的・発展的に考えること」と説明されています。
しかし,実際に日々の授業を行っていく中で,
「子どもが『数学的な見方・考え方』を働かせるようにするためには,どうしたらいいのだろう…」
「『数学的な見方・考え方』を働かせている子どもの姿って,いったいどんなものなんだろう…」
「『深い学びの鍵として「見方・考え方」を働かせることが重要になる』と学習指導要領の解説には書いてあるけど,これって具体的にどういうことなんだろう…」
と疑問や謎が深まっていくばかり…,という先生方も多いのではないでしょうか。
そこで本書では,子どもたちを「『数学的な見方・考え方』を働かせる『深い学び』」に誘うための授業づくり(デザイン)の手立てを示したうえで,できる限り具体的に子どもたちの学びの姿を描き,実際の授業の板書も掲載しました。
とはいえ,本書で紹介する手立てや授業展開は,あくまで1つの例です。
本書を手にとってくださった先生方に,
「この課題なら,自分だったらこうやって授業をするかな」
「こんな手立てでやってみるのも,いいかもしれない」
などとイメージを膨らませていただき,新たな実践が生まれればと願っています。
子どもたちが「『数学的な見方・考え方』を働かせる『深い学び』」を目指したいという思いは,算数授業に情熱を注ぐすべての先生方がもっておられるはずです。本書を叩き台として,議論や実践を深めていただけるなら,これほどうれしいことはありません。
「『数学的な見方・考え方』を働かせる『深い学び』」とは何かということについて,ともに考えていきましょう!
2019年9月 /今井 啓介
コメント一覧へ