- まえがき
- 第1章 すぐれた教材&発問で,子どもの追究力が高まる!
- 1 子どもを夢中にさせる!教材づくりのワザ
- @「おかしいよ!」これまでの経験をくつがえす教材
- A「えっ,そんなに?」数量に対する驚きを呼び起こす教材
- B「ひどい!」怒りなどの心情に訴える教材
- C「僕ならこう考えるよ」多様な見方・考え方を生み出す教材
- D「私はこっちの立場なんだけど…」価値の対立を引き起こす教材
- 2 子どもの思考をゆさぶる!発問づくりのワザ
- @「おかしいよ!」これまでの経験をくつがえす発問
- A「えっ,そんなに?」数量に対する驚きを呼び起こす発問
- B「ひどい!」怒りなどの心情に訴える発問
- C「僕ならこう考えるよ」多様な見方・考え方を生み出す発問
- D「私はこっちの立場なんだけど…」価値の対立を引き起こす発問
- 第1章のまとめ&第2章の読み方
- 第2章 Before&Afterでよくわかる!子どもの追究力を高める教材&発問モデル
- 3年
- 学校のまわり……発問@
- 市の様子……教材@
- 店ではたらく人……教材@
- 農家の仕事……教材C
- 工場の仕事(1)……教材C
- 工場の仕事(2)……発問A
- 工場の仕事(3)……発問A
- 昔の道具とくらし……教材D
- 4年
- 火事からくらしを守る……教材@
- 事件・事故からくらしを守る……教材A
- 水はどこから……教材@
- ごみの処理と利用……教材C
- 郷土の発展に尽くす(1)……教材A
- 郷土の発展に尽くす(2)……発問@
- 郷土の発展に尽くす(3)……発問B
- わたしたちの県・特色ある地域とくらし(1)……教材@
- わたしたちの県・特色ある地域とくらし(2)……発問@
- わたしたちの県・特色ある地域とくらし(3)……発問C
- 5年
- 国土の地形の特色(1)……発問@
- 国土の地形の特色(2)……教材@
- 暖かい土地のくらし 寒い土地のくらし……教材@
- 米づくりのさかんな地域(1)……教材B
- 米づくりのさかんな地域(2)……発問A
- 水産業のさかんな地域(1)……教材@
- 水産業のさかんな地域(2)……発問D
- これからの食料生産とわたしたち……教材D
- 工業生産と工業地域……発問A
- 自動車をつくる工業(1)……教材A
- 自動車をつくる工業(2)……発問D
- 情報化した社会とわたしたちの生活(1)……教材C
- 情報化した社会とわたしたちの生活(2)……発問@
- 環境を守るわたしたちのくらし(1)……教材@
- 環境を守るわたしたちのくらし(2)……発問@
- 環境を守るわたしたちのくらし(3)……発問@
- 自然災害を防ぐ(1)……教材C
- 自然災害を防ぐ(2)……発問C
- 6年
- 縄文のむらから古墳のくにへ……教材@
- 天皇中心の国づくり(1)……発問B
- 天皇中心の国づくり(2)……発問D
- 貴族のくらし……教材@
- 武士の世の中へ(1)……教材A
- 武士の世の中へ(2)……発問C
- 武士の世の中へ(3)……発問A
- 武士の世の中へ(4)……発問D
- 3人の武将と天下統一(1)……教材C
- 3人の武将と天下統一(2)……教材C
- 江戸幕府と政治の安定……教材C
- 町人の文化と新しい学問(1)……教材@
- 町人の文化と新しい学問(2)……発問@
- 世界に歩み出した日本(1)……発問@
- 世界に歩み出した日本(2)……教材C
- 長く続いた戦争と人々のくらし(1)……発問C
- 長く続いた戦争と人々のくらし(2)……発問A
- 長く続いた戦争と人々のくらし(3)……教材C
- 新しい日本,平和な日本へ……発問D
- わたしたちの生活と政治(1)……教材C
- わたしたちの生活と政治(2)……発問C
- わたしたちのくらしと日本国憲法……教材A
- 世界の未来と日本の役割(1)……教材C
