100万人が受けたい「中学地理」ウソ・ホント?授業

100万人が受けたい「中学地理」ウソ・ホント?授業

好評6刷

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熱中すること間違いなし!河原流オモシロ地理授業が1冊に

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ISBN:
978-4-18-032215-2
ジャンル:
社会
刊行:
6刷
対象:
中学校
仕様:
A5判 144頁
状態:
品切れ中
出荷:
未定

目次

もくじの詳細表示

まえがき
第T章 「ウソ」「ホント」から「へっ!」「そうだったんだ」へ
〜「知ること」の喜びから「わかる」喜びへ〜
1 なぜ地理学習は,楽しくなくなったのか
〜「学習指導要領」の変遷に関わって〜
2 「ウソ」「ホント」から「うーん」「なるほど」へ
3 「フォトランゲージ」から社会の仕組みへ
(1) アフリカのガーナ
(2) フィリピンの子どもたち
第U章 動態的地誌と「活用」「探究」力
1 「説明的知識」から「概念的知識」へ
〜「〜がある」「〜がつくられている」から「なぜ,そうなのか」へ〜
2 世界地理“主題学習”と日本地理“中核方式”
3 「活用」型学力としての「言語力」「表現力」「思考力」の育成
(1) 中国とインド,どちらが経済発展するか
(2) プレゼン
4 社会科教育変革のチャンス
第V章 「世界各地の人々の生活と環境」ウソ・ホント?授業
1 【ミニネタ】元カレよりニューカレ
2 【習得】違いのわかる太平洋と大西洋(三大洋)
3 【習得】四半球にまたがる巨大な国(赤道,日付変更線)
4 【活動・習得】ダジャレで国名(世界の国々)
5 【習得】カメルーンの細長い国境線(国境)
6 【習得】『カスピ海』って海なのか? 湖なのか?(領海)
7 【習得】イスラム圏のスターバックス
第W章 「世界の諸地域」ウソ・ホント?授業
8 【ワークショップ】ワークショップ 中国(中国)
9 【主題学習】インドの世紀がやってきた!(アジア)
10 【主題学習】統合を目指すヨーロッパ(ヨーロッパ)
11 【主題学習】アフリカの内戦と紛争(アフリカ)
12 【習得・見方・考え方】アメリカ工業の立地条件
13 【探究】アジア探検隊IN大阪
第X章 「日本の自然環境と地域的特色」ウソ・ホント?授業
14 【習得】日本の国境・領土
15 【習得・活用】ただで泊まれるホテル
16 【探究】コンビニから社会をのぞく
17 【主題学習】離島の役場
18 【ミニネタ】長崎のじゃがいも
19 【ミニネタ】早場米のトップランナー
20 【中核方式】「伸線」工場から考える,東大阪の中小企業
21 【習得】ETの自転車は今?
22 【活用】大阪府は近畿地方のどこと,合併すれば活性化するか
23 【中核方式】奈良への誇りと伝統工芸
24 【中核方式】工業生産日本一の県
25 【中核方式】洋食器生産地は今?
26 【中核方式】川上村のレタス
27 【習得】過密都市は今?
28 【ミニネタ】日本一低い富士山(東北)
29 【探究】「宅配便」の秘密
あとがき

まえがき

○子どもの現実から出発しよう!

 2010年10月『塀の中の中学校』というドラマが放映された。刑務所に収監されている中学校を卒業していない服役者が,学び直す物語である。その場面で,千原せいじ演じる服役者が,「わからない」授業に耐えられず「俺をやめさせてくれ。もう耐えられない。俺はいじめなどしたことなかったが,今,俺はいじめをしている。このまま,ここにいたら,どんどんイヤな人間になってしまう(要旨)」という叫びをあげ,自殺しようとする場面があった。この“叫び”の場面を見ながら,教室の何人かの生徒の顔が目に浮かんできた。本来,「学ぶ」とは,“新たな発見”をし,“知的興奮”を喚起し,“生き方”を揺さぶるものでなくてはならない。しかし,「学力低位層」や「学習意欲のない」生徒にとっては『抑圧装置としての授業』になっているのではないだろうか。

 心ある教師は,いわゆる「学力低位層」や「学習意欲のない」生徒を授業に位置付けようと興味ある教材開発や,グループでの学習形態,または,放課後補習をする等の対応をしつつ苦悩している。定期テスト前に,10点以下は「かんべんして!」と思い,放課後に補習をする。ほとんどテスト問題と同様の「穴あき問題」を手渡し,いくつかを暗記させる。それでも,10点以下の点数しか取れない。授業中,発問にはときには答えるが,漢字は書けないので板書を写そうとしない。「おい! 書けよ!」と一応は注意する。授業を受けるのがイヤで,6時限の終わりかけに登校する生徒。この生徒たちは,そのまま放置すれば,テストは0点。ますます意欲をなくすので,テスト前は自宅で学習する。いわゆる家庭教師である。学校では,勉強している姿を見られるのは恥ずかしいそうだし,家庭ではお菓子を食べながら和やかに学習できる。また授業中,元気よく発言して,なかなか絶好調だと思っていたら,発問の答えに間違ったとたんに,配布したプリントを丸めて,ふて寝。「おい! 何すねてるねん!」と渇を入れるとますますすねてる。その後は放置!

