- はじめに〜もっと楽しい水泳の授業を〜
- 第1章 小学校水泳の授業づくり
- 1 「楽しい水泳授業」づくりのポイント
- 1 「ペア学習」で,楽しく活動しよう
- 2 「1,2,パッ,4」で,初歩の泳ぎと呼吸のリズムを身につけよう
- 3 楽しみながら「水に慣れる・泳力を伸ばす」活動を
- 4 泳ぎの練習は,「補助」と「声かけ」がポイント!
- 5 水泳ならではの「マメ知識」を知ることで,効果的に泳力UP!
- 2 水泳指導を始める前に
- 1 プールサイドでの整列
- 2 今日の学習内容の確認,準備運動
- 3 シャワー,入水の準備
- 4 人数確認「バディシステム」
- 5 約束の確認
- 6 入水
- 3 安全面の配慮事項
- 1 指導の心構え
- 2 プールの監視体制
- コラム 小学校水泳 各学年の目標と内容
- 第2章 小学校1・2年生「水遊び」
- 1 「水遊び」指導のポイント
- 1 「水に慣れる遊び」で,水への抵抗を減らそう
- 2 「浮く・もぐる遊び」で,動きを身につけよう
- 3 身につけたいのは「1にリラックス,2に呼吸」
- 4 遊びを通して「動きや感覚を身につける」ことを意識する
- 5 演技たっぷりの「お手本」と,イメージ豊かな「擬音」を
- 6 「じゃんけんして,勝ったら○○!」は1番シンプルな遊び方
- 2 「水遊び」の授業の進め方
- 1 1時間の流れ
- 2 「水遊び」の単元計画(1年生:10時間扱いの例)
- 3 水に慣れる遊び
- 1 ペアで水かけっこ
- 2 鬼遊び
- 3 まねっこ遊び
- 4 電車ごっこ
- 5 リレー遊び
- 4 浮く・もぐる遊び
- 1 つかまって浮く遊び
- 2 補助具で浮く遊び
- 3 水中じゃんけん
- 4 水中にらめっこ
- 5 水中石ひろい
- 6 輪くぐり,手足くぐり
- 5 楽しさを広げる活動の工夫
- 1 リズム水遊び
- 2 グループで選んで遊ぼう
- 3 プールの場の使い方
- 6 学習カード
- コラム 水が苦手な子への活動の工夫
- 第3章 小学校3・4年生「浮く・泳ぐ運動」
- 1 「浮く・泳ぐ運動」指導のポイント
- 1 中学年の学習内容を理解しよう
- 2 平泳ぎも1学期中に練習できる単元計画を
- 3 1時間の前半は「エンジョイタイム」
- 4 1時間の後半は「ポイント学習」→「コース別練習」
- 5 手・足の分習と面かぶりの泳ぎで,「浮く・進む動き」を身につける
- 6 「面かぶり,手だけクロール5かき!」で自分の伸びを意識する
- 2 「浮く・泳ぐ運動」の授業の進め方
- 1 1時間の流れ
- 2 「浮く・泳ぐ運動」の単元計画(3年生:10時間扱いの例)
- 3 浮く運動
- 1 いろいろな浮き方
- 2 伏し浮き
- 3 け伸び
- 4 泳ぐ運動「初歩のクロール」
- 1 ばた足泳ぎ
- 2 クロールのストローク
- 3 面かぶりクロール
- 4 クロールの呼吸
- コラム クロールの呼吸 つまずきと解決方法
- 5 泳ぐ運動「初歩の平泳ぎ」
- 1 「初歩の平泳ぎ」について
- 2 かえる足泳ぎ
- 3 平泳ぎのストローク
- 4 面かぶりの平泳ぎ
- 5 平泳ぎの呼吸
- コラム 平泳ぎ つまずきと解決方法
- 6 楽しさを広げる活動の工夫
- 1 グループで楽しもう
- 7 学習カード
- コラム 「初歩的な泳ぎ」ってどんな泳ぎ?
- 第4章 小学校5・6年生「水泳」
- 1 「水泳」指導のポイント
- 1 高学年の学習内容を理解しよう
- 2 「初歩のクロール・平泳ぎ」から「伸びのある泳ぎ」へ
- 3 高学年は「自分の課題に応じた練習」を
- 4 「ペア学習」の効果を高める工夫
- 2 「水泳」の授業の進め方
- 1 1時間の流れ
- 2 「水泳」の単元計画(5年生:10時間扱いの例)
- 3 クロール
- 1 伸びのあるクロールに挑戦
- 2 水中からのスタート
- 3 クロールのターン
- 4 平泳ぎ
- 1 伸びのある平泳ぎに挑戦
- 2 水中からのスタート
- 3 平泳ぎのターン
- 5 初歩の背泳ぎ
- 1 ペアで背泳ぎ
- 6 楽しさを広げる活動の工夫
- 1 ばた足5分間リレー
- 2 ペアでかき数調べ
- 3 ペアで学び合う活動
- 7 学習カード
- コラム 「着衣泳」の指導
- おわりに
はじめに
〜もっと楽しい水泳の授業を〜
みなさんは,「小学校の水泳授業」というと,どのような活動を思い浮かべるでしょうか。
プールの横に2列で並び,片側の全員が水に入って,教師の合図で一斉に泳ぐ……。そのような「一斉指導型」の水泳授業は,今も多くの小学校で行われています。
しかし,そのような授業で1人1人の子どもをよく見ると,泳ぎの得意な子は早々に反対側まで泳ぎきり,意気揚々と上がってきますが,泳ぎの苦手な子は,途中で立つなど苦労して到着し,最後の数名は,次の列の子に追いつかれながら,ばつが悪そうに上がってきます。
体育の中でも水泳は,「水の中での運動」という特殊性があり,スイミングスクールで1年中泳いでいる子から,普段は水に顔をつけることもしない子まで,学習を始める前から水中での運動経験に大きな差があり,その差はなかなか縮まりません。
水中運動は水の中でしかできないので,泳げるようになる1番の方法は「水に入ったり泳いだりする機会を重ねること」に尽きるのですが,上記のような一斉指導の授業を繰り返していると,泳ぎの苦手な児童は水泳への苦手意識も強くなり,中には「見学」という形で水に入る機会を自ら少なくしてしまう子もいることを残念に思っていました。
一方,これまでの水泳指導についての書籍では,子どもが1人で練習をしたり,大人が1対1で補助をしたりする方法の紹介は多くあるのですが,実際の小学校で行われているような,複数の学級で数十人以上の子どもを対象に指導する方法を示した内容は多くありませんでした。
そこで私は,泳力も経験も大きな個人差のある子どもたちに指導をされている先生方に,ペアやグループを生かして,泳ぎの得意な子もそうでない子も水泳の楽しさや喜びを味わえる「もっと楽しい水泳授業」にする工夫をご紹介したいと思ってこの本を著しました。
本書の主な内容は,
@2人組での「ペア学習」による,補助や声かけを生かした効果的な練習方法
A「1,2,パッ,4」のかけ声を生かした,クロールと平泳ぎの段階的な指導法
B簡単に取り組めて子どもが喜ぶ「リズム水泳」や「グループでのゲーム」などの楽しい活動
C学年の発達段階に合わせた,複数学級で行う授業の工夫と,指導に役立つ「マメ知識」
です。少しでも水泳授業を行う先生方の参考になれば幸いです。
/永瀬 功二
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