主体的・協働的に学ぶ力を育てる!中学校国語科アクティブ・ラーニングGUIDE BOOK

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アクティブ・ラーニングの5つの視点で国語授業が変わる!

次期学習指導要領のキーワードの1つとして注目を集めるアクティブ・ラーニング。深い学びを実現するために中学校国語科ではどのような授業改善ができるのか。アクティブ・ラーニングの授業・環境づくりのポイントから各学年での実践・定期テスト問題例までを一挙公開!


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PDF
ISBN:
978-4-18-251916-1
ジャンル:
国語
刊行:
3刷
対象:
中学校
仕様:
B5判 128頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年3月29日

Contents

もくじの詳細表示

はじめに
Chapter1 押さえておきたい! アクティブ・ラーニング5つの視点
視点1 生徒が興味をもつ教材・題材と魅力的な導入(日常生活・社会生活との関連)
視点2 課題解決的な学習,既習事項を活用する学習
視点3 学習の見通し,本時の目標の明示
視点4 自分の考えを発表・交流する機会
視点5 「できた」「わかった」の実感,「できたこと」「わかったこと」の振り返り
Chapter2 身につけたい! アクティブ・ラーニングの指導技術
指導技術1 アクティブ・ラーニングを実現する教室環境 ―板書・座席・教師モデル―
指導技術2 生徒の主体性を引き出す指導
指導技術3 自学ノートや読書ノートによる家庭学習の工夫
指導技術4 生徒の思考を活性化する教具・図表・付箋紙の使い方
指導技術5 思考力・判断力・表現力を見取る評価と定期テスト
Chapter3 必ず成功する! 中学1年のアクティブ・ラーニング
話すこと・聞くこと
1 ムカデ競争の実況をしよう
―英語科での学びを国語科に生かす―
書くこと
2 QAや図表を取り入れた説明文を書こう
―段落の役割を考えて文章を構成する―
読むこと
3 「客(僕)」からの手紙を書こう
―文章の構成や展開,表現の特徴に着目し,作品を読み深める―
伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項
4 ことわざを使った文章を書こう
―語彙の獲得・活用を目指して―
Chapter4 必ず成功する! 中学2年のアクティブ・ラーニング
話すこと・聞くこと
1 職場体験学習の報告をしよう
―資料や身振り手振りを効果的に使いながらメモだけで話す―
書くこと
2 「400字の物(モノ)語」を書こう
―伝えたい事柄や相手に応じて構成や描写を工夫する―
読むこと
3 1年生に向けて本を薦める「読書案内」を作ろう
―構成や展開,表現の仕方について自分の考えをもつ―
伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項
4 複数の情報を関連づけて「枕草子」の冒頭を読んでみよう
―古典を読んで作者の思いを想像する―
Chapter5 必ず成功する! 中学3年のアクティブ・ラーニング
話すこと・聞くこと
1 文化祭で販売する新商品を企画しよう
―互いの考えを生かして話し合う―
書くこと
2 私たちのことを教えます!知りたい大人のための1枚説明書を作ろう
―資料を適切に引用して,説得力のある文章を書く―
読むこと
3 他者との交流をとおして「高瀬舟」を読み深めよう
―人間や社会について自分の意見をもつ―
伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項
4 「おくのほそ道」を読んで,個人新聞にまとめよう
―古文や資料を読み取り批評する―
おわりに
執筆者一覧

はじめに

 平成26年11月に,文部科学大臣から中央教育審議会に対して,「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」という諮問がされました。これは,次の学習指導要領の在り方についての検討を求めたものです。この諮問文の中で,「アクティブ・ラーニング」という言葉が使われて,注目されるようになりました。諮問文の中では,「課題の発見・解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)」という言い方がされています。

 アクティブ・ラーニングについては,平成28年2月現在,中央教育審議会で議論されている最中であり,学習指導要領上の位置づけや定義などはまだ明らかになっていません。参考になるものとして,大学教育に関する文書の中で,次のように説明した例があります。

 (アクティブ・ラーニングとは,)教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり,学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって,認知的,倫理的,社会的能力,教養,知識,経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習,問題解決学習,体験学習,調査学習等が含まれるが,教室内でのグループディスカッション,ディベート,グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。(『新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて〜生涯学び続け,主体的に考える力を育成する大学へ〜(答申)』(平成24年8月,中央教育審議会)の「用語集」より)

 ここからわかるように,もともと,教師の一方的な講義に偏りがちな大学の授業について反省し,学生がもっと能動的に学ぶような形態に改めていこうとする考え方です。しかしながら,実際には,小学校や中学校において広く関心をもたれているようです。その理由の1つは,“active”という語がもつ「活発」「元気」という意味が,学習についての「積極的」「主体的」という意味を超えて受け入れられていることが挙げられそうです。ただ,これは,「活発で元気な学習=アクティブ・ラーニング」(活発で元気がなければアクティブ・ラーニングではない)という認識につながる懸念があります。実際に,現在,アクティブ・ラーニングの試行をうたっている実践の中には,こうした捉え方をしているものも散見されます。今一度,アクティブ・ラーニングの本質について整理する必要があるのではないでしょうか。