 文部科学省学力調査45位の大阪府の平均よりさらに低い,東大阪市のある授業風景である。このような生徒たちが生き生きと学習できる手立てを考えなければ,授業は不成立になる。

 また,一方で,「受験圧力」も存在する。いわゆる「できる生徒」は,テスト問題に出題されないような雑ネタには興味を示さない。ノートに落書きをしている生徒もいれば,教科書の他のページを読んでいる。放置すれば他教科の問題集でもやりかねない。公立中学校の授業は,この「学力差」のある生徒たちを対象に授業を展開しなければならない。


○今,付けさせたい学力とは 〜新学習指導要領の趣旨〜

 平成24年度版「中学校社会科改訂の趣旨」において「基礎的・基本的な知識,概念や技能の習得に努めるとともに,思考力・判断力・表現力等を確実にはぐくむため言語活動の充実を図り,社会参画に関する学習を重視することが必要である」と書かれている。また,「改善の基本方針」には,次のような記述があり,この内容が今改定の主たるねらいと考えられる。


 社会的事象に関する基礎的・基本的な知識,概念や技能を確実に習得させ,それらを活用する力や課題を探究する力を育成する観点から,各学校段階の特質に応じて,習得すべき知識,概念の明確化を図るとともに,コンピュータなども活用しながら,地図や統計など各種の資料から必要な情報を集めて読み取ること,社会的事象の意味,意義を解釈すること,事象の特色や事象間の関連を説明すること,自分の考えを論述することを一層重視する方向で改善を図る。


 ここで述べられている「習得」「活用」「探究」そして「参画」が,キーワードである。前述した地理的分野においては,大幅な改定が行われた。世界地理学習においては,6州の地域を,日本地理学習においては7地方区分による学習が行われる。しかし,このことを暗記社会科への回帰と考えてはならない。特に,日本地理学習においては,「自然環境を中核とした考察」「歴史的背景を中核とした考察」など7つの基軸による,中核方式による「動態的地誌」学習が提唱されている。主に,地理的分野を中心に述べてきたが,歴史的分野においても「学習した内容を活用して大観し表現する活動を通して,その時代がどのような特色をもつ時代だったかを捉える学習」を,そして公民的分野においても「対立」「合意」と「効率」「公正」という概念から社会的事象を分析することを重視している。この改定趣旨が現場に根ざす手立てを考えることが必要である。

 新学習指導要領で「習得」「活用」「探究」という学力や学習方法が強調されているが,この3つは,決して新しいものではない。しかし,社会科教育の変革にとって,このことは重要である。なぜなら,これまでの学習において,授業者は,この3つの学力や学習方法をあまり意識せずに実践してきたからである。このことを意識することで,「暗記社会科」から脱皮し,「思考力」「判断力」「表現力」を身に付ける授業へと変革できるチャンスである。

 筆者が最も重視している点は,「学習意欲」と「活用」「探究」との関係である。“できる子”=「活用・探究」力,“できない子”=「習得」ということではなく,すべての生徒が“楽しくわかり”そして,「思考力」「判断力」「表現力」を付ける授業を展開する必要がある。

 本書に収録された実践は,上記紹介した,いわゆる“やっかい”な生徒たちが,それなりに“くいつき”“考え”“発言”した授業である。「荒れ」や「学習意欲」のない中で,「習得」さえままならない中学校現場にあって,子どもが意欲的に取り組み,「活用・探究」力を培う授業の問題提起である。


  2012年5月   /河原 和之

著者紹介

河原 和之(かわはら かずゆき)著書を検索»

1952年 京都府木津町(現木津川市)生まれ。

関西学院大学社会学部卒。東大阪市の中学校に37年勤務。

東大阪市教育センター指導主事を経て,東大阪市立縄手中学校退職。現在立命館大学,聖トマス大学,関西大学中等部非常勤講師。

授業のネタ研究会常任理事。社会系教科教育学会理事・経済教育学会理事。

近現代史教材・授業づくり研究会事務局長。

NHKわくわく授業「コンビニから社会をみる」出演。

NHK教育テレビ「世の中なんでも経済学」「世の中なんでも現代社会」番組委員。びわ湖テレビ「豊かさのものさし」制作担当。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 工夫されておもしろい
      2015/5/1650代・中学校教員
    • ここに紹介された数々の教材は、“教師が教えるべき内容”と、“子どもが学びたいと思うこと”の間にある大きなミゾにかけられた“架け橋”です。授業に参加しない生徒を無視しない先生だからこそ開発することができた、魅力的な発問、視覚・モノ教材、授業展開、ネタであふれています。「次はこの手で来たか!」と、飽きさせない授業の記述だけに、読んでていて全く飽きることがありません。シリーズ3冊の中で最も興味深く読みました。教育実習のおともに、教職を目指す学生に、授業を成立させたいと願う先生に、なぜ社会科嫌いになったんだろう?と、今からでも「中学地理」を学びなおしてみたい方々に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
      2012/8/25khunyuri
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