- はじめに
- T 高校の学級担任=失敗編
- やってはいけないNG指導
- オドシやエサで動かし、やらせっぱなし /加納 敏
- 荒れている学校での三つの失敗 /四家 明彦
- 思いつきで出す指示 /佐々木 基
- U 高校の学級担任=原則編
- 黄金の三日間
- 出会いの日に向けて全力で準備する /軽部 熊一
- LHR・SHRの活用例
- 組み立てを考えてHRを充実させる /鈴木 良治
- V 高校の学級担任=行事編
- 宿泊行事
- 大きな視点から緻密な計画を立てる /道中 博司
- 修学旅行
- 行事指導にはTOSSランドを活用する /佐藤 泰弘
- 学校祭・文化祭
- 教師が原案を持ち、生徒に代案を求める /佐々木 基
- 体育祭・球技大会
- 仲間作りが一番の目的 /太田 輝昭
- クラスマッチ・学年イベント
- 全員が「帰属意識」を持てるクラスに /川辺 美和
- 進路指導(面接・小論文・履歴書)
- 一人ひとりをつかみ、書かせて、ほめる /鈴木 良治
- 面接は「はじめの五秒」で決まる /川辺 美和
- W 高校の学級担任=トラブル編
- いじめを早い段階で見つけたときの対応
- 先手必勝! いじめの事実を素早くつかむ /丸山 好美
- けんかを担任段階で収めるとき
- 後腐れが残らない方法がある /佐々木 基
- 飲酒・喫煙を予防する
- 地道な実態調査から始める /四家 明彦
- 万引・窃盗が発覚したとき
- 大事なことは繰り返させないこと /佐々木 基
- 保護者との対応
- 保護者からのクレームは学びのチャンス /丸山 好美
- X 高校の学級担任=日常具体編
- 挨拶・返事のよい学級を作る
- 挨拶・返事の見本を教師が示す /佐藤 泰弘
- 服装・頭髪との闘い方
- 教師の姿勢を示して、少しゆずる /永原 啓嗣
- 欠席・遅刻を減らす
- まず趣意説明、そしてシステムを作る /川辺 美和
- 日直・掃除当番を機能させる
- 「生徒が動くシステム」を築く /道中 博司
- 学級通信を活用する
- 教師が積み上げる姿を学級通信で見せる /永原 啓嗣
- 読み上げれば「語り」となる /加納 敏
- おわりに
はじめに
学級担任の経験も五回を過ぎた頃、私の指導はことごとくツボを外していた。何をやっても学級の経営はうまくいかなくなっていた。
服装・頭髪の指導では、期限までに直さない生徒が学年で一番多かった。欠席・遅刻も多かった。職員室の出欠黒板にその日の欠席・遅刻・早退の人数を書くのが恥ずかしくてならなかった。年度末の進級認定会議で審議の対象になる生徒も多かった。退学者も学校で一番多かった。年度末反省で担任の一言を述べるとき、針のムシロに座らされた気分だった。
学校祭で出し物に取り組むのも苦痛だった。孤立傾向のある生徒を支えることもできなかった。生徒の間に規律を保つこともできなかったし、生徒に意欲を育てることもできなかった。
当時の生徒たちには申し訳ない気持ちでいっぱいになる。だが、このときの悔しさ、情けなさが自分の教師としての原点だ。そこから自己変革の第一歩を踏み出した。書店に行った。法則化の本と出会い、法則化のサークルと出会い、そこに身を投じて、私の教師修業が始まった。
サークル例会に持参するためのレポートを書いた。模擬授業に取り組み、批評をもらった。サークルで学び始めてすぐに、自分の中で「以前とは違う」という手応えが生まれていた。
しかし、教室の生徒たちは簡単には変わらなかった。
かすかな手応えを頼りに、私は法則化・TOSSで学び続けた。長い時間が過ぎた。
いつの間にか、授業に集中する時間を作り出すことができるようになってきた。いつの間にか、生徒の口から「はい」「すみませんでした」「ありがとうございました」という言葉が素直に出ることが多くなってきた。学級経営に対する私なりのコツがつかめてきた。
そうしたとき、本書を編集する機会に恵まれた。ネット上の仲間に呼びかけたところ、一〇名の仲間が集まった。
執筆者のメールリングリストを通じて、編集方針を検討し合った。
〉 成功事例の羅列は避けたい。読者に「自分にはできない」という意識を作るからだ。→同感です。
〉 失敗事例は読者の共感を得やすいと考えられる。→私が一番共感するのは「ああ、この先生も学級が荒れたことがあったのだ」とわかる瞬間です。
こうした議論をふまえ、本書は失敗事例、成功事例をともに集め、五部に分けて構成することにした。
第T部 失敗編では【やってはいけないNG指導】を紹介した。法則化・TOSSに学ぶ前の私たち自身の姿である。失敗する指導にも共通性があるとわかっていただけると思う。
第U部 原則編では、この失敗続きの状況を脱出するための具体的な方策を二つの大切な場面に限定して紹介した。【黄金の三日間】と【LHR・SHRの活用例】である。
続いて、応用的な方策を様々な具体的な場面に即して紹介した。それが第V部 行事編、第W部 トラブル編、第X部 日常具体編である。
本書で紹介した事例が最善の指導だと主張しているのではない。力がなく失敗続きだった私たちも、ここまで実践できるようになったという報告である。これから教師修業を始めようという方々への連帯の呼びかけである。
執筆者代表 /佐々木 基
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- 明治図書
- 毎年、初任者に配って読ませています。絶版にしないでくださいね。2018/3/24みうら