- まえがき
- 1章 通常学級と特別支援教育
- T 特別支援教育の視点
- 1 苦戦している子どもたちから学ぶこと
- 2 スペクトラム概念と支援
- U 子どもを理解するということ
- 1 発達障害という概念が教えてくれたこと
- 2 学習を支える神経発達システム
- 3 学級の中でおきていること
- 4 身体作り
- 5 体験と概念形成
- 6 環境は,発達の規定要因である
- V 授業づくりを考える
- 1 「学び方を学ぶこと」と「わかる授業」
- 2 今,ここで
- 3 授業公開と研究協議の視点
- 4 校内研修を考える
- W 子ども主体と個に応じた指導
- 2章 体験と個に応じた指導が支える豊かな学び
- 〜「自ら学び続ける,心豊かな子どもの育成」を目指して〜
- T 今を生きるために学ぶ
- U 自ら学び続ける,心豊かな子どもの育成
- 1 自ら学び続けることの意味
- V 体験を通した学び
- 1 子どもの主体的な学びと「体験」のつながり
- 2 体験の充実
- W 豊かな学びを支える見取りと指導
- 1 教師のかかわり
- 2 子どもを見取る
- 3 思考・判断・表現を見取る
- 4 思考力・判断力・表現力のおさえ
- 5 「個に応じた指導」の充実
- X 豊かな学びの場としての学校
- 3章 各教科等の実践
- 国語科 ―子どもの言語生活からはじまる言語活動を通した「読み取る力」の育成―
- T 教科の本質
- U 本質にせまる体験的な活動
- V 思考・判断・表現のあらわれ
- W 個に応じた指導の充実
- (T〜Wの項目は体育科まで同じです)
- 社会科 ―社会的事象に向き合う子どもの育成―
- 算数科 ―ものごとをより簡潔・的確・明瞭にしようとする子を目指して―
- 理 科 ―自ら事物・現象を科学的に見つめ,考える子どもの育成を目指して―
- 生活科 ―自ら学びを広げていく子どもの育成を目指して―
- 音楽科 ―自ら音楽とかかわろうとする子どもの育成―
- 図画工作科 ―自分らしく想像・創造する喜びを追求する児童をはぐくむために―
- 家庭科 ―生活者として自己の生活を築いていく子どもの育成―
- 体育科 ―運動の生活化を目指した学びの構築―
- 道 徳 ―児童が主体的に学ぶ「道徳の時間」の創造―
- T 道徳教育の本質
- U 本校の道徳教育
- V 自己と向き合う姿のあらわれ
- W 個に応じた指導の充実
- 外国語活動 ―外国人と積極的にコミュニケーションを図ろうとする子どもの育成―
- T 外国語活動の本質
- U 本質にせまる体験的な活動
- V コミュニケーション能力の素地のあらわれ
- W 個に応じた指導の充実
- 総合的な学習の時間 ―「自分」が貫かれ,「自分」をつくりあげる学び―
- T 「生きる力」をはぐくむ総合的な学習の時間
- U 総合自由学習における「体験的な活動」
- V 児童がもつ潜在的な力を発揮させる「適切な指導」
- W 総合自由学習で見られる児童の学びの姿
- X 今しか味わえない学び
- 特別活動 ―よりよい人間関係づくりを目指して―
- T 特別活動の本質
- U 本質にせまる体験的な活動
- V 本校における取組
- W 本校の特色のある取組〜食育について〜
- あとがき
- 資 料
- 第1学年 学年・学級経営年間プログラム
- 第2学年 学年・学級経営年間プログラム
- 第3学年 学年・学級経営年間プログラム
- 第4学年 学年・学級経営年間プログラム
- 第5学年 学年・学級経営年間プログラム
- 第6学年 学年・学級経営年間プログラム
- 研究同人
まえがき
経済協力開発機構(OECD)は,2009年に実施した学習到達度調査(PISA)の結果を2010年12月初旬に発表しました。読解力・数学的や科学的応用力等は以前の結果よりも向上し回復したとの報告でした。努力の結果だとは思われますが,この「問題」として扱われている範囲内でも学力の分散化と,今までとは異なる解き方に慣れての充実でなければと気になるところです。一喜一憂に惑わされることなく,基礎的な土台の上に長い時間をかけて構築していく学び,問い,創り上げ続ける力の重要性がますます問われているように思えます。
附属釧路小学校では『自ら学び続ける,心豊かな子どもの育成』の5カ年計画が2009年度より設定され研究し実行されています。本書では個々の教科に即して具体的に検討・実践・展開されていますが,その教科の在り方を根幹から問い直すことも辞さない「教科の本質」や,その「本質にせまる体験的な活動」の検討も合わせて行っているところです。「学び」に「体験的な活動」を取り入ることによって,思考していく力としての思考力や,判断していく力,表現していく力がはぐくまれ,それらを介して基礎的・基本的な知識や技能が幅をもって習得していくことが可能になっていくと考えています。さらに「個に応じた指導」の充実を図り,全教員で全児童の成長を後押ししての,その子の特性に合った育成も試みています。
学ぶ力は,その内容を含めて,どのように創り上げる教育を考えていくべきかなど,PISA等の学力の論議が行われている中でこそ,先をも見据えた視点が必要であると考えています。体験等と対峙しての知識・学力像は論外としても,あるべき基礎学力を含めて,学習指導要領が改訂され,教科書が質量ともに一新されつつある今だからこそ,私たちのような検討の役割は大きいと考えています。
まだまだ研究途上ではあるのですが,本書がいささかなりとも学ぶ力の意味を問い直し共に創り上げていく一助になれば幸いです。
平成23年3月 校長 /倉賀野 志郎
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- 明治図書