- はじめに
- Chapter1 女性教師としての誇りをもって仕事をしよう
- 女性だからこその強みを生かそう
- 女性的な視点と男性的な視点とは
- 圧倒的教師を目指す
- 笑顔教師にミラクルチェンジ!
- 女性ならではのライフステージと向き合うマインド設計術
- COLUMN 私がしたこんな失敗@ 修学旅行の引率で……
- Chapter2 細やかな女性目線でつくる! 学級経営のワザ
- 笑顔は女性最強のアイテム
- 細やかな危機管理で学級を守る
- 「クラスメイト=友達」ではない最近の子どもたち
- 女子の友達関係は,女性だからこそ感じられる
- ちょっとおちゃめであれ―油断が教室をあたたかくする―
- 「愛されるより愛したい」をモットーに
- COLUMN 私がしたこんな失敗A 買い物に行く暇がなくて……
- Chapter3 信頼される教師になる! 授業づくりのワザ
- 話し方教室―声色は3トーンを使い分けよ―
- 熱量が上がる授業のつくり方
- ノートの見方
- 誇れる板書で絆が生まれる
- 授業参観のつくり方は,母目線で
- BREAKTIME 母は忙しいのだ!
- 私の教材研究―視点と方法―
- 正解ばかりを求めない,ゴールの姿は遠くに描いて
- COLUMN 私の恒例行事?
- Chapter4 スタートが肝心! 1年生を担任するときのポイント
- 赤ちゃん扱いはNG!
- 1年生は生命力に満ちている
- メリハリと短文で,わかりやすい指導を
- BREAKTIME 教室は間違うところだ,と言いつつ……@
- 読めない&書けない1学期を乗り越える
- 学級通信は書きすぎない
- 保護者も1年生
- 1年生の学び方は,人生を変える
- 人が本来もつ「母性」を存分に発揮して
- COLUMN 私がしたこんな失敗B キャラ弁に気をつけろ!
- Chapter5 強みを存分に発揮して! 高学年を担任するときのポイント
- 明るさのシャワーで心を開かせる
- 生徒指導は,細心の配慮を
- 女子特有の人間関係指標を察知せよ
- 教師も見た目が9割―女子のファッションチェックを侮るなかれ―
- 高学年男子には,「男」の指導で挑め
- 学級経営は,カリスマを身にまとえ―承認・傾聴・導き―
- 感動の道徳授業をつくる
- 宿題指導の極意―宿題を通して,繋がる・耕す・把握する―
- 子どもに訴えかける学級通信
- 「許す」心,それが愛です
- BREAKTIME 教室は間違うところだ,と言いつつ……A
- Chapter6 しなやかにたくましく! 女性教師の仕事術
- 保護者との人間関係のつくり方
- 同僚との人間関係のつくり方
- お局様・殿様先生との人間関係のつくり方
- ケンカは女を下げる―言いたいことは公の場で笑顔で―
- 保育園のお迎えがある―だからこそ仕事は段取りよく―
- 「ねばならない」から解放されよう
- 朝は忙しいからこそ,一工夫
- すきま時間にアイデアの神が降りてくる
- 忙しすぎるメリットは,くよくよする時間がないこと
- 謙虚と自信のさくらんぼをいつも胸に
- COLUMN モンスターに攻撃を受けた時のパワー回復法!
- Chapter7 こんなときどうする? 女性教師ならではのお悩みQ&A
- Q1 「 子どもがいない先生に指導ができるんですか」と保護者に言われてしまいました。
- Q2 高学年男子との関係のつくり方で悩んでいます。彼らの懐に入っていくコツは?
- Q3 今の勤務状態で結婚・出産・育児をする自信がありません。
- Q4 結婚したので子どもがほしいです。低学年を希望していますが,このまま低学年希望を出し続けてもいいのでしょうか。
- Q5 育児休暇を3年もとったら復帰してから仕事ができないのではと不安です。
- Q6 年上の先生方からどう見られているか気になります。経験年数の割に,仕事ができない自分がふがいないです。
- Q7 子育て真っ最中で,勤務時間を超えて働いていますが,遅くまで働いている先生も多いです。上に立つ立場でありながら,若い先生たちより早く帰る毎日に気を遣います。
- Q8 年下への仕事の振り方や内容に気を遣います。「〜してみる?」と聞いて,困った顔をされたら,どんな声かけをしたらいいですか?