- 世界の未来と日本の役割(2)……発問B
まえがき
「先生,聞いて! 私,気になって昨日スーパーの店長さんにもう一度インタビューしてきちゃったんだけど,実はね…」
「僕,昨晩ネットでもう一度調べたら,自分の考えが変わってきちゃった。 今日の社会で,みんなの意見がメッチャ気になる…」
自らの力で調べ,考えてきた子どもの目は輝いている。その言動には勢いがある。社会科の授業をしていて,本当に嬉しい瞬間である。
今,教育界では,次期学習指導要領に向け,課題の発見・解決に向けた主体的・対話的で深い学びの重要性が叫ばれている。子どもたちが,グローバル化と情報化による変化の激しい予測困難な時代を豊かに生き抜いていくために,今ほど「問題解決的な学習の充実」が求められるときはない。
だからこそ,社会科では,「子どもたち一人ひとりが社会的事象に対して問いをもち,粘り強く調べたり考えたりすることを通して,また問いをもつ…」,このような授業を通して,子どもたち一人ひとりの追究力を高めていきたい。
子どもたちとともに,このような社会科の授業をつくり上げていくためには,子どもたち一人ひとりが,社会的事象に対して問いをもつことが必要不可欠である。なぜなら,問いをもつということによって,教師の教えるべきことが,子どもの学びたいことに転化するからである。そして,その一人ひとりの問いは,クラスの子どもたちみんなで追究していく問いに統合されることで学習問題として成立する。
このような学習問題の成立によって,子どもたちが主体的に問題を追究するエネルギーを生み出し,問題を追究する過程で調べたり考えたりしながら自ら学習内容を獲得し,より深く理解していくのである。したがって,学習問題は,子どもたち一人ひとりの追究力を高める社会科授業の核と言える。
ところが,学習問題を成立させることは,決して容易ではない。
学習問題は,社会的事象と出会った子どもたちの単なる思いつきや疑問ではない。あくまでも単元目標へ導く問いでなければならない。
また,問題解決学習の本質から言うと,学習問題をつくるのは,子どもであることが望ましい。そのせいか,学習問題の言葉を引き出そうと誘導尋問を繰り返す授業を見ることも少なくはない。大切なことは,子どもたちが社会的事象(具体的な事実)をじっくりと見つめ,「何としても追究していきたい」という問いをもつことである。
そのためには,子どもたちから「おかしいよ!」「えっ,そんなに?」「ひどい!」「僕ならこう考えるよ」「私はこっちの立場なんだけど…」というような声がわき出るような教材づくりや発問の工夫が必要である。このような教材や発問によって,学習問題をきちんと成立させ,子どもたち一人ひとりの追究力を高める社会科の授業が,今,求められているのである。
@「おかしいよ!」←これまでの経験をくつがえす教材&発問
A「えっ,そんなに?」←数量に対する驚きを呼び起こす教材&発問
B「ひどい!」←怒りなどの心情に訴える教材&発問
C「僕ならこう考えるよ」←多様な見方・考え方を生み出す教材&発問
D「私はこっちの立場なんだけど…」←価値の対立を引き起こす教材&発問
本書では,「子どもを夢中にさせる教材づくり」と「子どもの思考をゆさぶる発問づくり」の具体例やポイントを解説するとともに,「子どもの追究力を高める教材&発問モデル」として,3年から6年までの実践モデルを60事例,「Before&After」という形式で掲載した。本書によって,たとえ「劇的」ではなくても,子どもたちの追究力を高めるための着実な一歩を読者の皆様が踏み出すことができれば,執筆者の一人として幸いである。
最後に,本書をまとめるにあたって,大変なご苦労をおかけした編集担当の茅野現氏,赤木恭平氏に多大の感謝を申し上げる次第です。
/由井薗 健
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