 平成27年度「全国学力・学習状況調査」から,生徒質問紙調査に次の項目が加わりました。

 1・2年のときに受けた授業では,学級やグループの中で自分たちで課題を立てて,その解決に向けて情報を集め,話し合いながら整理して,表現するなどの学習活動に取り組んでいたと思いますか。(下線は筆者)

 この下線部の内容は,アクティブ・ラーニングのイメージを捉える1つの材料になると思います。要素を取り出すならば,「課題解決を目指す」「解決のための話合いがある」「考えを表現する場面がある」ということになります。こう整理すると,アクティブ・ラーニングと,国語科における言語活動との関係が見えてきます。

 平成20年版学習指導要領の実施に合わせ,中学校国語科においては,「課題解決的な言語活動」を単元に位置づけることで,主体的な学習を促す取り組みが続けられてきました。例えば,「話すこと・聞くこと」の領域において,

  ・「修学旅行について下級生にポスターセッションで報告する」という課題を設定する。

  ・その課題を解決するために,何をどんな順序で報告するか,その際にどんな資料を用いるかを話し合う。

  ・実際のポスターセッションをとおして,話す能力を確実に身につける。

 というような授業です。これは,前述のアクティブ・ラーニングの要素を満たしています。この意味で,アクティブ・ラーニングは特に新しい概念ではありません。とは言え,「そんなことはこれまでもやってきた」「今までどおりでよい」という台詞は国語科の実践を停滞させてしまうことになりますから,「言語活動の充実」をアクティブ・ラーニングの視点で再検討し,次の段階の授業づくりに進む足がかりにすることが大事であるように考えます。

 そこで本書では,「言語活動の充実」を引き続き国語科の授業の基盤としつつ,アクティブ・ラーニングを授業の局面で捉えるのではなく,単元全体で実現するものと整理しました。そのうえで,授業の構想段階から評価に至るまで,次の5つの視点を設定しました。


  1 生徒が興味をもつ教材・題材と魅力的な導入(日常生活・社会生活との関連)

  2 課題解決的な学習,既習事項を活用する学習

  3 学習の見通し,本時の目標の明示

  4 自分の考えを発表・交流する機会

  5 「できた」「わかった」の実感,「できたこと」「わかったこと」の振り返り


 Chapter1では,この5つの視点について詳しく説明します。Chapter2では,アクティブ・ラーニングを実現するための指導技術について具体的に述べます。

 そして,Chapter3〜5では,全国の優れた実践家の先生方が,5つの視点を明確にした授業を紹介しています。紹介に当たっては,「単元指導計画」「本時の流れ」に即して,各視点に基づいた「AL(Active Learning)のポイント」をできるだけ具体的に示すようにしました。また,「活動あって学習なし」の状態にならないためには適切な学習評価が重要であると考え,単元終了後のペーパーテストについても可能な限り例示するようにしました。

 本書のねらいと特徴をご理解いただき,多くの先生方の日々の授業づくりに役立てていただければ幸いです。

 本書の編集に当たり,貴重な事例を提供してくださいました先生方に心より感謝申し上げます。また,貴重な助言をいただいた文部科学省教科調査官の杉本直美先生,企画・編集にご尽力いただいた明治図書の木山麻衣子氏に篤く御礼申し上げます。


  2016年6月   /冨山 哲也

著者紹介

冨山 哲也(とみやま てつや)著書を検索»

十文字学園女子大学人間生活学部児童教育学科教授

東京都公立中学校教員,あきる野市教育委員会,多摩教育事務所,東京都教育庁指導部指導主事を経て,平成16年10月から文部科学省教科調査官(国語),国立教育政策研究所教育課程調査官・学力調査官。平成20年版学習指導要領の作成,全国学力・学習状況調査の問題作成・分析等に携わる。平成27年4月から現職。第1期〈絵本専門士〉。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
    • アクティブラーニングを取り入れた授業のやり方がわかりました。
      2021/5/530代 中学校教員
    • 実践的な提案がたくさんあって、授業にいかせそう。
      2016/8/29nabezoh
    • 今、話題のアクティブラーニングの視点を取り入れた授業例を領域ごとに掲載しており、具体的な授業像がよくわかった。個人的には、アクティブラーニングの指導技術についての解説がわかりやすく、役立つ情報だった。
      2016/8/23まちのくまさん
    • おもしろい事例がたくさんあった。一般化する普通の題材もあると活用の範囲がひろがる。
      2016/7/8しいちゃん
    • 具体的な視点が分かりやすく示されており大変役に立った。
      2016/7/550代 指導主事
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