- COLUMN 私がしたこんな失敗C 我が子に懺悔
- おわりに
はじめに
この本は,若い先生方に送る“あなたらしい教師人生を拓く鍵”です。
あなたは,どんな教師になりたいですか?
楽しいクラスをつくり,子どもたちが充実できる授業をつくり,保護者や同僚とも和やかに人間関係をつくることのできる教師……。素敵ですね。
あなたは,これからどんな人生を送りたいですか?
恋愛もしたい,結婚して我が子に恵まれ,あたたかい家庭を築きたい。自分一人の時間を大切にしたい……。いろいろなプライベートがありますが,どれも自分の心を満たすものにしたいと思うはずです。
だからこそ,悩みます。それは男女問わず同じものです。ですが,私自身,女性として出産を経験し,数年間のお休みをいただきながらも,学級担任,研究主任を務めてきました。その中で,泣いたこともあるし,育児休暇を3年間とれるようになった初期の世代ですので,不安や批判もありました。しかし,何もあきらめず,何からも逃げない生き方が私の幸せだと,十数年かけて確信できるようになりました。
そんな中,団塊の世代が引退の時期になり,次々に若い先生方が学校現場に配属されるようになりました。授業がうまくいかないと落ち込む先生,保護者に批判を受けたと涙する先生,大御所の先生たちとの関係に悩む先生……。そんな後輩を見るたびに,その先生のよさを感じます。なぜなら,悩むということは,自分に向き合っているということだからです。そして,何とかしようと一生懸命な心の表れなのです。だからこそ,私が守ってあげたいと思うようになり,私の拙い実践や自分が悩んできたことを届けたいと思いました。
この本は,遠くにいる私の仲間たちに,近くの後輩たちに届けたのと同じように,私の愛を捧げる本です。私の分身と言えます。
学級経営や授業づくりに悩み,また,結婚や出産・子育て,もしくは独身を貫く,もしくは離婚というライフステージによる環境の変化の中で(もしくはそれを不安に思う中で),仕事もプライベートも何もあきらめない,何からも逃げない生き方をしたいと願うあなたは,私の大切な仲間や後輩です。この本には,私の20数年のキャリアの中で感じた大事なことも,してしまった失敗もすべて載せています。
そして今,私は,とても幸せです。なぜなら,今,私自身が守られていることをいつもいつも感じているからです。守ってあげたいと思っていた後輩たちが,一生懸命に邁進する姿,そして私の中の愛を感じてくれる心が,私を守り支えてくれているからです。その思いこそが,人と人をつなぎ,支え合うための原動力だと思います。この本が,女性にも男性にも,仕事への,そして人生への原動力になることを祈っています。
最後に,若干の誤解を生みかねない表現があり,少しばかり,説明をさせてください。文中で,「お母さん方」という言い方をしている箇所もありますが,学校現場には「お父さん」やそれ以外の保護者も,もちろんいらっしゃいます。具体的にイメージできるよう「お母さん方」と表記いたしました。
また,LGBTの認知度が上がり,我が子の学校においても,学校生活にとりいれられるようになっているようです。多様性を尊重する現代社会においては,女性的/男性的,母性/父性といった分け方そのものが不適切な場合や,違和感をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。もちろん,男女に分けることのできない,人としての感覚こそが大切だと私も思います。男女を超えた人間性を探りたいと思い,わかりやすさを意識して意図的に女性的や母性,男性的や父性という言葉等を用いておりますことをご理解いただきたく思います。
では,この本が,あなたの教師人生を拓く金色の鍵になることを心より祈っています。
/松井 恵子
「育児休暇3年で『浦島太郎』にはならない」という言葉に励まされました。